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ASEAN経済共同体が発足 日本企業がアジアで成功するカギとは?

人口6億人を有する東南アジア諸国は世界中から大きな注目を集めており、日本企業のみならず世界各国からこぞってこの巨大マーケットへの進出を目論んでいます。昨年末にはASEAN経済共同体(ASEAN Economic Community、AEC)が発足し、域内への投資はさらに加速すると見られています。

本稿では、ASEAN経済共同体のポイントと、日本企業の海外進出における課題と解決のヒントをご紹介します。

ASEAN経済共同体のポイント:東南アジアの更なる発展に向けた枠組み作り

東南アジア諸国連合:ASEAN (Association of South‐East Asian Nations)は、1967年に東南アジアの政治的安定と、経済成長促進を目的として設立されました。現在ではインドネシア、カンボジア、シンガポー ル、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスの10か国が加盟しています。ASEAN経済共同体は、今後の更なる経済成長の促進と、開発格差の縮小などASEANに住む人々の福祉向上を目指しています。

ASEAN経済共同体発足により、大きく下記の3点が進められていきます。

  • モノの自由化(域内の関税撤廃、交通インフラ整備等)
  • ヒトの自由化(短期滞在ビザの撤廃、熟練労働者の移動自由化等)
  • サービスの自由化(出資規制緩和、金融機関の相互進出等)

モノの自由化

ASEAN域内での関税撤廃は、加盟6か国(シンガポール、ブルネイ、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン)の間では1993年から関税引 き下げに取り組んでおり、2010年には一部の品目を除いて全撤廃されました(ASEAN自由貿易地域)。後発の4か国(カンボジア、ラオス、ミャン マー、ベトナム)も2015年末までに一部品目を除いて撤廃、そしてASEAN経済共同体発足の目標として2018年までに例外を除く全品目の関税撤廃が 掲げられています。

関税撤廃に加えて、域内の積極的なインフラ整備も見逃せない点です。ASEAN域内ではインフラ整備がまだまだ不十分なエリアがたくさんあります。 例えばカンボジアの最重要幹線道路である国道1号線では、メコン川にかかる橋がないためにすべての車がフェリーを利用する必要があり、ひどい時は川をわたるだけで半日も費やすことがあるそうです。ASEAN経済共同体によりインフラ開発が進めば、ASEAN域内でモノをよりスムーズにやり取りできるように なり、ビジネスにも大きな影響が与えられることでしょう。余談ですが、2015年4月には、国道1号線に総事業費121億円の「つばさ橋」が建設され、こ れによりタイからカンボジアを通じてベトナムまでの陸路での運送が可能になりました。この橋は日本の国際協力により建設されています。

ヒトの自由化

短期滞在ビザは、ミャンマーなど一部をのぞいて撤廃が完了しており、ASEAN諸国の国籍を持っている人は各国に自由に出入りすることができます。ASEANは域内に莫大な人口を抱えており、短期滞在ビザの撤廃は現地の観光業などに好影響を与えることが期待されています。

また熟練労働者の移動の自由化も検討されています。熟練労働者とは専門性の高い技能を有した労働者を指し、具体的にはエンジニア、看護師、建築士、 測量技師、会計士、医師、観光専門家等が該当します。専門性の高い労働者の雇用がより容易になる一方、優秀な人材が比較的給与レベルの高い国に偏在してし まう可能性も指摘されています。熟練労働者の移動に関してはまだ議論が続けられており、明確な方針はこれから出されるようです。

サービスの自由化

ASEAN各国ではシンガポールやカンボジア以外の国では外資規制が厳しく、法人設立の際に大きなハードルとなっています。ASEAN経済共同体が 発足されれば、例えば小売分野では出資比率70%まで資本参加を認めるなど、規制緩和に向けて交渉が進められています。外資規制に関しては今後枠組みが変 わる可能性がありますので、常に最新情報をチェックしていく必要があります。

海外でのビジネスのハードル:1位は「販売先の開拓の困難性」

ASEAN経済共同体発足により、成長マーケットであるアジアの魅力は増すばかりですが、海外でのビジネスは決して容易なものではありません。高い ハードルを前にして撤退を考える企業も多く、前述のとおり、帝国データバンクによる主に日本企業を対象とした意識調査では、撤退または撤退検討を経験して いると回答した企業は約4割にものぼります。では、海外に進出する企業は具体的にどんな点で苦労しているのでしょうか。

独立行政法人中小企業基盤整備機構の2011年の調査によると、海外拠点の撤退・移転理由として「受注先、販売先の開拓・確保の困難性」が 28.6%で最も多く、「生産・品質管理の困難性」が23.9%、「現地パートナーとのトラブル」が 23.7%と続いています。また中小企業庁による2014年版中小企業白書内で、「直接投資を成功させるために最も重要な取組」として挙げられたのは、同 様に「販売先の確保」がトップで、次に「現地人材の確保・育成・管理」、「海外展開を主導する人材の確保・育成」となっています。

在ASEANの日系企業の経営者にコンサルティングを提供している日本人コンサルタントが指摘することとして、次のような課題が多く挙げられるそうです。

  • 日本と異なり、ASEANでは商習慣として「顧客から迅速な意思決定を求められることが多い」が、迅速な意思決定プロセスが確立できていない
  • 日本人社員と現地社員のコミュニケーションが密に取れず、顧客情報などの情報管理が甘くなってしまっている

ASEAN進出で成功するためには、日本とは異なる商習慣に対応するための体制や、顧客管理、営業状況を把握する方法などの仕組み作りを意識的に行う必要性があるのです。

クラウドサービスで情報管理を容易に、素早く

Salesforceはクラウドサービスであるため、大規模な初期投資なしで、日本で使っているものと同じ仕組みを簡単に構築することができます。 現地でのシステム構築やサーバーの管理、停電などの電力供給網に頭を悩ませることもありません。またグローバル対応もしているため、手間のかかる「システ ムの英語化」の必要もないのです。カスタマイズも容易であり、状況が目まぐるしく変わるASEANのマーケットにも柔軟に対応させることができます。

また離職率が異常に高いASEAN市場では、いつ人材がいなくなっても、企業資産として情報管理を徹底しておく必要があります。透明性が高いシステムで営業進捗状況を管理することは、顧客管理だけではなく、社内コミュニケーションの活性化も期待できます。

ASEANのマーケットは、猛烈な勢いで成長を続けています。しかし、そんなASEAN市場で勝ち抜くためには、引き寄せたチャンスをものにするス ピーディーさが求められます。クラウドサービスを利用して、海外ビジネスのハードルを克服し、マーケットの素早い変化に対応することが日本企業に求められています。

参考:

  • 経済産業省:ASEAN|東アジア経済統合の取組|東アジア経済統合に向けて(METI/経済産業省)
  • みずほ総合研究所:ASEAN経済共同体の前途
  • 帝国データバンク:海外進出に関する企業の意識調査 | 帝国データバンク[TDB]
  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構:中小機構:経営力の強化:平成23年度調査報告書
  • 中小企業庁:中小企業庁:中小企業白書(2014年版)