企業文化とテクノロジーの変革で実現するビジネスのソーシャル化
知らないと生き残れない!企業におけるゲーミフィケーション活用
I.~ゲーミフィケーションの利点と価値~

公開期間:12月11日~12月24日

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2012年のTopテクノロジートレンド

前回のレポートでは、ソーシャル時代のテクノロジーの未来についてお話しました。
2012年をテクノロジーという切り口で振り返ってみると、次のようなキーワードが現れます。

ソーシャルメディア革命

これはもう改めて繰り返す必要はないと思います。第一回にソーシャルメディア革命の実態についてお話をしたように、ビジネスにソーシャルメディアを使うか使わないかはもはや選択肢ではなく、いかに活用していくかが課題になっているという事実です。
"ソーシャルメディアのROIとは、その企業が5年後に存在していること"
ソーシャルメディアを活用しない企業は5年後には姿を消しているということです。
というのもあながち誇張ではないと思います。

ソーシャルビジネスとコラボレーション

ビジネスはすべてソーシャルでつながり、コラボレーションが鍵となります。

  • 1.社内のソーシャルネットワーク
  • 2.社外のソーシャルネットワーク(一般SNS、パートナー、顧客)
  • 3.国境を越えた企業
  • 4.ソーシャルビジネスプロセス
  • 5.文脈ベースのコラボレーション
  • 6.ソーシャルイントラネット
  • 7.競争優位性

さまざまなネットワークが構築され、そのうえでビジネス上関連するすべてのステイクホルダーがコラボレーションしていきます。

ITのコンシューマライゼーションとモビリティ

世界はネットワークでつながり、特にモバイルからアクセスが可能になったことで、情報へのアクセスにおける場所や時間の壁が取り払われてきました。こうしたモバイルデバイスの整備はWeb2.0時代におけるソフトウェアツールとともに、ITのコンシューマライゼーションを推し進めてきた大きなドライバーだといえます。モバイルデバイスは、ビジネスの世界でも2013年には12億人が利用するであろうといわれています。

クラウドコンピューティング

コストをそれほどかけずに使える次世代のアーキテクチャと言ってしまうといい過ぎでしょうか?ITの煩わしさから100%解放し、そのパワーを企業の変革に割り当てることのできるアジャイル(機敏)でスケーラブル、そして安全かつ安心の情報基盤、それがクラウドコンピューティングです。新しい製品や、サービスを市場に迅速に出していけるようになることで、ビジネスの効率を最大化していきます。

ビッグデータと分析

さまざまなソースから吐き出される増え続ける大量の情報をどう管理していくか、これは企業にとっても大きな課題です。構造/非構造データをすべて束ね、分析をすることで新しい価値を創造しようとするものです。
2020年までには35兆ギガバイトのデータを扱うようになります。気の遠くなるような量です。

図

出典:Intel 「What Happens In An Internet Minute?(英語)」

ゲーミフィケーション

そして今回のテーマであるゲーミフィケーション。これはGenXとGenY世代のカルチャーに対応するもので、人々の参画意識を高め、人と関わりモチベーションを管理したり、新しい知識の習得のための工夫であったりもします。
新しいテクノロジーに対する恐怖を取り払い、変革を加速していく大きなドライバーになるとも目され、2014年までには世界中の組織のうち実に70%以上が何かしらのゲーミフィケーションの要素を企業にとりいれるとさえ言われています。

ゲーミフィケーションとは(ゲーミフィケーションにまつわる誤解)

セールスフォースの定義するゲーミフィケーション

以上を鑑み、少なくとも私たちが考えるエンタープライズにおけるゲーミフィケーションを次のように定義してみました。

"ゲーミフィケーションとは、仕事に対する動機づけを高め、仕事に対する関わりを劇的に深めていく手段として、ゲームのメカニズムや考え方を業務にとりいれ根本的にデザインし直すこと。"

図 注意していただきたいのは、"ゲーミフィケーション"とは仕事中にゲームをする事ではないということ。ここまで極端ではなくても、よくある誤解は、仕事を面白くするためだけに業務にゲームを取り入れることをゲーミフィケーションと思い込むことです。
ゲーミフィケーションは対外的に明確に見える形で展開をしなければいけないものでもありません。バッヂや、ポイント、レベル といった目に見えやすいものが例として語られるので、そういった誤解があるのかもしれません。
これは「立派な軍人を育てるには?」という問いの答えとして「勲章やバッヂを軍服につけること」ではないのと似ています。必要なのは十分で効果的なトレーニングであり、支援のためのツールやリソースであり、そして現場での自由裁量の権限であるはずです。バッヂや勲章はこうした困難を乗り越え達成した成功の証ではあっても、それそのものが立派な軍人の証ではないのです。

ゲーミフィケーション市場のトレンド

エンタープライズにおけるゲーミフィケーション ~その利点と価値~

企業は今何故、ゲーミフィケーションを考える必要があるのでしょうか?その響きのせいで「仕事の時間に遊びを取り入れるネガティブな要素」と捉えられがちであったテクノロジーが、実は企業の抱える大きな課題を解決するパワーを秘めていることに企業が気が付き始めたのです。
企業に働く従業員が完全に会社の為に従事している時間は、実に1/3に満たないというデータがあります。これを金額に直すと、企業は実に年間30兆円を期待通りのアウトプットを得られずに無駄にしているという計算になります。企業側はこの無駄を何とか削減したい、社員を動機づけ、より仕事に従事させるためにはどうすればいいか、これが共通した課題なのです。

それでは人が期待通りの行動をとってくれるための動機づけとは一体どういうものか、面白い事例を3つほどご紹介します。

階段をつかってもらう

ある公共の場所で、エスカレータと階段が隣り合わせに並んでいます。人は当然のようにエスカレータに乗り、いつも階段はガラガラ、エスカレータは渋滞という状況です。できるだけ、人を階段に誘導したいという目的を達成するためにとった方法とは何でしょう。

人はただ「こちらを使ってください」という企業側の論理では動いてくれません。人を誘導するには、各人がそうしたいという動機づけが必要で、上の例では階段にピアノの音を埋め込み、階段を上がる楽しみの体験をユーザに与えたのです。結果、ユーザは自身の完成を満足させる手段を階段を上がるという行動の中に求めたということです。

1.スピード違反を減らす

スウェーデンでの事例です。スピード違反による危険を減らすための施策はどうあるべきでしょうか?普通に考えるなら取締りの強化です。カメラをあちらこちらに設置し、違反者に厳罰を与える。確かにこれも一つの方法です。しかし、これはドライバー1人1人の動機づけにつながるでしょうか?ここでの回答はこうでした。

取締りを強化する代わりに、制限速度を守ったドライバーに対してくじを発行し、賞金を与えるというものでした。ドライバーは誰に強制されることもなく自らスピードを落とし、結果、平均速度は25%も落ちたのです。

2.ごみを減らし街をきれいに

街中ではいつも路上にゴミが捨てられ、美観を損ねています。近くにたくさんのごみ箱があるにも関わらずです。街が考えたこと、人が積極的にごみをゴミ箱に捨てたくなるような仕掛け、これを考えました。

結果は上記のVideoを見ていただければ一目瞭然。ごみをゴミ箱に捨てることで、新しい喜びを感じるようになったのです。これもこうした快感を得るというゲームの根本要素を実環境に適用したわかりやすい例です。

ゲーミフィケーションをどう企業活動に取り込むか-戦略

上記では実環境の中で、ゲームの要素を取り入れることで、ユーザは楽しみながら自分自身の意志で社会の求める結果に導かれている事例を話しました。
それではこれを企業の活動に応用するとどうなるか、そもそも企業活動にどのようにゲームの要素を取り込めばいいのでしょうか?

まずはゲーミフィケーションの企業価値について考えなければいけません。そもそも企業は何のためにゲーミフィケーション適用を考えているのでしょうか。

  • 重要なプログラムにできるだけ多くの社員の参加を促す
  • できるだけ速く新しい技術を習得し、熟練してもらう
  • 新しいテクノロジーを活用してもらいやすくし、活用を加速する
  • 専門家や、必要なコンテンツをすばやく見つける
  • エンゲージメントを促し、パフォーマンスを管理し、モチベーションを高める

など、いくつかありますが、企業での「目的達成の効率を高める」ことに集約できるのではないでしょうか?

ゲーミフィケーションの特徴

実際にゲーミフィケーションをどう企業活動に取り入れるかを考える前に、ゲーミフィケーションの特徴を考えましょう。これはすなわちゲームの特徴ともいえます。
ゲーミフィケーションの特徴は大きく3つに纏めることができます。

1.課題、進捗 (Performance)

常にリアルタイムにフィードバックが得られます。どの程度進捗しているかが可視化されていることも特徴です。そして何よりもゴールが明確に設定されています。達成した時、勝利した時の喜びを最初からイメージできるのです。

図

2.達成、報酬 (Achievement)

実際に目標を達成した時の報酬が用意されています。それは、バッヂであったり、レベルアップという形であったりその形は様々です。そして初心者でもプレイの仕方がすぐにわかり、習得にそれほど努力を要しないのも特徴です。オンボーディングという言い方をすることもあります。

3.ソーシャルアクション、交流 (Social Interaction)

図 参加者同士が競い合う仕組みが用意されます。自分が仲間の中でどの位置にいるか、ランキングが見れるような仕掛けも特徴です。もしくは自分自身がどの程度のスコアを獲得したか、それは他人と比べてどの位置にあるのか、といった競争心を煽る方法もあります。
勿論、競争するだけではなく、メンバーとして協力して一つの成果を得るという場合もあります。こうしたソーシャルアクションで、継続した利用を促しています。

上記の3点はゲーミフィケーションの特徴であると同時に、ゲーミフィケーションを実践するうえでの重要な3本柱でもあります。課題と報酬、そして交流 これが有機的に絡み合うことでゲーミフィケーションは成立していきます。

次回は、ゲーミフィケーションの導入で企業が実際にどう変わるかを、海外事例や、セールスフォースでも実践されている人材管理システムを例に説明していきます。

株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員 プロダクトマーケティング 榎 隆司

筆者プロフィール
株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員 プロダクトマーケティング
榎 隆司

執行役員としてプロダクトマーケティングを担当、製品・技術の営業支援および市場への啓蒙活動に従事する。

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