株式会社KRC

Salesforceの活用で事務処理時間を50%削減
業務効率化、顧客管理の高度化にむけた 保険代理店顧客管理システムを実現

表計算ソフトから脱却しSalesforceを導入
Salesforceの活用により事務処理業務時間を50%削減
業務効率化、顧客管理の高度化にむけた攻めの活用を目指す

協同組合のマインドを持ったユニークな保険代理店であるKRCは2021年1月からSalesforceを本格的に導入しました。それまでは十数年前に独自開発した情報システムで契約管理をメインとした事務処理を行っていましたが、ビジネスの拡大とともに実務への対応が困難となっていました。そこで同社では、セキュリティ対策の強化も狙ってSalesforceへの移行を決定。Salesforceを同社の基幹となる顧客管理システムとして採用しました。
 
 

1. 企業支援サービスにかかわる各種情報の一元管理が急務

今年度、創立20周年を迎えた地域密着型の総合保険代理店であるKRCは、複数の代理店が集まり、事業協同組合型の組織として発足したユニークな代理店です。現在、全国102地域に支社を持ち、営業メンバーは450名、クラークは200名の規模に成長しました。代表取締役の畑田良伊氏は、同社の特徴を次のように語ります。

「創業の精神は相互扶助で、メンバーがお互いに助け合い、社会に貢献することを第一義に考えています。一般的な会社組織と違ってヨコのつながりが強く、役員も社員も同じ土俵に立つフラットな組織になっています」

しかし、規模が急拡大していくと同時に、社内の情報システムには課題も感じられるようになってきたといいます。旧システムでは、お客様の意向把握やスケジュール管理、契約管理を実施していましたが、一元管理はできていない状況だったと同社システム部部長の木場貴勇氏は振り返ります。

「旧システムは、クライアントサーバーの仕組みでしたから当事務所にサーバーがありました。もちろんバックアップは行っていましたが、災害時を考えると不安な状況でした。単に事務処理を行うだけで、顧客管理にはほど遠い状況でした。抜本的に刷新する時期だと考え、さまざまなCRMシステムを比較検討したのです」

事務処理とは、顧客意向の情報、スケジュール管理、契約管理が主で、契約情報はすべて都度、手入力が必要でした。そのため、入力漏れやミスも起きやすく、入力したデータを活用することも難しかったため、入力を後回しにする傾向さえありました。

 
 

2. CRM導入で重視した信頼度

KRCとしては、顧客・契約情報を一元的に管理し、満期切れの前に顧客に連絡を取る満期管理はもちろんのこと、これまでの契約実績を分析して販売促進につなげるようなシステムが必要でした。執行役員営業統括部長の関根康浩氏はCRMの必要性について次のように語ります。

「保険営業はお客様とのやりとりなどを証跡(証拠)として残す義務があり、利便性の観点からもモバイル機器から入力できるシステムが必要でした」

前出の災害対策や世の中の潮流を鑑みても、オンプレミスではなく、クラウドシステムが候補に挙がりました。さらに木場氏は、比較検討に際して、システムの内容だけでなく、提供会社の規模を含めた信頼度も勘案したと言います。それだけCRMは同社にとって重要なシステムであり、提供事業者の継続性も重要でした。

「もちろん保険代理店専用のシステムもあり、その方が導入しやすいのではないかという意見もありました。しかし、検討をすればするほどソリューション提供企業自体の信頼度、セキュリティ、年3回のバージョンアップも含めた保守などの面でSalesforceが群を抜いていると判断しました」(畑田氏)

 
 
 
 
 
 
 
 

3. 年齢層の高い募集人にも使いやすいUIを追求

導入したシステムは、顧客の意向把握・情報提供、顧客管理・営業支援、業績管理、募集人管理などのメニューがあり、共同GW(T-net=東京海上の保険一括システム)との連携も容易にできます。また、募集人への告知やお知らせを掲載する掲示板も実装し、動画も掲載ができるようになるなど、便利に使われるようになりました。

2020年11月に試験的に5支社50名で運用を開始。21年1月には全拠点に展開し、全社員650名が利用し始めました。

定着にむけて鍵を握るのは使い勝手でした。KRCは募集人の平均年齢が54歳と高く、70〜80代もいます。
「年齢層の高い募集人にも使ってもらえるシステムでなければ意味がありません。入力方法など使いづらいと声があがった部分については改良を重ねています。改良においてもSalesforceであれば迅速にローコードノーコードで対応できるという点が非常に役立っています。以前のシステムでは、改良したい点があっても1年経っても直せないこともありました、それがSalesforceであれば即座に改良できます。そのため、分かりやすく誰でも使えるインターフェースの実装を十分に追求することができました」と畑田氏はUIへのこだわりを滲ませます。

また、木場氏によれば、定着化に対しても、紙のマニュアルはもちろん、サポート動画を作成したり、さらにはヘルプデスクとして向き合ったりなど工夫を凝らしたといいます。

「紙のマニュアルは随時更新し、マニュアルが苦手な人向けには操作用の動画も作成しました。それでもダメなら電話を下さいと広報し、ヘルプデスク的な対応をしました。当初は1日中電話がありましたが、今はだいぶ減っています。時間に余裕もできたので便利な使い方のワンポイントレッスンを発信していきたいと考えています」

 
 

4. 今後はアップセルを目指した攻めの活用を目指す

現在では、ダッシュボードを利用して満期管理、顧客管理がスムーズにできるようになり、証跡や報告書などレポート作成も容易になりました。情報共有には掲示板が活躍しています。また、これまで現場に行かないと把握できなかった営業状況も、オンライン上でつぶさに確認することができる点もメリットだといいます。

「管理者側もずいぶん楽になりました。コンプライアンス面も監査部とコンプライアンス統括部がチェックしており、現場に行く手間が省けています。また、年配の募集人の方々からは、お子さん達(後継者)にお客様基盤をつないでいきたいものの、これまでどのようにお客様をサポートしてきたのか伝えられていないという事業承継に関するジレンマを聞いていました。CRMの顧客データによって、こうした募集人の事業承継の課題にも役立てていけるようになりました」(関根氏)

またこれまでのシステムでは、監査部やコンプライアンス統括部で証跡入力の確認についても、1件ずつ情報の確認をする必要があったところ、Salesforceの導入後は、レポート機能を活用することで、全ての内容が一覧で確認できるようになりました。年間15,000件、月あたりにすると1,200〜1300件にものぼる証跡チェックの業務に対して、導入前は毎月100時間程の時間がかかっていたものが、Salesforce導入により月50時間程度へと短縮され、約50%もの業務効率化につながりました。さらに畑田氏は今後、システムを“攻め”に活用していきたいと語ります。

「管理など守りの面ではだいぶ使えるようになってきましたが、将来的には攻めの姿勢で使いたいと考えています。お客様への販促の提案などアップセル(単価向上)にもつなげていけるはずです」

関根氏は、そのためにも「欲しいデータや指標があると、そのたびにSalesforceの担当者に要求している状況を脱して、我々が自ら操り、営業と密着したシステムに育てていきたいと考えています」と管理職側のレベルアップの重要性にも言及します。

畑田氏は、Salesforceは同社の基幹システムそのものと評価し「KRCの成長はSalesforceの支えがなければ実現しません。共に発展していきたいと願っています」と語ります。

同社では、今後、勤怠管理などより多くのデータをSalesforce上に統合し、募集人にもお客様にも喜ばれる体制を目指し、ファイル共有の仕組みを整えるなど、より使い勝手のよいCRMを目指していくとしています。当然ながら、その歩みをSalesforceではサポートし続けます。

 
 
 
 
事務処理業務を削減
 
 
※ 本事例は2022年11月時点の情報です
 

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