消費者行動の変化に伴い台頭するコンテンツマーケティング
消費者にどう見つけてもらい、どう広めてもらうか

公開期間:11月20日~12月3日

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第2回、第3回では、コンテンツマーケティングの「コンテンツ」について説明しました。
しかし、そのコンテンツも消費者の目に留まらなければ制作した意味がありません。
今回の記事では、制作したコンテンツを消費者にどう見つけてもらい、どう広めてもらうかを説明します。

消費者にコンテンツを見つけてもらい、広めてもらうための活動は、大きく2つに分かれます。
1つは、見つけてもらい広めてもらう「力」を制作コンテンツそのものに内包すること。
もう1つはコンテンツを意識的にプロモートすることです。

消費者に見つけてもらい広めてもらう「力」を
コンテンツに内包する方法

コンテンツに、見つけてもらい広めてもらう「力」を内包するには2つの方向性があります。消費者の検索行動を意識したコンテンツ作りと、ソーシャルメディアでの広がりを意識したコンテンツ作りです。

Googleが提唱するZMOTとは

インターネットと検索エンジンが生まれたことにより、消費者のモノやサービスを購入する流れは変化しました。

インターネット登場前は、消費者が購入意思決定をするタイミングは、多くの場合は店頭であり、情報をコントロールする力は企業側が持っていました。
しかしインターネット登場後、何かを実際に購入するまでの過程において、オンライン評価、消費者レビューコメント、レビューサイト、比較サイト、会社の公式サイトなどを、消費者は無意識のうちにチェックしています。
Googleは、そのようなオンライン上での実質的な意思決定の瞬間をZero Moment of Truth、もしくはシンプルにZMOTと呼びます。

※参考:Googleが提唱するZMOTと消費者の新しいメンタルモデルとは?

このZMOTをいかに捉えるかが、現在の企業のマーケティング活動において、極めて重要なものになりました。

消費者の検索行動を意識したコンテンツ作り

このZMOTの瞬間に、多くの消費者が行うのが検索行動です。自身の知りたいことを、検索エンジンを通じて調べようとします。

検索エンジンの検索結果で、自社ページの露出度合いを高める活動がSEO施策です。ただこのSEO施策も、そのやり方が昨今変化してきています。

過去のSEO施策は、有料外部リンクの購入やテクニック重視の施策であることも多く、「コンテンツの質の良さ」の重要性は相対的に高くはありませんでした。

質の良くない情報が検索結果の上位に現れ、消費者が知りたい情報を得られない状態は、Googleなどの検索エンジンに取っては大きな問題です。
その問題を解消すべく、Googleは継続的にアルゴリズムの改善を行い、良質なコンテンツが検索結果に表示されるようにし、低品質のコンテンツは掲載順位を下げるようになりました。

その結果SEO施策は、事業に関連する消費者ニーズの把握(≒検索キーワードの把握)と、そのニーズを満たせるような良質のコンテンツ作りが、改めて重要になってきました。 とあるニーズは、消費者Aさんには今週生まれ、消費者Bさんには半年後に生まれるかもしれません。検索エンジンを通じて見つけられる良質なコンテンツは、結果として資産性の高いトラフィックを継続的に生み出します。

消費者が見つけるのは、自社サイトだけではない

消費者が検索した結果、目にするのは企業の公式サイトだけではありません。 そのことを、私が肌で感じる例を1つ紹介します。

当社Ginzamarketsの本拠地はアメリカのシリコンバレーにあり、ありがたいことに世界の様々な国から問合せを頂きます。問合せを頂いた際、どうやって当社のことを知ったのかを質問すると、一定の割合で「Quora※で知った」と言われます。
※Quoraとは、Facebookの元幹部2人が立ち上げた実名性のQ&Aサイトです。

なぜQuoraで当社のことを知るのでしょうか?

実は、Googleで「enterprise seo platform(エンタープライズSEOプラットフォーム)」と検索すると、Quoraのページ「Opinions on enterprise SEO platforms? - Quora(エンタープライズSEOプラットフォームについての意見求む)」が上位表示されています。

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Quora以外で上位表示されるページは、当社含めSEOプラットフォームのベンダーばかりですが、「enterprise seo platform」を調べる人は、個々のベンダーのことよりも、一般的でより客観的な情報を求めていると推察され、Quoraのページが見られているものと思います。

その「Opinions on enterprise SEO platforms? - Quora」というリンクをクリックすると、実は当社CEOのレイがその質問に対して回答しています。

質問者は一般的なことを知りたいのに、レイが答えたら客観的ではなく、自作自演のステルスマーケティングみたいなもんじゃないか、そう感じるかもしれません。しかしこの質問に当社のレイが回答することはQuoraのお作法的に間違っておらず、むしろ専門家として歓迎されます。

この質問に対するレイの回答は、次の一文から始まります。 「Disclosure: I'm the CEO of Ginzametrics, an enterprise SEO platform so I'm obviously biased but I'll try to give an objective answer. 」

まず自身の素性(GinzamarketsのCEOであること)を明かし、そのため明らかにバイアスがかかっているが、それでも出来る限り客観的に回答をする、という書き出しです。
その上で、小規模サイト向けのSEOツールとエンタープライズSEOプラットフォームの違い、エンタープライズSEOプラットフォームが求められるようになった背景、当社の競合の説明(以前そのうちの1社でチーフエンジニアをしていたことも明かします)、エンタープライズSEOプラットフォームの主たる特徴などを、出来る限り客観的に説明しています。

自分の言いたいことを言うのではなく、消費者が知りたいと思うことを書く。自社サイト以外でも、この立場に立った情報発信が大事になります。

ソーシャルメディアでの広がりを意識したコンテンツ作り

ソーシャルメディアでの広がりを意識したコンテンツは、シェアラブルコンテンツ(共有可能な・したくなるコンテンツ)と呼ばれます。「シェアラブル」と呼ぶのは簡単ですが、意識して制作するのは非常に高度な人間の心情理解を求められます。

YouTubeのトレンドマネージャー(ひたすらYouTube動画を見て、分析する担当)のケヴィン・アロッカ氏によると、バイラルで広がる動画のポイントは、次の3点であると結論付けています。

1.流行を作る人(Tastemaker)
ただそこにコンテンツがあるだけでは十分ではなく、影響力のある人が取り上げることが着火点となって多くの人の目に触れるようになり、流行になります。

2.多くのユーザーの参加(Communities of Participation)
20世紀型のコンテンツは一方的な受動的なものでしたが、コンテンツに対して消費者が参加し、アレンジし、能動的にクリエーションをすることが、広がるためのポイントです。

3.意外性(Unexpectedness)
人の目を引くものは、本当にユニークで予想外なものだけです。ちょっと面白い、ちょっとユニークであるくらいでは、シェアしてもらえません。
 

コンテンツを意識的にプロモートする

消費者の検索行動を意識したコンテンツ作りやソーシャルメディアでの広がりを意識したコンテンツ作りは重要であるものの、それに加えてコンテンツを意識的にプロモートして、コンテンツに接する消費者を増やす活動も必要です。

自社から直接情報を伝達する

最も基本的な方法は、自社がコントロールしているチャネルを通じてコンテンツを発信することです。

自社のメール会員に送っているメルマガで取り上げる、新しい記事やメディアで取り上げられたら自社のFacebookやTwitterで発信する、調査レポートをまとめたらプレスリリースを出す。 自社の社員に、個人のソーシャルメディアアカウントで取り上げることを推奨するのも、現実的な方策です。

コンテンツの内容が消費者にとって有用なものであれば、ある程度の情報の広がりを期待できます。

第三者にコンテンツ拡散の協力をしてもらう

制作したコンテンツは、やはり多くの人に見てもらいたいものです。自社で管理するチャネルでのプロモートが基本であるものの、それ以外の方法として、第三者に協力してもらう方法を説明します。

インフルエンサーと協業する

コンテンツは、自社で制作するだけでなく、外部を活用することも多いです。その際、自業界に一定の影響を与えうるインフルエンサーと協業することがあります。インフルエンサーには、コンテンツ制作能力と共に、インフルエンサーとしての影響力/拡散力を期待します。

例えば、元アップルのエバンジェリストであるガイ・カワサキ氏はIT業界のインフルエンサーであり、Twitterのフォロワーは100万人超、Facebookのフィード購読は27万人、Google+のフォロワーは300万人超です。

このガイ・カワサキ氏と協業しているのが、アメリカンエクスプレスの中小企業向けポータルOPEN Forumです。ガイ・カワサキ氏は不定期にOPEN Forumにブログ記事を投稿しています。

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ガイ・カワサキ氏の記事やソーシャルメディアでの発信を通じて、OPEN Forumのコンテンツに接するユーザーが一定数いることは想像に難くありません。

ブロガーネットワークを活用する

ブロガーを活用する方法は、ひと昔前の施策のように感じるかもしれませんが、ソーシャルメディアの広がりにより、以前以上にコンテンツ拡散力に影響を与えるようになっています。

ブログに取り上げてもらうことで消費者の目に留まるきっかけを増やすと共に、シェアされるきっかけの時間軸を伸ばすことが期待できます。もちろんそのブロガーの拡散力もありがたく拝借しましょう。

プロモーターを獲得/育成する

最も地道かつ資産性の高い活動が、プロモーターたる「自社ファン」の獲得です。
ソーシャルメディアを通じた対話、イベントへの招待と交流、インタビュー。方法は色々ありますが、個々の消費者が個人的な愛着を感じてもらえるようなやり取りを行うことが大事になります。

まとめ

この記事では、制作したコンテンツを消費者にどう見つけてもらい、どう広めてもらうかを説明しました。今回、是非覚えておいて頂きたいのは次の点です。

  • 消費者に見つけてもらい広めてもらう「力」をコンテンツに内包する。
  • 消費者ニーズを把握し、それを満たせるコンテンツを制作する。
  • コンテンツ制作段階で、シェアラブルであるかを意識する。
  • コンテンツは制作するだけでなく、意識的にプロモートする必要もある。

今回は、コンテンツを消費者に見つけてもらい、広げてもらう方法を説明しました。
連載最終回の次回は、継続的なコンテンツ制作を通じて、消費者とどうつながり、どう関係性を強めるか説明します。

Ginzamarkets株式会社 カントリーマネージャー 清水 昌浩

筆者プロフィール
Ginzamarkets株式会社 カントリーマネージャー
清水 昌浩

Webマーケティング、Web解析に関する豊富な経験を持つ。現在はGinzamarketsの日本カントリーマネージャー。
名古屋大学法学部卒業後アクセンチュア株式会社に入社。その後株式会社デジタルフォレストでのWebコンサルタント/新商品プロダクトマネージャーの経験を経て、Ginzamarketsに参画。

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