Trailblazer(トレイルブレイザー:先駆者)になったコロラド州のヘルスケア政策・財務局

コロラド州 ヘルスケア政策・財務局、デジタルコンタクトセンターへの投資はその使命への投資である

 

全米で最も健康な州を目指す

ユナイテッド・ヘルス財団による米国健康ランキングレポートの結果を受け、John Hickenlooper州知事は次のようなコメントを発表しました。「コロラド州は、運動と健康を大切にする住民が多く、活気のある州です」。米国健康ランキングレポートは、州ごとの公衆衛生を評価する年次調査。今年、コロラド州は7位に入りました(英語)。コロラド州は、「全米で最も健康的な州になる」ことを目指して取り組んでおり、その成果が数字として得られることになりました。

ユナイテッド・ヘルス財団は、公衆衛生に影響を及ぼすさまざまな要素を調査し、順位を決定しています。コミュニティ活動、全体的な環境要因、実行度、結果、およびヘルスケア政策などの要素です。さらに、現時点における“全体的な健康状態”の傾向だけでなく、コロラド州の保健福祉プログラムの内容と、将来を見据えた戦略も反映されています。コロラド州の公衆衛生環境局(以下、CO DPHE)でエグゼクティブディレクター兼最高医療責任者を務めるLarry Wolk氏は、次のように話しています。「住民一人ひとりの健康は、州の政策や健康をサポートしてくれる産業によって支えられています。企業は従業員が就業中の健康を維持することに気を配り、自治体は政策として居住エリアを環境汚染から守る土地利用計画を立てます。私たちが仕事をする目的の1つは、健康保険料を支払うことです。健康は、あらゆる人や組織が関わる問題なのです」。Wolk氏の信念が、自身が属する部局だけでなく、ヘルスケア政策・財務局をはじめとする多数の関連機関の方向性を決めています。

大きな改革に対応できるシステムに投資

2012年の医療保険制度改革法(以下、ACA, 通称:オバマケア)の成立とそれに伴う医療制度改革により、医療保険が適用される住民の数は増加しました。コロラド州において、医療保険はヘルスケア政策・財務局(以下、HCPF)が運営しています。ACAの成立時、HCPFにおいて電話や電子メールによる問い合わせに対応するスタッフは、わずか10人。ACAが施行されれば、同州において80万人の住民に医療保険が適用されることが見込まれ、手が回らなくなることは明らかでした。

HCPFで住民サービスディレクターを務めるChristine Comer氏は、「私たちのミッションは、州のヘルスケアを利用しやすくし、住民の健康状態を改善すること。同時に、健全な財務管理が行われていると明らかにしておくことも必要です。財務状況を開示することで、コロラド州の住民は、HCPFに費やした金額以上に健康になれているかどうかを判断してくれます」と話します。新たな政策がいくつも打ち出される中、今回のACAは一般的な政策変更に比べると極めて大きな変化でしたが、それでもサービスの質を損なうことなく、より多くの住民に適切な支援を届けることが求められました。

HCPFは、ACAに伴う改革を実現するため、そのミッションを4つの重要な活動指針にまとめました。

  • まずは、システムの改革です。コロラド州の医療保険プログラムである「ヘルスファーストコロラド」の登録者が、利用可能なサービスを簡単に検索および利用できるようにします。
  • 次に、ツールも刷新します。定額制や利用範囲別、価値ベースなど、多様な支払いに対応したり、新たな健康技術を導入したりするなど、さまざまな政策の中からHCPFの管理範囲にあるものを広範囲にカバーする統合的なヘルスケアシステムを構築します。
  • 3つ目は、住民全体の健康を改善するプログラムを充実させます。ローカルコミュニティとのパートナーシップにより、バランスの取れた健康プログラムとソーシャルプログラムを実現し、低所得者や社会的弱者の健康状態を改善します。
  • 最後に、業務改革です。個人と家族をデータモデルの中心に置くことで、業務を可視化。コンプライアンスを遵守しながら、個人と家族をスタッフがサポートするという効率的な業務プロセスを実現します。

CO HCPFは、長くMicrosoft Accessで作ったコンタクトセンターシステムを運用してきました。今回の活動指針の策定と同時に、CO HCPFは州議会から資金援助を受け、この古いシステムの刷新を決めました。旧システムには4つの活動指針を充たす能力が不足しており、クラウドシステムを採用し、コンタクトセンターのエージェントに最新のデジタルツールを提供することで、サービス能力を向上できると判断したのです。

Salesforceを中心に据え、データサイロの問題を解消

CO HCPFは、新たなコンタクトセンターシステムとしてSalesforce Service Cloudを採用しました。データ移行と新システムのセットアップはわずか3か月で完了し、運用フェーズへ移行。エージェントは、応対品質を飛躍的に高めることができました。このシステムは、CO HCPFの提供するすべてのプログラムを包括的に管理し、すべての職員が利用する単一のプラットフォームでもあります。新システムの稼働により、医療保険のクライアントと申請者、サービスプロバイダー、コミュニティパートナー、および地方自治体など、すべてのステークホルダーとの連携が促進されています。

  • 新たなプラットフォームは、HCPFが運用する審査システムや音声自動応答システムなど、周辺システムと連携させています。将来は予算システムとの連携も予定されており、コンタクトセンターのエージェントは、このプラットフォームを通して、対応中の問い合わせにかかわるすべての情報を取得できるようになります。問い合わせに正確に答えるために紙の書類を探したり、別のシステムにログインしたりする必要はなくなり、相手を待たせていた時間は大幅に短縮します。Service Cloudには、ナレッジ機能が備えられています。これを活用することで、問い合わせに関連する情報が画面に表示されるようになり、エージェントは上位にリストされる情報を参照することで、素早く回答できるようになりました。
  • 今回のシステムにより、HCPFは「データの中心」をSalesforceに置くことになりました。統合されたデータソースを得たことで、いわゆるデータサイロの問題は解消されました。これまで支払方法やプログラムによって別システムに分断されていた個人情報は、すべてSalesforceに置かれ、住民の状況を包括的に把握できるようになりました。複数の旧システムに格納されていたデータは完全に移行され、対応中のケースに役立つ豊富な情報を引き出すこともできます。また、エージェント、管理者、および行政官がそれぞれの視点から住民の健康状態についての情報をレポートとして得られるようになったため、スタッフが住民の個人的な問題の要因を特定したり、行政官が総合的な傾向を見ながら成功事例を見つけ出したりすることもできます。さらに、価値ベースの支払いに対応するプログラムにおいて重視される透明性と信頼性についても、一定以上のレベルで確保することができました。
 

クラウドの大きなメリットを実感

Christine Comer氏は、州の他の部局や機関の同僚と、クラウドを活用して業務を行う上での戦略、スキル、および利点に関して多くの情報を共有しています。
  • その中で最も評価されたのは、ワークフローの規定です。HCPFは、各種のプロセスを合理化するために、プラットフォームの設定においてカスタムワークフローを多数定義しました。たとえば、HCPFのWebサイトからの問い合わせは、ケース管理システムの中で、自動的にチケットに変換され、自動的にエージェントがアサインされます。チケットは、エージェントによる電話やメール対応で作成されたチケットと同様に最適なプロセスに従って処理されます。スタッフが複雑なケースの解決に取り組むときは、レスポンスタイムを記録するだけでなく、参考にした資料ややり取りの内容をすべて蓄積することで、解決後にそのケースをだれもが参照できるようにし、具体的な学びやインサイトを得られるようにしています。

Salesforceで構築した新たなコンタクトセンターシステムにより、HCPFは、アジリティ、スケーラビリティ、および効率性を向上させ、これまで行ってきた業務の品質を飛躍的に高めることができました。

エージェント自身が自らの仕事の成果を確認できるように

新たなコンタクトセンターシステムの成果は、州の住民にとって大きなメリットになったことはもちろん、その影響はより広範囲に及んでいます。Comer氏は、「かつてエージェントが7分をかけていたプロセスは、今では7秒で完了します。すべてのトランザクションを測定できるため、時間のかかる作業を特定して可能な部分を自動化するなど、最新のテクノロジーで業務効率を最大化しています」と話します。エージェントの仕事の成果として、HCPFのミッションへの寄与、業務そのものの価値、およびコロラド州のコミュニティに及ぼす効果が可視化されたことで、エージェント自身が仕事の成果を確認できるようになったこともまた大きな成果です。
 

HCPFの成功事例

CO HCPFの成功は、変革のためにツールを刷新したいと考えており、最新のソリューションの価値を知りたい機関にとって、参考にすべき好例となることでしょう。

住民の健康とCO HCPFのミッションは、各種のプログラムを通して深くつながっています。Comer氏は、「コロラド州には、住民による給付金の申請と承認後のプロセス管理、およびスタッフによるケース管理を可能にするオンラインアプリケーションツール、PEAKがあります。住民がメンバーなら、PEAKからエージェントとチャットして、迅速に回答を得ることができます。1人のエージェントが同時に5つのチャットに対応できるため、電話よりはるかに効率的です」と話します。リテラシーの高い住民がPEAKを使うようになったことで、1人のエージェントが電話応対に使える時間も増えました。平均12分30秒から6分へと半分以下に短縮され、放棄呼率は54%から12%へと改善。相手を待たせていた時間に電話を切られるケースが減ったことによる成果です。実際に、新システムの導入とチャットツールの導入により、エージェントの電話対応可能時間が増えました。かつて、数時間かかっていたタスクは数分になり、数分かかっていたタスクは数秒に短縮されました。

CO HCPFの業務変革への投資は、結果として、彼らのミッションへの投資につながりました。

 

その他の関連リソース

 

お客様事例

川口市

お客様事例

舞鶴市

eBook

3分で学べる 行政業務の効率を飛躍的に改善する方法