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話題のベストセラー著者が徹底解説!鬼速でPDCAを回す仕事術

話題のベストセラー著者が徹底解説!鬼速でPDCAを回す仕事術

いま話題の「鬼速PDCA」の著者、株式会社ZUU 代表取締役 冨田氏が登壇した講演の内容をダイジェストでお届けします。 なぜ「PDCA」が注目されているのでしょうか。また鬼速PDCAを回し、組織に定着させるためにはどんなポイントに留意すればいいのでしょうか。

2017年2月22日(水)~24日(金)の3日間、大阪梅田の蔦屋書店において、カスタマージャーニー、イノベーション、PDCAをテーマにビジネスパーソン向けのカフェ勉強会&ネットワーキングを開催しました。3日目、初のプレミアムフライデーとなった2月24日は、今話題の「鬼速PDCA」の著者、株式会社ZUU 代表取締役 冨田和成氏をお招きし、「PDCA」をテーマにご講演いただきました。冨田氏は、一橋大学卒業後に証券会社に入社。同社で様々な最年少記録を打ち立てたあと、FinTechの分野で資産運用に関する総合プラットフォームを運営するビジネスを行う株式会社ZUUを設立し、代表取締役に就任。2016年10月に出版された「鬼速PDCA」は、実践的な図書として話題を集め、発売2ヶ月で8万部突破のベストセラーとなっています。

今なぜ「鬼速PDCA」が注目されているのでしょうか。また鬼速PDCAを回し、組織に定着させるためにはどんなポイントに留意すればいいのでしょうか。冨田氏の講演をダイジェストでお届けいたします。

写真:蔦屋書店で講演する冨田氏

そもそも、今なぜ「PDCA」なのか?

Plan・Do・Check・Actionのサイクルの頭文字を取った「PDCA」という考え方は、第一線で活躍するビジネスパーソンであればどこかで目にしたことがあると思います。ご自身の仕事のなかで、毎日意識しながら業務にあたっている、という方も少なくないかも知れません。にもかかわらず、今なぜPDCAにスポットライトがあたっているのでしょうか。

その背景として、インターネット技術の爆発的な進化により、個人のビジネススキルや企業のビジネスモデルといった多くの要素がコモディティ化していること、つまり競争優位性を生み出す源泉ではなくなってきていることが挙げられます。個人のビジネススキルでいえば、数年前までは、英語を話せる人はそれだけで一目置かれる存在でした。しかし今では、語学力はあくまでもツールであり、それだけでは個人としての競争力をアピールすることは難しくなってきています。またビジネスモデルにおいても、AI やスマートフォンベースのサービス、クラウドなども徐々にコモディティ化し始めています。また情報が一瞬で世界中を駆け巡る昨今では、良いアイデアはすぐに競合や他の起業家に模倣されますし、それまで一番大事とされているスキルやモデル、概念もどんどん新しいものに置き換わっているのです。

そこで今の時代に求められているのは、世の中のルールや重要なものが変わっても対応していける能力であり、競合が追い付いて来ようが突き放すことのできる速さで改善サイクルを回すこと、つまり「鬼速PDCA」だと思います。個人レベルで言えば鬼速でPDCAを回す人が求められますし、組織レベルで言えば鬼速でのPDCAを促す組織モデルを作り上げることが重要です。実際に世界の時価総額ランキングで上位に連なる企業の中には、ビジネスモデル自体はそれほどの高い評価を受けていないものもあります。しかしその企業は、改善サイクルがものすごい勢いで回っていることで知られています。世界最先端の現場では、鬼速でPDCAが回されているのです。

鬼速PDCAを回すためのツール

では実際に、どのように「鬼速PDCA」を回せばいいのでしょうか。ここでは、株式会社ZUUの中で実際に運用している2つのツールをご紹介します。

1つ目は「なるほどシート」と呼んでいるものです。これはPDCAサイクルのCとAの中で得られた気づきを書き留めるためのシートで、半週で5個、1週間で10個、1カ月に40個程度の「なるほど」という気づきをメンバーに書いてもらっています。このシートを半週ごとに運用していくことで、自分が得た気づきを振り返る習慣をつけてもらい、PDCAサイクルの中で実際にどのように改善したのかに意識を向けてもらうことを狙っています。

そしてもう1つが「PJTシート」です。株式会社ZUUでは、「PJTシート」の運用によるプロジェクトの管理を徹底的に行う代わりに、個人のタスク管理は行いません。PJTシートの運用方法として、プロジェクトの中で何が進んでいて何が課題なのかを半週単位でアップデートし、このシートに基づいてミーティングを行っています。報告事項のほとんどはPJTシートに書いてありますから、ミーティングの中では今ぶつかっている課題や、そのアプローチ方法についての議論に多くの時間を割くことができるのです。

個人単位、組織単位で鬼速PDCAを回すために必要な心構え

書籍を読んでもらった方からは、PDCAを回すことへの意欲を上げることができたが、実際に続けることが難しいといった声を聞くことがあります。しかし、鬼速PDCAは回し続けていってもらわなければ、その真価を感じていただくことはできないでしょう。日々続けていっていただくためにお勧めしたいのが、まずは完璧にやろうとせずに、多少の漏れがあっても問題ないくらいの気持ちで実施していただくこと。いきなり完璧に鬼速PDCAを回そうとすると、少なくない人が脱落してしまうのではと思います。完璧な実施よりも、継続することを優先させてください。

また、まず鬼速PDCAが何なのか、なぜ必要なのかをしっかりと説明する必要があります。書籍の中でも「なぜ」に多くのページを使っているのですが、理由に納得してもらわなければ、人は動いてくれません。そのため、鬼速PDCAが求められる理由を、時間を割いて説明するようにしてください。鬼速PDCAのやり方を説明するだけでなく、最初のうちは一緒にPDCAを回していくことも有効です。特に課題の設定には苦手意識を持っているビジネスパーソンは少なくないため、慣れないうちは丁寧にフォローしていく必要があるでしょう。

具体的には、縦の質問と横の質問を意識的に投げかけていきましょう。縦の質問とは「この施策を具体的に考えると?」といったように、ある事象を深堀していく質問です。それに対して「他に選択肢はありそう?」と聞くことが、横の質問になります。縦横の質問を上手く投げかけることで、課題に対する考えが広く深くなっていき、効果的な課題設定ができるようになるはずです。

写真:Salesforce Ventures日本代表浅田(左)と冨田氏(右)のトークセッションの様子

改善サイクルだけに囚われることの危険性

PDCAを回していく中で陥ってしまう罠のひとつは、改善サイクルを回すことだけに囚われてしまい、止めた方がいい仕事も止められずに資源を浪費してしまう、というパターンです。これを防ぐためには、緊急度と重要度のマトリクスを常に意識することです。

実は「絶対に止めるべき」仕事というのは、それほど多くありません。あるタスクの優先順位が相対的に下がり、他の優先タスクに資源を振り向けるべきと判断した際に、元のタスクを一時停止させる、というのが現実の世界で起こっていることでしょう。そのため、タスクごとの緊急度と重要度をチェックし、どれを優先させるべきかを見誤らなければ、資源を浪費してしまうといった事態も防げるはずです。ぜひ緊急度重要度マトリクスを活用するようにしてください。

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