株式会社イワナミ

アフターセールスとLTV最大化を目指し、Salesforceを使い倒す

山口・島根に4店舗を構える地域密着型の工務店が、
Salesforceを中心にDX施策を加速。
独自のスマホアプリも開発するなどさまざまな取り組みを行っています。

株式会社イワナミ(以下、イワナミ)は、山口・島根に4店舗を構える地域密着型の工務店です。不動産業としての顔もあり、不動産の取得から住宅建設・リフォームをトータルに提案し、新築だけでも創業以来2500棟以上を自社施工した実績を持っています。同社は、ここ数年でDX施策を加速させています。社員52人のほぼ全員がSalesforceを活用し、イワナミで家を建てたオーナー向けの「IWANAMI CONNECT」アプリの提供も開始。顧客との強固な関係を築き、地域の発展にも貢献できる存在として、さらなるDX推進とビジネスの成長を図っています。
 
 

1. フレッシュな情報が欲しかった

イワナミは、長く営業系のシステムを導入せず、人と人との直接的なコミュニケーションやExcelを使った情報共有により、さまざまな業務を行なってきました。しかし、ビジネスの成長に伴って社員数が一定数を超え、さらに拠点も増えたことで、情報共有をより迅速に行いたいというニーズが生まれてきました。折しもDXという言葉が浸透し、デジタル社会におけるさらなる成長のために、あらゆる規模の企業がデジタルを使った変革を目指すという流れが出来上がりつつある中、同社もそのための取り組みを開始すべく、検討をスタートさせることにしました。

具体的には、企画室を立ち上げ、「何らかのシステムは必要だろう」と考え始めていたときに、セールスフォース・ジャパンと初めてコンタクトを取ることになりました。

代表取締役社長 波田 成剛氏は、「名前はもちろん知っていて、経営者仲間にもユーザーが居るので、安心感はありました」と当時を振り返ります。「ソリューションの説明を受けた後、経営者仲間に、“Salesforceってどう?”と聞いてみたところ、その答えは“継続して使い続けること”というものでした」。

このアドバイスで、使えば使うほど価値を得られる一方、社員に使ってもらうための工夫が必要で、より成果を生むために進化させ続ける覚悟が求められることなどを理解できたといいます。結果、面談からわずか2週間でService Cloudの採用を決定。波田氏は、「やるなら、すぐにやると決めます。2週間でも遅いくらいですよ」と話します。

Salesforceの設定と一部の機能開発はパートナー企業に依頼し、1か月で使える状態に。その後約1か月をかけてブラッシュアップし、全面稼働させました。それと同時に、Excelで全員が共有していた管理帳票を撤廃し、すべてSalesforceに切り替えました。

執行役員/工務部 部長 島田 雅章氏は、「部下を管理する側として欲しいのは、フレッシュな情報です。Salesforceでそれを実現できたことが、初期における最大の成果でした」と話します。

同社にとって、もっとも重要なのは追客(パイプライン)情報です。これまでExcelのシートで管理していた情報は、Salesforceを見れば履歴を一覧できるようになりました。これにより、担当者が直面している課題などを含め、商談の履歴を時系列に追いやすくなります。上長は部下の追客情報をいつでもどこからでもリアルタイムにSalesforceで確認し、的確な指示を出せるようになりました。

 
 
 
 

2. IWANAMI CONNECTアプリで顧客と永続的な関係を

Salesforceの導入と並行して、同社はもうひとつの長年の課題にも向き合ってきました。それは、引き渡し後の住宅履歴を適切に管理するプロセスの最適化です。これまでも工務部が可能な限り管理してきたのですが、「本当に顧客にとって価値があるのか」という疑問がつきまとっていたのです。

実は、工務部は住宅履歴を作成し、管理し続けるためにかなりの手間をかけています。顧客が簡単な工事を小さな工務店や水道業者、電気工事士などに依頼していた場合、漏れや抜けも出てきます。完璧な住宅履歴があれば、定期メンテナンスを確実に実施して長く安心して住み続けることができますし、売却時の資産価値を高めてもくれます。そのために、顧客とつながり続けながら、顧客のLTVを高め、家を中心に世代を超えて顧客をサポートできる仕組みについて検討していました。

これを実現するツールとして、スマートフォンアプリというアイデアが浮かびました。顧客は、アプリを通して最新の住宅履歴を確認できます。イワナミとしても、定期メンテナンスなどの案内をプッシュ配信できます。さらに、地域のお役立ち情報やユーザーコミュニティなどの機能を付加することで、顧客にとって身近なアプリとして機能させることも期待できます。

Salesforceに顧客情報が蓄積されているため、データの中心はSalesforceに置きました。その上で、アプリを中心に定期点検やアフターメンテナンスのプロセスを再設計。Service Cloudのナレッジベースを活用してFAQも用意しました。これらを整えてから、Customer Community PlusとMobile Publisherを使ってアプリを開発することになりました。

開発期間は約半年。島田氏がプロジェクトを主幹し、現在では社内で最もSalesforceを使いこなしている取締役 営業部長/岩国店・柳井店 統括店長 波田 壮志氏と二人三脚での取り組みでした。開発パートナーと何度もミーティングを行い、意識をすり合わせながらプロジェクトを進め、2022年2月にリリースすることができました。

波田壮志氏は、「顧客情報はすべてSalesforceに入っていて、Salesforceに付随してさまざまなサービスが派生していくイメージです。データが自然とSalesforceに集まってきくるため、内部的には扱い慣れたSalesforceだけで作業できます。この仕組みこそ、私たちの生産性向上に直結すると考えています」と話します。

アプリはApple StoreとGoogle Playに公開されています。だれもがダウンロードできますが、顧客がIDとパスワードを入力することで初めて利用できるようになります。リリース後2か月で、すでに100以上のユーザーが利用してくれています。

「実は、営業活動でも良い感触を得ています。お客様にアプリを実際に見ていただくことで、住み始めてからもずっとサポートしてもらえるという安心感を持ってもらうことができますから」(波田氏)

 
 

3. VRAやQuipなど新たなツールも取り入れる

“使い続ける”と覚悟してスタートしたSalesforceプロジェクトは、そのとおりに進んでいます。稼働当初には一覧できるだけで満足していた顧客情報は、TableauとTableau CRMを使って分析・可視化を行うようになりました。広告活動も最適化しました。同社は、家を建てる世代であり、かつ営業圏内に家を建てる可能性のある人たちに絞り込んで確実にメッセージを届けられるよう、FacebookとGoogleを中心に広告を展開しています。このプロセスには、Marketing StudioのAd Studioを適用するようになりました。

このように、Salesforceの活用範囲はさまざまな業務範囲へと広がっています。最新の取り組みは、VRA(ビジュアルリモートアシスタント)とQuipです。

VRAは、映像や画像をリモートで共有し、同じものを見ながら、適切なサポートを行うことが出来るツールです。同社はこれを工務部で活用する計画で、若手担当者が現場でわからないことがあれば、別の場所に居るベテランがいつでもサポートできる体制を作り上げようとしています。「共有した映像や画像に直接書き込む機能があり、それを使った指示がわかりやすいと好評です」(島田氏)。現在は、3か月ごとに使用者を変えて全体の意見を集約している最中です。

Quipは、さまざまな形式のドキュメントをメンバー間で共有し、リアルタイムに共同編集できるツールです。現在は、定例の幹部ミーティングや部門ミーティングの議事録作成に活用しており、迅速な情報共有と膨大なデータをペーパーレスで保管できる点に価値を感じています。さらに、タスクの共有を積極的に利用することで、「やった/やらない」、「言った/言わない」の話にさせず、全員が共有している場でタスクを割り振るプロセスを確立することができました。活用範囲はさらに広げられると見ています。

波田氏は、以下のように現時点におけるプロジェクトの成果について総括してくれました。

「これからは、人口は減りますし、一方で職種は増えています。これは、働いてくれる可能性のある人が減ってしまうことを意味します。労働時間を減らし、働きやすい職場環境を整えていくことは経営者としての使命。Salesforceを早い段階で取り入れたことは正解だと感じていますし、どんどん新しいソリューションを活用して、常にフレッシュで、社員同士が仲良く、気分良く働ける職場づくりに取り組んでいきます」

 
 
 
 
 
※ 本事例は2022年4月時点の情報です
 

その他のリソース

 

顧客事例

アクシオス・マネジメント株式会社

顧客事例

Village House

顧客事例

株式会社LIFULL

 
 

最新情報と斬新なアイデアを
メールでお届けします