コールセンターの発展形、コンタクトセンターの基礎知識

投稿日:2020.10.14
顧客からの問い合わせやクレームの受付であるコールセンター。かつては電話やFAXでの対応が主流でしたが、メールやチャットツールの普及により、問い合わせの受け皿を広げる必要性が出てきました。そうした発想から生まれたのが「コンタクトセンター」です。
ここではコンタクトセンターとは何か、コンタクトセンター構築のためのポイントを解説します。

従来のコールセンターの限界とは?

企業にとって、顧客との接点となるコールセンター。社内に設置するにしろ外部委託するにしろ、これまで問い合わせやクレームの受付として機能してきました。しかし近年、その限界を指摘する声が高まっています。
その理由として、顧客とのコンタクト方法の多様化、そしてカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上が、企業にとって重要な課題となったことが挙げられます。

限られたコンタクト方法と受付時間

従来、顧客とコールセンターとのコミュニケーション手段は、そのほとんどが電話でした。しかし現在では、通信手段が格段に増えています。メールやチャット、SNSなど、状況や相手に合わせたチャネルを多くの人が使いこなしています。
コールセンターは、こうした多種多様なチャネルを使う多くの顧客に対応しなくてはなりません。いまだに「連絡手段は電話、あるいはFAX」では、あまりに選択肢が少なすぎます。

また、連絡手段が電話のみでは、コールセンターの受付時間も制限せざるをえません。人々の生活様式が多様化している中、受付時間が「平日の9時から17時まで」では、すべての顧客に対応することが難しくなります。仕事を終えた夜間や時間のある休日などにじっくり相談したいという、顧客のニーズに応えることができないでしょう。

問題解決までの時間と手間

コールセンターには多くの場合、CTIと呼ばれるシステムが導入されています。これは、電話回線とパソコンを接続し、外部からの電話を手の空いているオペレーターにつないだり、顧客情報を検索して表示させたりといった機能を持ちます。つまり、コールセンターの業務効率化ツールです。
しかし、こうしたツールは製品によって機能に違いがあり、その効果もさまざまです。また、コールセンター業務は人の手による作業が多いため、自動化できる範囲は限られていますし、オペレーターのスキルや手順によって、問題解決までの時間や手間が変わります。

「さんざん保留音を聞かされて、たらい回しされたあげく、何の役にも立たなかった」。コールセンターに対するこうした不満はよく聞かれるもの。
これでは、顧客の役に立つはずのコールセンターが、かえって顧客にストレスを与えることになってしまいます。

顧客は「良質な体験」を求めている

これまで、企業は高品質な製品を安価で提供することで、顧客の要求や期待に応えてきました。しかし近年、顧客が「良質な体験」を求める傾向が強まっています。製品への満足だけでなく、購入前の検討段階から購入後のサポートまで、あらゆる場面で質の高いサービスを求めるようになってきたのです。

2019年4月にセールスフォース・ドットコムが行った調査では、84%の顧客が「企業が提供する体験は、製品・サービスと同じくらい重要だ」と回答しています。
こうした顧客の要求に応えるためには、顧客との接点で「いかにストレスのない、心地良い体験を提供するか」ということが重要な課題となります。つまり、コールセンター業務においても、これまで以上の良質な対応が求められるというわけです。

コンタクトセンターとは?

従来のコールセンターの限界や顧客の要求に応えて、近年ではコールセンターを進化させたコンタクトセンターが登場しています。すでに多くの企業から注目され、実践され始めています。
コンタクトセンターはこれまでのコールセンターとは何が違い、どのようなメリットがあるのでしょうか。

多彩なコンタクト手段に対応している

企業によっては、必ずしもコンタクトセンターという名称を使っているわけではありません。しかし、コンタクトセンターは、従来のコールセンターから大きな進化を遂げています。
まず、顧客とのコンタクト手段が豊富です。従来の電話・FAXに加え、メールや各種SNSに対応しています。また、チャットツールはオペレーターが直接担当するほか、AIを用いたチャットボットが利用されることもあります。顧客は時間や曜日を気にせず問い合わせを入れることができますから、ストレスがほとんどありません。
この多彩な接触手段が、コンタクトセンターの一番の特徴といえます。

スピーディな顧客対応の実現

コンタクトセンター業務は、次々と入ってくる顧客からの問い合わせをいかに迅速に、的確にさばいていくかが重要です。コンタクトセンターでは、オペレーターのスキルに加えてCTIのようなツールが不可欠ですが、最先端のツールは実に多彩な機能を備え、スピーディな顧客対応を実現しています。
チャットボットは、その象徴といえるかもしれません。企業サイトを訪れた顧客はまずチャットボットに質問を入力。するとAIが、質問内容を分析して回答を提示します。うまくすればここで顧客の問題は解決しますし、そうでなければオペレーターにスムーズに引き継がれます。
こうしたプロセスをとることで、オペレーターの作業負荷は大きく軽減されますので、よりすばやく適切な対応が可能となるのです。

担当部署とのスムーズな連携

重要な顧客接点であるコンタクトセンター。そこに入ってきた顧客からの情報は、セールスやマーケティングなどの関連部署と共有し、CRMを活用して業務に活かすべきでしょう。また、生産管理や品質管理などと連携がとれれば、より高品質の製品を無駄なく市場に提供するための一助になるはずです。
関連部署との連携を強化したコンタクトツールを利用すれば、顧客の声をすばやくくみ取り、検討し、迅速に対応することができます。つまり、業務効率を向上させることができるのです。

高いユーザーエクスペリエンスを提供

コンタクトセンターが持つさまざまな特徴は、顧客に不満を感じさせない、スムーズな対応を実現します。これは顧客にとって「良質な体験」であり、顧客満足の向上に大きく貢献します。
企業との接点で顧客が体験するさまざまなこと、つまりユーザーエクスペリエンスは、近年その重要性が高まるばかりです。どれだけ上質な顧客体験を提供できるかは、企業のブランド価値を左右する大きな要因となっています。まして、コンタクトセンターは問い合わせやクレームの受付窓口。ほとんどの顧客が疑問や不安、あるいは不満や怒りを抱えてアクセスしてくる部門です。
そんなネガティブな感情をやわらげ、疑問や不安に対応して満足感を提供する。コンタクトセンターの導入は、理想の顧客対応に近づく、大きな一歩となります。

コンタクトセンターへの転換に必要なポイント

従来のコールセンターからコンタクトセンターへ。この進化を果たすためには、何が必要となるのでしょうか。
ここからは、コンタクトセンターへの転換に必要なポイントをいくつかご紹介します。

CXを意識した、顧客目線での対応が第一

コンタクトセンターの第一の条件は、「多くのコミュニケーション手段に対応していること」です。
SNSやチャットツールを使い慣れた若い世代がターゲットであれば、なおさらです。より多くのチャネルを用意できれば、幅広い顧客ニーズに対応することができます。

また、単にチャネルを増やすだけでなく、「コンタクトセンターは上質なCXを提供する部署」という意識を持つことも大切です。スムーズでスピーディな対応も関連部署との連携も、すべては顧客に良質な体験を提供するためのものであり、その先には顧客満足の向上、さらに自社のブランド価値の向上という目的があります。それをしっかり意識した上で、顧客目線での対応を徹底することが大切です。

コンタクトツールを有効活用する

進化したコンタクトセンターには、その機能を十分に果たせるコンタクトツールが必要です。
CTIとしての基本機能に加え、CRMとの強力な連携、AIによるチャットボットなどは欲しい機能ですし、顧客と通話しながら作業することになるのですから、操作性や使い勝手の良さも重要です。
市場には複数のコンタクトツールが登場しており、機能やコストはさまざまです。自社にどのようなツールが必要なのかを見極め、試用してみて、最適なものをチョイスしましょう。そして、存分に活用してください。

コンタクトセンターには、大きな可能性が眠っている

コンタクトセンターは、顧客と直接ふれ合える、数少ない接点です。上質な対応で顧客に満足を提供できれば、自社のイメージ向上にも大きく役立ちます。
コンタクトセンターには顧客に今以上の価値を提供し、さらには自社の価値をも高める、大きな可能性が眠っているのです。

 

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