豊田自動織機

急速な経済成長を続ける新興国は当社の重要な市場。先行してSalesforceを導入したUAEでは既に販売台数が2倍に。世界中の販売店とのより良い関係づくりに貢献してくれそうです”

— 取締役副社長 佐々木 一衛 氏
 

急成長する新興国の営業品質向上のためにSalesforceを導入

愛知県刈谷市に本社を置く株式会社 豊田自動織機。トヨタ自動車の源流である。同社は現在、機械メーカーとして多岐に亘る事業を展開しており、その中でもトヨタブランド(国内ではトヨタL&F)として製造販売しているフォークリフトは世界シェアトップの座にいる。世界中にフォークリフトを供給する同社だが、市場はここ数年で大きく変化した。「新興国」の台頭である。急速な経済成長を続ける新興国へ出荷されるフォークリフトの台数が、いまや世界市場台数の40%を占めるまでに拡大。市場の成長に見合う販売体制を、いかに短期間で確立するかが課題になっていた。

取締役副社長 佐々木一衛氏は、「世の中どんどん変わっていくし、常に我々が新しく頭を切り替えていく必要がある」と語る。豊田自動織機は、グローバル市場におけるフォークリフトの販売をディストリビュータ(販売店)を通じておこなっている。古くから関係を深めてきた先進国のディストリビュータとは違い、新興国のディストリビュータの販売体制には様々な課題があった。解決の鍵はITだ。「新興国のディストリビュータとの関係づくりはゼロからのスタート。従来からのシステムとのしがらみもなく思い切って決断できた(佐々木氏)」。「トヨタの営業品質」を早期実現するために、同社が新興国のディストリビュータ向けに採用したのがSalesforceだった。

 

Salesforce導入一年で、UAEのフォークリフト販売台数が2倍に

アラブ首長国連邦(UAE)でトヨタのフォークリフト販売を手掛けるAl-Futtaim Motors Company(AFM)。Salesforce導入を機に、営業品質の劇的な改善を遂げた。プロジェクトを指揮した豊田自動織機 執行役員 若林 紀雄氏は当時を振り返り、「新興国のディストリビュータに起こりがちなのですが、お客様情報は全てセールスマンのもの。会社の営業チームと情報共有しない。日々の営業活動もセールスマンまかせ。お客様に適切な対応しているかどうかも全く分からない。本人は『私は一生懸命やってます』と言いますが、昔からの知り合いに『ご機嫌いかがですか?』と。それを毎日やっていたとしても受注量は上がっていかない。成長する市場の中で変化が必要だった」と語る。

Salesforce導入で実現したのが「お客様情報の一元管理」と「営業活動の見える化」だ。営業活動はどう変わったのだろう。「受注シェアをあげるために商談参加率を上げる。戦略的にどういうお客様にどういう順番で訪問していくのかを、セールスマンと上司が一緒になって作り上げSalesforceにインプットする。訪問の目的もしっかり書く。『詰めに行きます』とか。そして、訪問の結果を端末を通して報告するわけです。上司はその報告に対して即座にアドバイスを返すことで、勝率を上げる(若林氏)」導入の効果はすぐに現れた。本格的な導入から僅か一年で、商談数は1.7倍へ、成約数に至っては2倍に増加したのだ。

AFMのマネージングディレクター Vladimir Knezevic氏に営業チームの変化を伺った。「以前の営業チームは、セールスマン同士でお客様の奪い合いが常態化していました。Salesforceによってこうした争いがなくなり、チーム全員が共通の目標に向かっていけるようになったのです。今まで無駄に費やしていたエネルギーをお客様に集中させ、適切な製品をタイムリーに提供できるようになりました。本当に目が醒めるような体験でした。セールスマネージャーは、チーム全員の営業活動のパフォーマンスを360度で見渡せるうえ、商談の一つ一つの進捗をリアルタイムに把握でき、更にお客様の購買動向分析も容易になったのです。豊田自動織機の新しい試みに心から感謝したいと思います」

UAEのSalesforce情報の一部は、日本の豊田自動織機 海外営業部もリアルタイムに共有する。それが生産計画策定に大いに役立つと考えている。「受注から納車までのリードタイムはあるわけです。海を渡って船で運ばないといけないわけですから。三か月先までの受注量を正確に予測できれば、それに応じた生産の構えも準備できる。我々メーカーにとっても非常に便利なツールになっています(若林氏)」豊田自動織機は、今後Salesforceの導入を拡大していく意向だ。「Salesforceの仕組みであれば容易に広げることができる。91カ国のディストリビュータとやってるわけですから。インド、ブラジル、アルゼンチン、Salesforceの多言語対応はとても助かっています(若林氏)」

IoTが物流の新しいイノベーションを実現する

豊田自動織機は、顧客のニーズに応えるための新技術の導入にも意欲的で、物流機械であるフォークリフトの提供だけではなく、モノと情報の動きを分析し、より良いカイゼンを提案する物流ソリューションにも積極的に取り組んできた。今後大きな武器となるのがInternet of Things(IoT)だ。既に情報発信機能を持たせたフォークリフトを通じて、稼働状況を見える化するクラウドサービスを北米・欧州で稼働させている。「製品だけでは解決できない物流の課題というものがございます。1つ1つのフォークリフトに情報を発信させることで、フォークリフトが今どこにいて何をしているか、バッテリーがどのくらい使われているか、いつメンテナンスしたらいいのかがリアルタイムにわかる。今まで営業マンがお客様にいろいろお聞きしてやっとわかる内容以上の精度でわかるわけです。無駄な動きをしていたら、例えば倉庫のレイアウトをこう改善したらどうでしょうといった提案ができるようになります(佐々木氏)」

お客様の変化を見る、それはカスタマーファーストを重視する豊田自動織機の基本の心だと佐々木氏は語る。IoTによってお客様の変化を常に共有することで、トヨタの生産・物流方式の知見を生かしたカイゼン提案をタイムリーにおこなえるようになるのだ。「お客様の物流の未来を共に創造する。今後も新しい技術が出てこれば、積極的にチャレンジしていきたい。Salesforceもしっかり使って、新たなイノベーションを起こしていきたい」と佐々木氏は期待を込めて語ってくれた。

※ 本事例は2016年3月時点の情報です
 
 

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