本ブログは米国で発表されたブログ「New Data Reveals the Trends Transforming IT」の翻訳版です。著者のShannon Duffyは、SalesforceのProduct Marketingを担当するシニアバイスプレジデント(SVP)です。

 

日々の業務に忙殺されている情シス部門(以下、「IT部門」という)のリーダーには、現在または将来、企業に影響をおよぼし、変革を迫るトレンドを幅広く検証する余裕はありません。そこで忙しいあなたに代わり、当社がその調査を行いました。世界中の企業の100名を超えるIT部門のリーダーを対象に、ITに関する主要な10つの取り組みについて、優先順位や準備状況、スキルレベルの他、今後の展望をお聞きしました。

調査の詳細については、エンタープライズテクノロジーの10大トレンドレポート全文をご覧ください。本ブログでは、このレポートの要点をご紹介します。

 
 

最優先で取り組むべきは顧客体験の向上

一昔前のIT部門は企業の裏方だった時代を覚えていらっしゃるでしょう。当時は、お客様とのやり取りを担当する営業部門と、基幹業務を支えているIT部門とのあいだには、明確な役割が存在していました。しかし、現在はそのような業務役割を完全に分担して担う時代は終わりました。現在、IT部門のリーダーは、最優先事項に取り組むべき事は、顧客体験と位置づけており、そのうち77%が顧客体験を向上させるための投資を増やしています。

取り組みの優先順についての回答によれば、ITリーダーは特にシステムとデータの統合に力を入れていることがわかります。システムの統合が最優先される背景には次のような困難な問題があります。顧客は企業とのやり取りに「首尾一貫性」を求めますが、そうした体験を実現するにはあらゆるタッチポイントで顧客の情報にすばやくアクセスできることが前提となります。それに対し、企業は平均で900種類の異なるアプリケーション(英語)を使っており、そのうち統合されているものはわずか29%にすぎません。IT部門が行う顧客体験向上のための重要な取り組みで、これと並んで1位になったのが「セキュリティとIDテクノロジー」です。データのプライバシーに関する社会の関心の高まりに対応してITリーダーの95%がセキュリティ関連の投資を増やしていることを考えると、この結果は当然と言えるかもしれません。

IT部門にとっては、新たなテクノロジーへの対応だけでなく、従業員体験の改善に向けた取り組みが主要な関心事であることがわかります。ITリーダーの54%が従業員体験改革と改善への取り組みを優先事項として挙げており、「現行のテクノロジーが従業員のポテンシャルを最大限に引き出している」と回答しているITリーダーはわずか21%にとどまります。

 

高まるモバイルファーストへの要望にIT部門は厳しい対応を迫られている

モバイルファーストの考え方は顧客にも従業員にも深く浸透しています。ある調査によれば、自分のモバイルデバイスを仕事でもプライベートでも使用している、と回答している従業員の割合は63%に達しています。しかし、ガートナー社が昨今指摘しているように(英語)、開発に必要な労働力やスキルなどのリソースが不足しているため、各企業におけるモバイルアプリの開発は、思うように進んでいません。

IT部門のリーダーの99%が、「今後、自社が市場で勝ち残るためにはモバイルテクノロジーの積極的な活用が不可欠である」という見方を示しています。ところがその74%は、「今後モバイルデバイスから業務アプリやデータ、コンテンツへのアクセスに支障をきたし、そのために生産性が下がる」ことを予測しています。これはおそらく、自社スタッフに高度なモバイルアプリ開発能力が備わっていると考えているリーダーがわずか29%しかいないためです。

モバイルアプリ開発の複雑さを軽減し、ビジネスが要求する高度なモバイル環境と、それを実現するためのスタッフの開発スキル不足という不均衡を打開するための鍵は「標準化」にあります。実際、69%のITリーダーは、2025年までにはほぼすべてのモバイルアプリが標準化され、共通のフレームワーク上で開発されるようになると予想しています。

開発スキル不足の問題は依然として解消されていない

長年にわたり(英語)、企業のIT部門は、イノベーションに必要なスキルと実際のスキルとの差を縮めるために取り組んできました。テクノロジーが猛スピードで進化し、IT人材の求められるスキルも次々に変化している現在、状況はさらに厳しさを増しています。

IT人材の育成と能力開発についての明確な企業戦略を策定している企業はわずか24%”

Salesforce Research | 『エンタープライズテクノロジーの10大トレンド』レポート

開発者のスキルが不足していることは、非常に多くのチームでプロジェクトの進捗の遅れが日常茶飯事になっていることからも明らかです。ただし、従来のIT部門は裏方的な役割を担っていましたが、現在では各部門との緊密なコラボレーションを行うための「ソフト」スキルを持つ人材が求められるようになってきています。事実、93%のITリーダーは、ITスタッフにとって重要なスキルとしてビジネス感覚を挙げています。

つまり、IT人材に求められているスキルが不足していることは、決してスタッフ自体が責められるべきことではないということです。テクノロジーがますます進化し、顧客の要求が高度化し、事業における優先事項がめまぐるしく変化する中で、ITスタッフの負担は非常に重くなっています。したがって、「ITスタッフに求められているスキルを習得させるための役割は企業が担うべきである」と考える人事担当者が大多数(英語)を占めています。ローコードやノーコードでの開発を可能にするツールがあれば、単純作業は他の従業員に任せることができ、開発者はより戦略的な仕事に集中できます。IT部門以外の従業員にプログラミング技術を指導する新しい学習プラットフォームもそうしたリソースの1つであると考えることができます。別の調査(英語)によれば、74%のITリーダーが、プログラミング作業そのものは一般のホワイトカラー従業員に任せるいわゆる「シチズンデベロップメント」と呼ばれる開発手法をさらに積極的に導入しようと考えていることが明らかになりました。

 

AIとブロックチェーンの普及はまだ初期段階にあるが見通しは明るい

IT部門は一方で基幹業務を支えるITシステムを止めることなく運用し、かつ企業の競争力を強化するために必要なイノベーションを推進していかなければなりません。次々に出現するテクノロジーを通じて顧客からの要求が高度化していく(英語)中で、IT部門への要求も高度化しており、IT部門のリーダーはイノベーションの推進に力を入れ始めていますが、課題は山積しています。

たとえば人工知能(AI)です。企業のIT部門の42%がすでに自組織でAIを使用していると回答。使用の有無にかかわらず、「AIはビジネスを大きく変えつつある」と回答しているIT部門は69%に上ります。ところが、「AIは顧客エンゲージメントから情報セキュリティにいたるまでのあらゆるテクノロジーに影響を与えている」と広く認識されている一方で、十分なAI戦略を策定しているITリーダーはわずか7%にすぎません。AIの導入を妨げている要因の1番目として、「テクニカルスキルの不足」が、2番目に「優先課題の乱立」が挙げられていることは、予想できる結果です。

ITリーダーに高く評価されながらも導入が進んでいないもう1つの新興テクノロジーがブロックチェーンです。「ブロックチェーンの活用戦略を十分に策定できている」と回答したITリーダーはわずか4%で、「スタッフに十分なスキルが備わっている」と回答したITリーダーも6%にとどまっています。しかし、ITリーダーの22%がブロックチェーンのユースケースをすでに特定しており、そのうち半数が、「近い将来にブロックチェーン導入に向けた投資を増やす予定がある」と回答していることからも、転機が訪れる兆しは見えていると言えるでしょう。

50%のITリーダーは、今後2年間でブロックチェーンへの投資強化を計画しています”

Salesforce Research | 『エンタープライズテクノロジーの10大トレンド』レポート

今日の情シス(IT)部門を大きく変えつつあるトレンドの詳細については、レポート全文をお読みください