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すべてのヒト、モノ、コトがつながる時代のイノベーション

すべてのヒト、モノ、コトがつながる時代のイノベーション

IoT Japan 2015にて弊社取締役社長の川原が「すべてのヒト、モノ、コトがつながる時代のイノベーション」と題して、IoTをビジネスにつなげる、IoC(Internet of Customers)の重要性について語りました。

IoT Japan ピックアップ:すべてのヒト、モノ、コトがつながる時代のイノベーション

IoT Japan 2015にて弊社取締役社長の川原が「すべてのヒト、モノ、コトがつながる時代のイノベーション」と題して、IoTをビジネスにつなげる、IoC(Internet of Customers)の重要性について語りました。

現在、これまでのコンピューティングとは全く異なる規模で、端末や人がつながる世界が始まっています。さらに多くの「モノ」へのセンサー取り付けが 始まり、50億台の「モノ」に、一兆個のセンサーがつながっています。それを支えるのがクラウドです。これが、現在のICT業界の源流だと思います。 つながる相手がどんどん増え、広がってきたのがIoTです。有効な情報がヒトからあがってくるのではなく、モノからあがってくるというケースも出てきています。

バイオラボ社、UCSF医療センターなど医療・サイエンス分野の事例

英国ニューイングランドにあるバイオラボ社は、医療研究を行う施設にバイオ材料を販売するビジネスを行っています。彼らは顧客の冷蔵庫にセンサーを 置いて材料の利用状況を把握し、材料が足りなくなると、注文が出る前に材料を届けるという仕組みを、Salesforceを使うことで実現したのです。 こうしたモノからあがってくるデータをつなげビジネスを行う事例は、すでに50以上になります。 米国サンフランシスコにあるUCSF医療センターでは、医者、看護師といった医療従事者の情報共有のためにSalesforceが利用されています。利用 範囲はどんどん広がり、最終的にはセンサーでマシンからあがってきたデータを使い、効率的に、よりよい医療体験を患者さんにしてもらうための仕組みへと進 化を遂げています。 この事例のポイントである「医療をもっと良くしよう!」という発想から始まっていることです。米国は多大な医療費をどのように引き下げるかという課題に迫 られています。自治体、患者のどちらも医費でパンクすることを防ぐために、IoTによる効率的な医療を取り入れました。この例からもわかるように、IoT のポイントはモノとつなげることだけではありません。モノとつなげたことでビジネスモデルの変革を行い、マネタイズする仕組みこそがポイントなのです。

IoTの先にあるサービスへの転換が焦点だ

医療の例のように、実はモノとつなげることはそう難しくはない。どうビジネス化するかこそ、IoTの焦点といえるでしょう。ビジネスとしてどうつなげていくのか、これが明確にならなければIoTは社会に広がっていくことはないでしょう。 最近登場してきたウェアラブル端末は、マーケティングの世界を大きく変える可能性を持っています。すでに日本ではエプソンさんが、米国ではアップルが Apple Watchを発売しているほか、Fitbitというベンチャー企業が登場しています。日本でもFitbit製品は手に入るようになったので、私自身もこれ を身につけることでどんなことができるのか体験してみました。 活動の状況はBluetooth経由でリアルタイムに反映されます。現在の脈拍を見ると、講演中で緊張していると思いきや、それほど速くなっていないことがわかります。 この記録を、ゲーミフィケーションで友人と競って体重を減らすために活用することも一つの案です。しかし、そのために端末を購入して、満足しますか?これ をもう一歩進め、病院と連携しお医者さんが私のデータを見守ってくれるとしたらどうでしょう?さらに1万人分のデータが集まることで、ビッグデータ分析を 行い、予防医学につなげていく--実はIoTはモノにつながるだけではビジネスにはなりません。そこから新しいサービスに繋がっていくことで、ビジネスイ ノベーションにつながるのです。 つまり、IoTだけでは不十分で、その先のカスタマーにつなげる、IoC(Internet of Customers)とすることでビジネスへと発展していくのではないかと考えます。

IoTのその先、IoC(Internet of Customers)へ フィリップス社のビジネス変革

お客様との関係をどのように見直していくか?これを実践した素晴らしい事例があります。フィリップス社の医療機器部門では、2年前に患者の状態を把 握する仕組みを作りました。医療機器から上がってくる患者のデータを、Salesforceを使って監視することで、異常をいち早く察知し、医療費を抑え ることが目的としていました。 このプロジェクトを率いた時、フィリップスのグローバルCIOだったJerosen Tas氏は、「Salesforceを活用することで、フィリップスは顧客中心の企業に生まれ変わる」と言っていました。2年経った現在、Tas氏はフィ リップス ヘルスケア インフォマティックのCEOとなりました。医療機器と顧客をつなげることが、顧客満足度向上のみならずビジネスとなったことが評価されたのです。 現在、フィリップスが米国、シンガポール、カナダで行っているのが、術後在宅ケアビジネスです。5%の人間が50%の医療費を使っていると言われる中、術 後ケアの機器からあがるデータをコールセンターで監視し、異常があれば遠隔医療でお医者さんがケアをすることで、医療費を抑えながら患者ケアを手厚くする ことに成功しました。 フィリップスでも、2年前の時点ではまだ明確に在宅医療のビジネスモデルまでは確立していませんでした。それが2年間でビジネスとして立ち上がり、シンガ ポールでは医療費40%削減を実現しています。シンガポールの場合、フィリップスがビジネスを行っている相手は政府です。フィリップスはシンガポール政府 相手に新しいビジネスモデルを作り上げたのです。

日本でも始まるIoT時代の新しい可能性

日本で私たちが実証実験を行ったプロジェクトがあります。ある地域のガス会社が、商店や規模が大きくない事業所の声を聞くために始めたものです。ガ ス会社が大手企業と結ぶ契約は特別なもので、ガス会社側も手厚くサポートを行います。それに対し中小企業や小さな商店は、個人契約者に比べ料金にセンシ ティブな契約者なのに規模が小さいため大企業並のケアをするのは難しい。今後エネルギー自由化が起これば、契約が切られる可能性があることから、IoCに よってお客様との関係を変えていくためにプロジェクトが行われました。中小企業、個人商店といったところの声を吸い上げ、ガス会社から新しい提案を行い、 関係を強化していくという試みが行われています。

また、業務用プリンタの開発、販売を行う株式会社サトーは、IoCでプリンタの異常を事前に把握する仕組みを作りました。サトーのプリンタは店頭の 商品に貼るバーコードシールなど事業に直結する印刷を行います。トラブルが起こって整備担当者が現場に出向く事態は顧客にとっても、サトー側にとっても望 ましくありません。 そこでサトーでは機械のデータを把握してトラブルの予兆を見つけ、早期に顧客自身にケアしてもらうという「バーチャル・エンジニア」という仕組みを作りあ げました。顧客にとってはビジネスへの影響が少なくて済み、サトーに支払うコストも減る。サトー側も整備担当者を派遣するコストを抑えることができます。 フィリップス同様、新しいビジネスモデルへ変革したのです。

今回、私はIoTについての話から講演を始めました。最後に申し上げたいのは、IoTではなく、IoCです。インターネット・オブ・カスタマーこそ 重要なキーワードになります。 セールスフォース・ドットコムはそのためのテクノロジーを持っています。これこそ最大の強みです。そしてクラウドであることから、様々なトライ&エラー を行うことができます。フィリップスはまさにその好例で、実践の中からお金になるのはどこなのか突き詰めた結果、在宅ケアに行き着きました。実践こそ競争 優位につながる戦略的行為なのです。 日本でも、いち早くトライ&エラーを行っている企業が多数あります。それを実践するためのお手伝いを行うにIoT Jump Startのパートナープログラムを用意し、テラスカイ、ウフル、フレクトといったパートナー企業が参加しています。テクノロジーによって新たにお客様と つながった後、どういうビジネスモデルを作ることができるのか、実践の中で見つけ出すことができるのがクラウド、セールスフォースのテクノロジーです。 是非、いち早く実践で、インターネット・オブ・カスタマーによってどんなビジネスモデルを生み出すことができるのか、見つけ出して頂きたいと思います。

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