売上予測とは?精度の高い予測の立て方と計算方法
売上予測とは?
売上予測とは、過去の売上実績や自社の状況、環境要因などから将来的な売上の予測を立てることです。
将来的に見込める利益を見極めるための重要な指標の1つで、売上予測が正確であれば今後の事業計画やリソース・予算の配分も、より適切に行えます。
売上予測は、過去のデータを基にして予測を立てることが大切です。勘や慣習などから決めるのではなく、実際に積み上げたデータから導き出しましょう。
売上予測と売上目標の違い
売上予測と売上目標は似ている言葉ですが、実際はまったく異なる意味を持ちます。
売上予測は過去のデータに基づいて将来の数値を予測する統計的手法であるのに対して、売上目標はあくまで目指すべき目標値です。
売上目標は、そこに期待や努力、必要性などの要素も盛り込まれるため、必ずしも統計的に算出されるわけではありません。
売上予測の算出に必要な情報
売上予測を算出する際には、どのようなデータが必要となるのでしょうか。扱う製品やサービスの特性によって多少の違いはありますが、おおよそ次の情報は必要になるでしょう。
- リード状態からの成約率(CVR)
- 商談期間
- 月ごと、四半期ごとなど、一定期間での売上実績
- 商品別の売上実績
- 現在の案件化数
- 平均成長率
商材が1回売り切りの製品ではなく、サブスクリプションモデルのように継続的に提供し続けるサービスであれば、これ以外にも「契約期間」「更新率」「解約率」といった情報も必要でしょう。
情報が多いほど予測の精度は高まりますが、あまり重要でない情報まで入れ込んでしまうと混乱が起こります。自社の売上予測において重要な指標となるものは何かを、定めるところから始めるといいでしょう。
売上予測の立て方
売上予測の立て方には、おもに「過去の実績を基に算出する方法」と、「営業パイプライン(見込み顧客から受注までのプロセス)から算出する方法」の2種類があります。
オーソドックスなのは過去のデータから算出する方法ですが、新しい事業に取り組むときや方法を大きく変える場合などには、営業パイプラインからの算出が必要になることもあります。
ここでは、これら2つの算出方法を詳しく解説します。
1)過去の実績を基に計算する方法
過去の実績を基に算出する方法は、前年同月の売上と年間成長率を用います。
たとえば、今年6月に見込まれる売上を出したいなら、昨年6月の売上に年間成長率を乗じて算出します。年間成長率と売上予測の算出式は以下のとおりです。
■年間成長率の計算方法
(前年同月売上-2年前の同月売上)÷2年前の同月の売上
■売上予測の計算方法
前年同月×年間成長率
■計算例
今年6月の売上を予測するとして
昨年6月の売上:800万円
2年前の同月売上:700万円場合
年間成長率=(8,000,000–7,000,000)÷7,000,000=0.142…(約14%)
売上予測=8,000,000×1.14=9,120,000
2)営業パイプラインから予測する方法
営業パイプラインから売上予測を算出するには、それぞれの通過率や所要時間を実績から算出、それらの数値を基に予測を立てていきます。
■受注数を予測する計算式
初回訪問数×各種工程の通過率=受注見込み数
■売上予測の計算式
受注見込み数×商品価格=売上見込み額
■例
販売商品の価格・・・20万円
初回訪問数・・・100
初回訪問からヒアリングに進む割合・・・60%
ヒアリングから提案に進む割合・・・50%
提案から見積もりに進む割合・・・50%
見積もりから受注に進む割合・・・60%
受注数の予測:100×0.6×0.5×0.5×0.6=9件
売上予測:9×200,000=1,800,000円
売上予測の精度を高めるには?
1)メンバー1人ひとりがコスト意識を持つ
2)数か月先までの売上予測を立てる
3)ツールを活用する
売上予測を立てるにあたり、ぜひ活用したいツールがSFA(営業支援システム)です。
SFAは、営業活動の行動管理や進捗管理などを行うツールで、商談結果の蓄積や、ツールに蓄積したデータから精度の高い売上予測の算出が可能です。最近では、AIによって案件管理業務が自動化されている製品も登場しています。
たとえば、「Sales Cloud Einstein」では、商談に関する多くの要素をスコアリングすることで、精度の高い売上予測を算定できます。また、進捗が思わしくない案件については、商談対応のヒントを提案してくれるので、マネージャーの負荷軽減にも役立ちます。
正確な売上予測を導き出すことが円滑な経営を後押しする
セールス部門は利益を生み出す最前線であり、そこで使われる売上予測は経営に関わる重要な数値です。
正確な売上予測は、円滑な経営を後押しする基礎となり、ひいては中長期的な計画立案や会社の事業の方向性を決定する際にも役立ちます。実際にシステムによって担保された正確な売上予測が、企業のIPOに大きく貢献した事例もあります。
そのためにも、メンバー1人1人がコスト意識を持つこと、数カ月先までの売上予測を立てること、ツールを用すること、この3点を意識して、計画面から営業活動を活発化していきましょう。