富士フイルム株式会社

Commerce Cloud & Marketing
Cloudでグローバル展開を見据えた
マーケティング改革を実現”

 

事業構造の抜本的転換に伴いマーケティング改革を断行

事業構造改革の一環として
“マーケットイン”への転換を図る

1934 年の創業から培ってきた高い技術力を活かし、経営の多角化を推進している富士フイルム株式会社(東京都港区)。2000 年以降、社名に冠する主力商材の需要が年率20 ~30%以上落ち続けるという破壊的イノベーションの直撃を受けた同社は、イメージングソリューション事業やドキュメント事業など、従来主力としてきた領域の整理と拡大を図る一方で、ヘルスケア&マテリアルズなどの新規領域を経営の新たな柱へと育て上げた。同社子会社の開発した「アビガン」が、新型コロナウイルス感染症治療薬の有力候補として世界的な注目と期待を集めていることなどは、まさにそうした多角化戦略の成功を象徴するものだ。
Salesforceを活用した同社のマーケティング改革は、そうした事業構造の抜本的な転換の中で始まった。デジタルマーケティング戦略推進室マネージャーの一色昭典氏は、その背景をこう説明する。
「弊社は、唯一無二の技術と商品があれば自動的にモノは売れる、というプロダクトアウトの発想で、80 年以上の歴史を築いてきました。裏を返せば、マーケティングに対する意識が非常に弱かったわけです。世の中に商品があふれ、プロダクトアウトではイノベーションを起こしづらい現代においては、消費者のニーズを把握して自社の持つ技術とマッチングさせ、社会課題を解決できるような商品やソリューションを提供する必要がある。そういうマーケットインの発想へ転換しなければならないと考えました」(一色氏)
 

マーケティング改革のさきがけとして
ECサイトへのSalesforce導入を決定

そのマーケティング改革の先鋒となったのが、フォトイメージング事業のECサイトなど、BtoCを担当する一色氏のマーケティングチームだ。BtoBが売上全体の75%以上を占める同社において、あえてBtoCから改革に着手したのには理由がある。ユーザーと直接接点があって声を拾いやすい、商品単価が低いためフットワーク軽くさまざまな施策を実行できる、比較的早く結果を出せて他事業や海外拠点へ横展開しやすい、などのメリットがあったからだ。
今後の同社のビジネス全体を方向づける、いわば“リトマス試験紙”としてマーケティング改革に乗り出した一色氏のマーケティングチームは、2018 年、セールスフォース・ドットコムの提供するECプラットフォームCommerce Cloudの導入を決断する。
「それまで、自社で構築したECのシステムを何十年も使い続け、海外の拠点にも展開していたのですが、やはり日本と海外とではリテラシーやノウハウの面で差があり、日本側でハンドリングしにくいという課題がありました。それを解消できるグローバル展開の可能なECプラットフォームとしてCommerce Cloudを選んだのです」(一色氏)
Commerce Cloudは、現場の抱える課題に対しても最良の選択だった、とデジタルマーケティング戦略推進室の角田旬氏はいう。
「お客様と直接コミュニケーションを取るBtoCにおいては、サービス改善のスピードを上げることが重要ですが、以前はシステムの保守にリソースを割かなければならず、本来のサービス改善にまでなかなか手が回りませんでした。その点CommerceCloudなら、保守をセールスフォース・ドットコムに任せられる。そのメリットは非常に大きいと考えました」(角田氏)

“個客”とのエンゲージメントを強化し
潜在ニーズに応える最適な提案が可能に

続いて同社は2019 年、マーケティングプラットフォームMarketing Cloudを導入。その意図について一色氏はこう語る。
「当時利用していた他社のMAツールは多機能でしたがBtoB向けで、先ほど述べたように海外拠点を含めてBtoCで使いこなすのは難しかった。それに対してMarketing Cloudは、AIを含めて以前より格段に洗練されて、海外拠点のメンバーでも少しレクチャーすればすぐに動かせる。外部リソースに頼らず、自分たちでシナリオを書いて施策を打っていきたい、という弊社には最適なものでした。
また、他社MAツールでは不満のあったサポート体制についても、セールスフォース・ドットコムは万全です。『普通なら数か月かかるリプレイス作業を1か月で終えて欲しい』というこちらの無理なお願いもしっかり実行してくれました」(一色氏)
同社はまず、フォトイメージング事業において、それまでバラバラだった顧客との接点をCommerce Cloudで統合。単に写真アルバムを製本して顧客に販売するという従来の”モノ売り”から脱却するため、Einsteinによるレコメンド機能を活用し始めた。それによって、たとえば各顧客のフォトライフをAIで想定して写真雑貨をセット販売するなど、「本当はこういうものが欲しかったんだ」という、いわゆる“個客”の潜在的なニーズに応える最適な提案が可能になった。
同時に同社は、Marketing Cloudを活用し、たとえば商品の注文時や到着時という開封率の高いタイミングに合わせてメールを送るなど、“個客”とのエンゲージメントを強化するためのさまざまな施策を展開した。角田氏はいう。
「弊社の取り扱う商品は、写真というお客様の思い出の詰まったものですから、それが届いたときの熱量や期待値はお客様の数だけ、弊社の場合には100 万通り以上ある。それにいかにアジャストした内容・タイミングの商品やメールをお届けするかが、私たちのミッションです。そしてMarketingCloudは、まさにそういうコミュニケーションを実現できるツールでした」(角田氏)

売上前年比110%、マーケターの意識改革を実現
他事業・海外拠点への展開も視野に

Commerce CloudとMarketing Cloudの導入効果は、数字としても確実に現れている。フォトイメージング市場自体が縮小する中、同社のECサイトの売上は、前年比110%という二桁成長を達成。また、API連携により多様な決済サービスを利用可能になった結果、商品検索から注文、決済完了までの導線のスムーズさという点でも顧客のニーズに応えられるようになり、コンバージョン率が向上した。
さらに大きな成果として一色氏は、当初の期待通りシステムの保守コストが大幅に削減され、その分のリソースを本来の業務に割けるようになったことによる、マーケターの”意識改革”を挙げる。
「ECに限らず、店舗運営でもっとも重要なのは、お客様にとって嬉しいこととはなにかを考えること。Salesforceによってそれを考える余裕がようやく生まれました。マーケターが顧客視点で大局観を持つことは、単に目先の利益につながるだけでなく、最終的に富士フイルムホールディングス全体のブランディングにおいても大きな意味を持つはずです」(一色氏)
フォトイメージングにおける成功を踏まえて同社は、ヘルスケア事業のECサイトへのCommerce Cloud導入とコールセンターシステムへのService Cloud導入を決定し、2020 年6 月にリリースを予定。フォトイメージング事業については今後海外拠点への展開も視野に入れている。
「世界共通のプラットフォームであるSalesforceには、実際に運用して蓄積した知見をもとに他事業部や海外拠点へ容易に展開でき、さらにその際、セールスフォース・ドットコムのサポートを受けられるという大きなメリットがある。グローバル展開を見据えたとき、Salesforce以外に選択の余地はないと思います」(一色氏)
※ 本事例は2020年4月時点の情報です
 
 

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