CRMとは?導入検討時に知っておきたい基礎知識と活用方法

投稿日:2019.08.23 更新日:2020.08.05
CRMの概念は、登場当時、大きな注目を集めました。しかし、ツールを導入しても十分に活用できず、効果を上げられないという声もしばしば耳にします。
ここでは、CRMの基礎知識と活用方法について解説します。CRMをどのように活用すれば効果的なのかを見ていきましょう。

CRMとは?

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と呼ばれます。顧客との関係性、コミュニケーションを管理し、自社の従業員と顧客との関係を一元的に把握できるようにします。たとえば、連絡先や購入履歴の確認、メールやソーシャルメディアを通じたやりとり、業務管理、商談状況のチェックなどを1つの業務アプリケーションの中で行います。こうした情報の一元化により、顧客をより深く理解し、営業活動の向上のみならず、サービス、マーケティング、経営戦略などに活かしていくことができるのです。このようにCRMは、企業が顧客とのつながりを維持し、顧客生涯価値(LTV)と収益を向上させるのに役立ちます。
そのために使われるシステムやツールはCRMシステム、CRMツールと呼ぶのが本来ですが、現在ではツールも含めてCRMと呼ぶのが一般的です。

なぜCRMが生まれたのか?

CRMが生まれた理由はいくつかありますが、そのうちの大きなひとつが「顧客ニーズの変化に対応する必要性が増した」ということでしょう。
時代とともに、市場のニーズは短期間のうちに変化していくようになりました。苦心して作り上げた新たな商品やサービスが、あっという間に陳腐になってしまう可能性もあります。ですから、常に新たな顧客をつかみ、つなぎ止めておくためには、その時々で変化していく顧客のニーズ、時として顧客自身が気付いていない潜在的なニーズまでくみ取り、対応する必要があります。
同時に、こうした顧客ニーズを分析によって探り出し、対応するためのツールが求められるようになりました。そうした要求から生まれたのが、CRMなのです。

CRMに沿って業務を進めるには?

では、CRMという概念のもとで、具体的に何をすればいいのでしょうか。それを一言でいうと「顧客とのコミュニケーションを記録し、分析し、業務に活かすこと」です。
たとえば、「いつ誰が、何をいくらで購入した」という顧客情報と、その顧客からの問い合わせや要望、クレームなどの履歴をつなぎ合わせておけば、これまでの経緯を踏まえた対応をとれますから、顧客からの信頼が高まります。
クロスセルやアップセルをかけるときにも、過去に受けた要望や商談の内容などから、どのような提案をすれば確度が高まるかが見えてきます。
このように、CRMは「どの情報をどのように使うか」を考え、業務に活かすことが重要です。

CRMとMA、SFAの違いとは?

CRMは、「顧客との関係性を管理する」ためのツールです。顧客情報とコミュニケーション履歴を時間軸に沿って蓄積していき、リアルタイムの更新・共有や分析ができます。
一方で、似たような機能を持つMA、SFAといったツールもあります。ここでは、CRMとこれらのツールの違いについて解説します。

MA:効率的なマーケティングを実現する

MAは「Marketing Automation」の略語です。マーケティングのおもな役割は、ターゲット層から顧客になってくれそうな見込み客を育成して商談へと進めていくこと、つまり、リードナーチャリングです。そのため、相手の状況や行動のタイミングに合わせ、適切なメッセージを発信して、興味や関心をかき立てることが重要になります。この、一連の作業をサポートするのがMAです。

「オートメーション」という言葉が使われているため誤解されやすいのですが、MAによる自動化は、あくまでも指定したメッセージを決まったタイミングで配信するところまでです。配信するタイミングやその対象、メッセージの内容などは、十分に練り上げたカスタマージャーニーマップを基に構築しなくてはなりません。

SFA:営業活動の組織化・効率化を担う

SFAは「Sales Force Automation」の略語です。マーケティング活動によって案件化された商談を進めるのはセールスのおもな業務ですが、その業務をすべてにわたって管理しサポートしてくれるのがSFAです。相手先企業の基本情報から商談の進捗状況、契約月の目安に加え、相手とどのようなコミュニケーションをとったのか、数値やテキストで入力することができます。

記録した情報は、リアルタイムでチームメンバーと共有でき、外出先からの確認や入力も可能となります。また、さまざまな切り口で情報を抽出して分析することもできます。そのため、担当者の不在時に何らかのトラブルが起こっても他のメンバーが対応しやすくなりますし、停滞ぎみの案件があれば、マネージャーや同僚がアドバイスすることもできます。
属人化しやすい営業業務を、標準化・組織化するとともに効率化を果たす。それがSFAの役割です。

CRM:顧客との関係性にフォーカスしたツール

CRMは顧客管理ツールの一種で、「顧客との関係性を管理する」ためのものです。顧客情報に加えて、顧客とのコミュニケーション履歴を時間軸に沿って蓄積していくことができ、一元管理することができます。
CRMの機能は、SFAと共通するところが多いため、ツールとしての両者の境界はあいまいになりつつあります。しかし、SFAは案件を軸に情報管理を行いますが、CRMは顧客との関係性を軸にしているところに違いがあります。

こうして蓄積された情報は、チーム内でリアルタイムに更新・共有でき、さまざまな切り口で抽出し、分析することが可能です。 膨大な情報を基に、現在の顧客との関係性を踏まえ、最善のアクションを導き出すためのツール。それがCRMの本質です。

CRMが持つさまざまな機能

CRMには、さまざまな機能が実装されています。
これらの機能は、顧客とのコミュニケーションを記録・共有し、お互いの関係性をより強固かつ良好に保つために使われます。細かな部分はツールによって差がありますが、代表的な機能をご紹介しましょう。

顧客情報管理

顧客情報管理とは、クライアントの基本的な情報に加え、取引きや商談の日時、内容の履歴情報を管理する機能です。カスタマイズによって、管理したい項目を追加することもできます。

配信機能

配信機能により、メールなどで情報を発信することができます。顧客をセグメントした上で、開封率の検証などもできますから、メールによるアプローチの精度を高めることができます。

問い合わせ管理

顧客からの問い合わせの内容を、履歴として保存・蓄積する機能もCRMにはあります。回答漏れや二重対応を防ぐだけではなく、よくある問い合わせをFAQとしてまとめておけば、作業の手間を減らすことができます。

CRMが持つメリット

では、CRMを活用することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。代表的なメリットをご紹介しましょう。

顧客情報を一元管理でき、生産性が上がる

CRMは、顧客に関する情報を1か所にまとめ、一元管理します。既存顧客も商談中の見込み客も、さらに商談中に失注してしまった企業も、そのプロセスを含めて記録・管理でき、必要に応じてさまざまな切り口で抽出し、分析できます。これは、営業業務の改善や効率化に大いに役立ちます。
たとえば、テレアポの獲得率や訪問件数など、営業プロセスごとの数値を分析すれば、自社のセールスのどこに弱点や強みがあるのかがわかるでしょう。そして改善策を立て、日々の業務に反映することで、営業部門のパフォーマンスアップにつなげることができます。

情報をリアルタイムで共有できる

CRMに入力された情報は、リアルタイムでメンバー全員に共有されます。そのため、二重入力が起こらず、常に最新情報にアクセスすることができます。この機能は営業部門だけでなく、その前後のプロセスを受け持つマーケティングやカスタマーサポートにとっても有用です。

たとえば、「休眠顧客やフォロー漏れのリードの掘り起こしに活用する」「顧客からの問い合わせに対して、過去の情報を瞬時に取り出して適切な対応をとる」「トラブルやクレームに対しては担当営業がこれまでのコミュニケーション情報を参照し、即時対応を図る」。このような、素早い対応ができるのは、CRMによるリアルタイムの情報共有があればこそです。
また、常に最新の営業実績を知ることができるため、より確度の高い営業戦略を練ることができます。これはマネージャー、さらには経営陣にとって大きなメリットでしょう。

営業業務の効率化でコア業務に専念できる

クラウドサービスとして提供されているCRMは、モバイルデバイスにも対応しています。外回りの多い営業担当者にとって、これはとても便利です。
A社の訪問を終えたら、移動中に商談の結果をCRMに書き込み、次の訪問先であるB社の情報をチェック。商談の進捗状況を確認するとともに、マネージャーからのアドバイスを受け取り、B社で商談。首尾良く話が進んだら、日報をまとめてそのまま直帰するといったことも可能です。前項でお話ししたように、トラブル時にも社内にいるのと変わらず、最新情報を参照しながら的確な対応が可能です。

無駄な時間を排除できれば、それだけ営業本来のコアな業務、顧客と十分なコミュニケーションをとり、その課題解決を図るという作業に集中することができます。
これによって、顧客に対して手厚いフォローができるようになれば満足度の向上につながりますし、クロスセル・アップセルのチャンスを広げ、LTVの向上にも貢献します。

属人化から脱却しチームプレイに移行できる

パレートの法則に従えば、「営業部門の売上の8割は、2割のエースメンバーによってもたらされる」ということになります。こうした属人性の強さは、営業部門の特徴ともいえるでしょう。
しかし、CRMを導入したらどうでしょうか。エースメンバーは確立した自分のノウハウを駆使してさらに上を目指しつつ、その手法を他のメンバーが流用することができます。属人性を排してチームプレイに移行することによって、営業部門全体の生産性向上、パフォーマンスアップを図ることができるのです。

また、蓄積されたナレッジを教育や研修に活用すれば、新メンバーの戦力化を早めることができます。さらに、営業スタイルが標準化すれば、担当者の変更もスムーズです。
担当者の変更は顧客にとって、あまり良いことではありません。「今度の担当さんは、ちゃんと対応してくれるかな」という不安もよぎるでしょう。しかし、標準化した営業スタイルとCRMによる情報の蓄積があれば、今までと変わらず安定したコミュニケーションを重ねることができます。

チーム内でタイムリーなケアやサポートができる

営業部門を束ねるマネージャーには、個々のメンバーに適切なアドバイスやサポートを行う責務があります。とはいえ、個々に案件を抱えたメンバーの動きを正確に把握するのは、簡単ではありません。日頃から目を配るにしても限界がありますし、日報や週報でチェックするにしてもタイムラグが発生してしまいます。
そこで、CRMを導入し、行動直後にその内容を記録するようにすれば、タイミングを逃さずメンバーに助言を行うことができます。また、メンバーが何らかのトラブルに悩んでいれば、似たような経験を持つメンバーがフォローすることもできるでしょう。
チーム内での相互サポートを促進できることで、案件の確度向上や営業機会の最大化につなげることができます。

顧客満足の向上によって、自社の利益が高まる

2019年に行われたセールスフォース・ドットコムの調査では、BtoB・BtoCの区別なく、顧客は「部署を越えた一貫したやりとり」を企業に期待しています。同時に、「自分の情報をすべての部署で共有しておいてほしい」とも感じています。 CRMを活用すれば、こうした顧客からの要望に応えることが可能になります。それによって顧客満足度が向上すれば、自社の利益となって返ってくるのです。

CRMを活用するには?

これまでに述べてきたように、CRMには多くの機能があり、それによって目に見える成果を上げることが可能です。しかし、成果が上がるかどうかは、「CRMをいかに活用するか」にかかっています。
では、どのように活用すればいいのか。その活用法について、順を追って説明していきましょう。

1. ビジョンを描く

CRMは、元々ツールではなく、営業手法そのものを指す言葉です。ですから、ツールを導入する前に、ビジョンや営業戦略をしっかりと作り上げることが第一です。その戦略に沿って営業活動を行い、その中でCRMツールを使いこなすというのが本来の姿でしょう。
そうした考えに沿えば、最初にすべきはビジョンを定めることです。「地域で売上トップになる」「新たな価値を顧客に提供する」など、それは企業によっていろいろあるでしょう。わかりやすく明確で、すべてのメンバーが理解し共感できるものであることが肝心です。

2. 戦略を構築する

ビジョンが定まったら、それをいかにして実現するかという戦略を構築します。
自社あるいは自社製品の特徴や特性を活かして、どのような価値を顧客に提供できるのか。価格や機能、独自性、サポート体制の手厚さなど、ウリにできるポイントはそれぞれあるはずです。それを、最大限に活かした戦略を構築できれば最善でしょう。
CRM導入に失敗しないためにも、ビジョンと戦略はとても重要です。

3. 目標を決める

ビジョンと戦略が確定できたら、それを日々の業務の目標として落とし込みます。そして、その目標を達成するために、CRMにどのような情報を蓄積し、活用すればいいのかを策定します。

4. 評価指標を定める

何らかのアクションを評価するには、そのアクションの結果を測定しなくてはなりません。CRMは、多くの情報を数値化して俯瞰することができますが、数値化できない情報、たとえば、顧客との商談内容やその履歴についても、後から時系列に沿って検証することができます。

CRMの選び方

CRMを導入したいけれど、どれがいいのだろう――こんなときに最も重要なのは、「自社のニーズに合った製品を選ぶ」ということです。CRMを使って何をしたいのか、どんな目的を果たしたいのか。それを基準に選定すれば、間違いはありません。
とはいえ、「具体的にどこをチェックすればいいのかわからない」というのも事実でしょう。そこで、CRMを選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。

必要な機能がそろっているか

CRMに実装されている機能は、製品によってまちまちです。基本的な機能に絞り込んだシンプルな製品もあれば、他のツールとの連携を前提にした多機能・高機能の製品もあります。近年ではAIを使い、詳細なデータ分析が可能なものも登場しています。
コストとの兼ね合いがありますから、一概に高機能のものがいいとはいえません。しかし、CRMは長期にわたって使い続けるものです。使いこなすようになってから「機能が足りない」ということのないように、幅広い機能を備えた製品を選んだほうがいいでしょう。

使い勝手が良いか

CRMは毎日使うツールですから、使い勝手の良さは重要な要素です。操作性が悪いと、それだけで使う気が失せてしまうものです。
こればかりは実際に使ってみないと判断できませんから、いくつかの製品に絞り込んだら、デモ版を手に入れて試用してみることをおすすめします。導入予定の部署で何人かで使ってみて、評価してみてください。疑問があれば、ヘルプデスクに問い合わせるといいでしょう。その上で、導入候補を比較・検討すれば、間違いのない選択ができるはずです。

他ツールとの連携や拡張性は十分か

CRMの中には、マーケティング領域で使われるMAや、カスタマーサポートで使用されるCTI(電話統合システム)など、他のツールと連携可能な製品もあります。
BtoCであれば、「実店舗のPOSレジと連携させたい」というケースもあるでしょう。これは、「CRMをどのように使うか」という点とも関係してきますから、事前にチェックしておくべきです。また、将来的な用途の拡大が見込まれる場合や、自社に合わせたカスタマイズが必要な場合は、それが可能かどうか導入前に十分検討しておきましょう。

セキュリティに問題はないか

セキュリティ対策は、どんなツールにも求められる重要項目です。大切な顧客の情報を扱うCRMでは、その重要性はさらに大きくなります。
ユーザー側からはわかりにくい要素ではありますが、不正アクセス等に対してどのような対策をとっているか、信頼できるベンダーならば可能な限り情報開示を行っているはずです。万一ということのないよう、万全の対策をとっているベンダーの製品を選びたいものです。

サポート体制は整っているか

新たなツールを導入すると、その使い方に慣れるまで、それなりの時間がかかります。CRMの導入はワークフローの変化を伴いますから、現場では大なり小なり混乱も起こるでしょう。
そんなときに、ベンダーからのサポートやアドバイスがあれば、とても心強いはず。電話やチャットでの素早いやりとりができれば、たとえ問題が起こっても大事に至る前に解決することが可能です。また、他社の事例を参考にできれば、トラブルを未然に回避することもできるでしょう。

CRM導入に失敗しないために

残念ながら、CRMを導入しても現場に定着せず、その効果を発揮できない、あるいはいつの間にか誰も使わなくなってしまったという企業も見受けられます。せっかく導入するCRMですから、その機能を最大限に活用したいところです。
では、CRM導入に失敗しないためにはどうすればいいのかについて、考えてみることにしましょう。

ツールの選択は慎重に

現在、市場に出回っているCRMツールは、それぞれ特徴が異なります。
多機能・高機能で大規模な組織で存分に威力を発揮できるものもあれば、機能を絞り込み、小規模な組織に特化したものもあります。この選択を間違えてしまうと、後悔することにもなりかねません。
CRMに求める機能は企業によって異なりますが、一般論でいえば、まずサーバー管理やアップグレードなどの対処が不要なクラウドサービスであること、将来的な用途拡大に備えた拡張性が高いことが挙げられます。
また、社内業務のフローからすれば、会計ソフトやMAツールとの親和性も欲しいところです。
自社にとって、どのようなスペックが必要なのかを見極め、その上で市場での実績がある、信頼できるツールを選ぶことが大切です。

企業トップの理解と支援は不可欠

新たな手法を取り入れたり、ワークフローを改変したりするときには、現場で抵抗が起こりがちです。ですから、現場を管理するマネージャーは、旗振り役として積極的な関与が求められます。
さらに、現場を後押しする要素として、経営トップの理解と支援は欠かせません。CRMをどう使い、自社をどのように変えていくのか。ビジョンと戦略を理解した上で、活用を推進していくことが重要です。

優先順位を決め、ロードマップを作る

CRMを導入することは、すなわち個人プレーからチームプレーへの移行を意味します。メンバー全員の心理的な変革が求められますし、新たなワークフロー、ツールの使い方に慣れる時間も必要です。スマホアプリの更新のように、ワンクリックで済むことではありません。
ですから、一度にすべてを実行しようとせず、優先順位を決め、ロードマップを作っておくことです。ロードマップに沿ってCRM導入を進め、途中でトラブルが起こったら、それを解決してから先に進むようにすれば、スムーズです。導入してから機能を拡張することもできますから、慌てることはありません。
また、導入にあたり、少人数でスモールスタートを切るのも良い方法でしょう。そこでうまく導入でき、CRMの活用ができるようになったら、その実績を基に他部署に広げていけばいいのです。

CRMの効果をより高めるには?

CRMは使い方次第で会社の将来を左右するほどの成果を生み出します。その使い方はさまざまですが、効果を高める活用のポイントをいくつかご紹介します。

CRMは活用してこそ意味を持つ

CRMは、導入しただけで売上が上がる「魔法のツール」ではありません。
十分な量のデータを入力し、目的に応じてさまざまな切り口で抽出・分析して、その結果を踏まえた適切なアクションを起こし、結果に結びつけることで真価を発揮します。単に日々のデータを入力し続けるだけではなく、そのデータを活用することに意味があるのです。
そのためにはまず、「CRMで何をしたいのか」という目的を明確にし、関係者のあいだで共通認識を持っておくことです。ここを押さえておけば、CRMをどう使えばいいかということも見えてくるでしょう。

最新・正確なデータ入力が命

CRMは、「リアルタイムで最新情報を共有できる」というのが大きなメリットです。ですから、何らかのアクションを起こしたり、顧客からの反応があったりしたら、その情報をすぐに入力することです。あとでまとめて入力すればいいなどと考えず、最新情報をできるだけ早く反映させるようにしましょう。

この入力作業が面倒だというのは、現場の正直な意見でしょう。しかし、そうすることでCRMの真価が発揮されるのですから、おろそかにはできません。早く確実なデータ入力を促すためには、入力項目をできるだけ絞り込んだり、CRM導入の意義やメリットを社内で繰り返し啓蒙したりといった努力も必要です。
顧客訪問や商談の進行など、何らかのアクションや進捗があれば、漏れなく入力する。それを習慣にすることです。

データはさまざまな形で分析して役立てよう

十分な量のデータが蓄積されたら、さまざまな形で分析しましょう。
たとえば、営業プロセスの各段階の数値を分析し、商談化率や成約率、失注率を見るというのは基本です。これだけで、自社の営業プロセスのどこがボトルネックになっているのかがわかります。
また、CRMは顧客とのコミュニケーション履歴も蓄積・記録していますから、それと併せて分析すれば「見積もり提出の最適なタイミングはどこか」「商談の失注を防ぐには、どこでどんなフォローが必要か」といったことも見えてくるでしょう。

顧客とのコミュニケーションを見直してみる

CRMには多種多様の情報がデータとして蓄積されていますが、それはいわば「自社と顧客との交流の記録」です。自分たちが多くの顧客とどのようなつき合いを重ねてきたか、正確に記されています。それらの記録を見返してみれば、顧客との関係を良好に保つためのヒントが見えてくるはずです。

「交流の手段は何がいいのか」「メールマガジンかセールスレターか、あるいは定期的に発行する会報誌がいいか」「発信するメッセージはどのようなものがいいのか」「コールセンターでのやりとりや問い合わせへのフォローに不足はないか」といったコミュニケーションの見直しを図ることで顧客を囲い込み、優良顧客へと育成して、LTVの最大化に結びつけることが可能になります。

営業とマーケティングは車の両輪

CRMは、営業部門だけでなくマーケティング部門でも活用を図ることで、より効果を発揮してくれます。
有力な見込み客を案件化する際のツールとして使うだけでなく、成約後の顧客とのやりとりを分析してクロスセル・アップセルの機会を見つけ、効果的なアプローチを探ることもできます。 こうした効率的な環境を作るには、両部門で共有できる目標を設定し、そこに至るためにどのようにデータを活かすか、十分に練り上げることです。
利益の最大化を図るという点で、営業とマーケティングは車の両輪です。それぞれが密に連携すれば、CRMの効果をより高めることができるでしょう。

CRMの活用事例

ではここで、実際にCRMを導入している企業の事例を見ていきましょう。業界も事業内容もそれぞれ異なりますが、確固とした目的を持ち、そのためにCRMを十分に活用していることが見てとれるはずです。

事例1 業務効率の向上で時間外労働を20%カット

 
会社名:日立グローバルライフソリューションズ株式会社
事業内容:家電・空調・設備機器の販売および保守サービス
国内の家電市場の停滞とデジタル化の加速。こうした状況下で、日立グローバルライフソリューションズ株式会社は、営業課題として「担当営業への業務負荷の集中」「スキルのばらつきによる実績の差」「情報共有に関わるスピード不足」の3点を洗い出しました。その解決のために導入したのが「Salesforce」です。 導入後に同社が行ったことは、100名にも及ぶ営業担当の行動の可視化です。そこから高実績の担当者の業務行動を分析して「結果を出しやすい業務スタイル」を標準化し、部門全体のスキルの底上げを図りました。さらに、企業向けSNSを活用して、組織の垂直方向と水平方向に及ぶコミュニケーション環境を整備し、情報共有のスピード化も実現しました。
現在、同社でのツール活用率は高いレベルを維持しており、営業部門の時間外労働を20%も削減できています。

事例2 情報の一元管理と共有で、満足度向上とLTV拡大を実現

 
会社名:RIZAPグループ株式会社
事業内容:健康に関する研究、ボディメイク事業
食事と運動で「人生最高の体」の実現をサポートするRIZAPグループ株式会社。顧客の希望に応えるためには、コールセンターとトレーナーとのあいだでの情報やノウハウの共有が必須でした。そこで同社では、「Salesforce」を導入して顧客情報を一元管理。さらに、顧客個人の情報だけでなく、ボディメイクを通じて得られた体型や体質の変化などの膨大な情報を、コールセンターとトレーナーだけでなく、カウンセラーや栄養士など、サービスに関わる部門全体で共有しました。
このことで、継続的なライフサポートを顧客に提供し満足度を向上させるとともに、体型維持のためのコンテンツやサプリメント、衣料品、ゴルフ・料理のトレーニングといったメニューを充実させ、効率的なクロスセル・アップセルを実施できるようになりました。

事例3 スタッフの提案力を引き出し、返品率を12%改善

 
会社名:株式会社HEAVEN Japan
事業内容:下着製造小売
女性向け下着の製造販売を行う、株式会社HEAVEN Japan。それまで、紙で管理していた顧客カルテをデジタルに移行するにあたり、複数の製品の中から「Salesforce」を採用しました。 導入後は、一般的な顧客情報に加えて、受注・販売した商品の情報、サロンでのフィッティングの内容、問い合わせ履歴など、細かな情報を蓄積。全社員がワンクリックでこれらの情報にアクセスできる環境ができました。
このことで、電話口やサロンで顧客を待たせることがなくなり、返品率の改善も実現。顧客からの返品の希望に対して、それぞれに応じたアドバイスや提案を行うことで、交換対応に変更するケースが相次ぎ、2か月後には返品率を12%も押し下げることに成功しました。 下着というデリケートなアイテムに関する感覚知を可視化・数値化してスタッフ間で共有することが、「Salesforce」によって実現しています。

事例4 グローバルに広がる顧客のビジネスをシームレスに支える

 
会社名:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
事業内容:電気通信事業等
世界に広がるネットワークを持つエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社。その顧客もまた、グローバル化が急速に進んでいます。顧客が日本から海外へ進出したとき、切れ目のないサポートをどのように提供するかが課題となります。そこで、「Salesforce」の導入に至りました。
これまでは、各国の同社現地法人がそれぞれに活動していましたが、導入後はすべての情報をシステム上で一元管理。顧客が海外で新たな拠点を開設する際にも、現地の同社スタッフは自社と顧客とのやりとりの履歴を、すべて画面上で確認することができます。さらに、蓄積されたビッグデータを多角的に分析することで、顧客側の潜在的なニーズをくみ取り、最適なタイミングで提案することが可能です。
顧客にとって、必要なものを必要なときに確実に提供する。この積み重ねがお互いのコミュニケーションを深め、信頼を高めることにつながっていきます。

十分な準備とケアでCRMを存分に活用しよう

新たなツールやシステムは、使い慣れるまでは少々時間がかかります。それによってワークフローも変化しますから、現場としては「やりにくさ」を感じることもあるでしょう。その点では、CRMも他のビジネスツールと同じです。しかし、その効果を理解し、正しく運用できれば、営業業務を効率化し、大きな成果を得ることができます。
しかし、導入前の準備や導入後のケアをおろそかにしてしまうと、期待していた結果につながらず、失望してしまうことにもなりかねません。そうならないためにも、まずはしっかりと計画を立てておきましょう。必要ならばベンダーの研修や説明会なども利用しながら、CRMを存分に活かしてください。
 

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