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クラウド活用で中小企業の会計業務が変わる

クラウド活用で中小企業の会計業務が変わる

小規模事業者や中小企業において、自社のビジネスが成長してくるにつれて課題となるのが、会計や請求処理など日々の事務作業をいかに効率化し、経営改善につなげていくかです。ここでは、特に会計や請求処理などの業務でクラウドを活用してさまざまな課題の解決を果たし、競争力強化につなげている企業の事例をもとに、業務の効率化について考えていきます。

クラウド活用で中小企業の会計業務が変わる

クラウド活用で中小企業の会計業務が変わる

小規模事業者や中小企業において、自社のビジネスが成長してくるにつれて課題となるのが、会計や請求処理など日々の事務作業をいかに効率化し、経営 改善につなげていくかです。ここでは、特に会計や請求処理などの業務でクラウドを活用してさまざまな課題の解決を果たし、競争力強化につなげている企業の 事例をもとに、業務の効率化について考えていきます。

ITの有効性を理解しても導入に踏み切れない中小企業の実態

日々の売上の管理や見積書および請求書の作成、予算管理、入金の把握など、バックオフィス業務(事務作業)におけるさまざまな課題を解決する上で、 もはやIT利用は欠かせません。ただ、小規模事業者や中小企業には情報システム部門が存在せず、ITの有効活用に向けた施策を十分に検討できていないケー スもあるでしょう。 実際、中小企業庁が公開している「中小企業白書 2013年版」では、小規模事業者でのITの活用状況について調査が行われています。この調査において、「コストの削減、業務効率化」や「営業力・販売力 の維持・強化」、「新規顧客の獲得」などの経営課題について、ITの活用が必要と考えている企業と実際にITを導入したと回答した企業の割合には、大きな 差がありました。ITが有効であると判断している企業でも、コストや運用管理などの問題から、導入に二の足を踏んでいる様子が見て取れます。

出典:中小企業庁「中小企業白書(2013年版)」
資料:中小企業庁委託「ITの活用に関するアンケート調査」(2012年11月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)
注:各項目によって回答企業数(回答比率算出時の母数)は異なる/項目の順序は、重視する経営課題に準じている。

しかし、クラウドの普及によってこのような状況は大きく変わりつつあります。サーバーやソフトウェアライセンスを購入する必要がなく、初期投資を抑えて高度なシステムを使えるためです。

業務特化型や特定業界向けのクラウドサービスが登場

最近では小規模事業者や中小企業向けの特定の業務に特化したクラウドサービスが続々と登場しています。たとえば個人事業主を含む小規模事業者向けの 会計システムとしては、freee株式会社の「クラウド会計ソフト freee」や、株式会社マネーフォワードの「MFクラウド会計・確定申告」などがあります。 また、店舗向けのユニークなサービスとしては、店舗で使うレジをiPadとそのアプリに置き換えた「ユビレジ」(提供:株式会社ユビレジ)があります。一 般的なレジシステムの導入より大幅にコストを下げられるので、店舗数がそれほど多くない飲食店などに特に好評です。さらに、Salesforceとのデー タ連携により、ユビレジ単体ではできなかった、売上分析や在庫管理、分析レポート作成などが可能となっています。

ユビレジ for Salesforce ›

その他、NTTデータでは小規模小売・飲食店向けに決済システムである「PastelPort Plus」を展開、日立システムズは美容室やヘアサロン向けの顧客・販売管理システムとして「Salon’s Mate」を提供しています。このほかにも小規模事業者や中小企業向けのクラウドサービスが多数登場しており、企業規模にかかわらずITを活用して業務を 効率化できる下地が整ってきています。

中小企業の会計業務

情報の一元化やレポートの自動生成を実現

それでは、事務作業(バックオフィス業務)にクラウドサービスを利用することで具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。さまざまな利点 がありますが、まず注目したいのは情報を一元化して管理できる点です。 小規模事業者や中小企業では、売上や経費、受発注履歴などを表計算ソフトで管理しているケースが少なくありません。表計算ソフトには情報の登録や編集が容 易というメリットがありますが、一方でさまざまな情報を一元的に管理することが難しいという問題もあります。実際、これまでの売上をまとめたり、顧客ごと の取引状況を分析した資料を作成したりする際、複数のファイルから必要な情報をコピーして改めて計算し直すなど、苦労して資料を作っている方は多いでしょ う。 一方クラウドでの各種サービスによっては、これらの情報を一元的に管理できるだけでなく、グラフなどを使った分かりやすいレポートを自動的に生成するダッ シュボードと呼ばれる機能や、過去の実績から将来の売上予測を自動的に計算する機能を備えています。また情報が集約されていれば、ある取引先からの過去の 受注履歴を参照し、その情報を営業活動に活かすことができます。そして見積書や請求書などの日々の帳票発行にも利用できるため、その業務改善効果は絶大で す。具体例を見てきましょう。

キャッシュフローを劇的に改善した例

印刷・出版・メディア・Eコマース業界を中心に利用されている画像切り抜き代行サービスを提供する、株式会社メディア・バックオフィスでは、キャッ シュフローを劇的に改善しています。同社は受注数や顧客数の急増に伴い、手作業から、クラウドサービスに切り替えました。これにより請求書の消し込みも、 銀行口座のデータを取り込んで自動的に処理できるようになったため、以前は月間100万円程度あった入金漏れが数千円レベルにまで下がり、キャッシュフ ローが劇的に改善する効果が生まれています。

導入事例:メディア・バックオフィス

注目したいのは、自社の業務に合わせてデータ入力用の新たな項目を追加するなどカスタマイズを行い、それを業務効率化につなげている点です。

請求業務の工数削減やシステム一元化で大幅なコストダウンを実現

見積書作成や請求書発行業務において大幅な工数削減を実現したのが、営業・マーケティング支援事業を展開する株式会社イノベーションです。同社は、 販売管理システムをオンプレミス(IT環境を自社で所有し運用すること)からクラウドへ変更しました。 見積書の作成や請求書の発行も電子化でき、従来のシステムと比べ、利用料と人的・物理的コストの合計を3年間で3分の2にまで圧縮できる見込みとしていま す。さらにクラウド化によって帳票作成や承認、データの抽出などの業務がどこからでも可能になるなど、さまざまなメリットが生み出されています。

導入事例:イノベーション

企業の競争力強化につながるクラウドの積極活用

積極的なIT活用は、多くの企業が共通して抱える会計や請求処理にかかわる課題の有効な解決策となります。少ないコスト負担で最新のシステムを活用 できるほか、運用面における手間も最小限に抑えられます。それによって経営の効率化や業務の改善を果たすことができれば、事業の競争力強化にもつながりま す。 もはやクラウドは特別なものではなく、多くの企業が当たり前のように使う時代に入っています。また高度なシステムを低コストで使えることを考えると、小規 模事業者や中小企業にこそメリットがある仕組みと言えます。

中小企業の会計業務

参考:
・中小企業白書(2013年版)(中小企業庁)
・顧客分析から在庫管理まで—ユビレジとセールスフォースが業務提携(ZDNet Japan 怒賀新也)

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