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"数多くの患者様一人ひとりと、よりパーソナルににつながることができます。"

UCSF Breast Care Center、Athena Breast Health Network 統括責任者
Laura Esserman 博士

Salesforce App Cloud を基盤に立ち上げられた「Wisdom Study」プロジェクト

スタンフォード大学メディカルスクールに在籍しながらビジネススクールにも通うというのは、ほんの一握りの野心家にのみできる、ほとんど不可能なことだと思うでしょう。今回紹介する Laura Esserman 博士は、まさにそれを生まれたばかりの娘を抱えながらやり遂げました。

1990 年代初頭スタンフォード大学ビジネススクールに在籍していた Esserman 博士は、シリコンバレー型の学習および問題解決手法を、医師による患者ケアにも適用できるのではないかと考えました。特に念頭にあったのは、テスト、学習、改善のサイクルを短期間で繰り返す物事の進め方でした。同氏は次のように振り返ります。「大事なのは信念を持つだけでなく、それを試し、そこから学びを得ることです。学んで、そこから新しい何かを生み出すこと。医療分野にもこれを応用できないはずがないと思っていました」。

Esserman 博士はこの経験を生かして、統合医療および共同研究の学習モデルとなる Athena Breast Health Network をカリフォルニア大学の各医療センターの共同事業として立ち上げました。「Athena Network には、先進的な取り組みを行っている医師が多数参加しています。全員がよりよい未来のために、持てる技術と知見を提供しているのです」と語ります。現在博士は、乳がんの検診と予防のよりよいアプローチを探るための、5 年間にわたる大規模な調査プロジェクトを率いています。それが、Esserman 博士が Dreamforce 2015 で発表した、10 万人の女性を対象とする「Wisdom Study」と名付けられた取り組みです。

患者一人ひとりの知見に学ぶ

Wisdom Study は、App Cloud で医療ベストプラクティスを共有しながら、米国政府が推進する「プレシジョン医療」と呼ばれる概念の実践を目指すものです。Esserman 博士は説明します。「プレシジョン医療を簡単に説明すれば、患者を画一的に扱わないということです」。プレシジョン医療では、最悪のケースを想定した 1 つの治療計画に頼るのではなく、ゲノムの多様性、発現しているがんの生物学的特性の違い、生活習慣、臨床的治療の成果など、個人の違いを踏まえた患者ケアを実践します。

一言で乳がんといっても症状は一様ではなく、あらゆる乳がんはそれぞれに異なります。生活に影響を及ぼさないものから、非常に強い侵攻性を示し、マンモグラムでは発見が難しいものまで多種多様です。たとえば最新の調査では、米国で乳がんと診断される症例のうち、現在処方されるような積極的治療法を必要としない、非浸潤性乳管がん(DCIS)、またはステージ 0 に分類される乳がんは 20% を占めています。Wisdom Study の目標は、一人ひとりに合わせて調整するという乳がん検診の手法に、現在標準となっている毎年のマンモグラム受診と同等の安全性と効果があるかを分析することです。

有意なデータセットを収集するため Wisdom Study のリサーチャーは、40 歳~74 歳の女性 10 万人に同プログラムへ参加してもらう目標を立てました。これほどの規模の患者からデータを収集し、リアルタイムで記録、分析するためには、これに対応できるだけでなく、積極的な共同開発の意欲を持った最先端のテクノロジーパートナーが必要です。Athena Breast Health Network は Salesforce App Cloud で研究のためのプラットフォームを構築し、参加者の募集や個々の患者の既往歴の記録を行っています。そして、集積する研究データから読み取れるインサイトを医師に提供します。Esserman 博士は次のように述べています。「診察を受けるすべての方に、この研究プロセスに貢献していただくことになります。医師は患者を個人レベルで理解できるだけでなく、時間の経過に合わせて見守っていくこともできるのです」。

さらにApp Cloud を利用することにより、大規模なデータセットを扱えるようになりました。Esserman 博士は語ります。「たとえば Athena Network が 10 万人を対象に治験を実施しようとした場合、プロセスの自動化が不可欠となります」。2010 年に Salesforce をパートナーに迎えた Athena Network では、プレシジョン医療の目標達成に着実に近づきつつあります。

プレシジョン医療の実践を支えるテクノロジー

カリフォルニア大学サンフランシスコ校メディカルスクールに在籍する研修医 Carlie Thompson 氏は、革新的な取り組みに賛同して医療コミュニティとテクノロジーコミュニティが連携することがなければ、Wisdom Study は実現しなかったと語ります。「このプロジェクトでは、これまで手にしたことのないような IT ツールを駆使してビッグデータを収集、分析、活用して大きな変革を生み出そうとしています。最先端の科学を実践する環境と、そのためのツールが提供されているなかで、すべてが同時進行で実現されようとしています」。

Wisdom Study を運用していくことはかなりの負担と労力を伴いますが、乳がんの新しい治療法、医療ケア、大規模な調査手法を見つけ、確立するための取り組みはまだ始まったばかりです。Esserman 博士は語ります。「乳がんの生物学的研究が進歩し、乳がんのリスクに対する理解が深まっても、それらをすべて統合して乳がんの検診と予防に役立てるチャンスが、今まではありませんでした。それが今実現しようとしているのです。これこそが Wisdom Study の存在意義です」。

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