2019年7月12日に開催し、100社を超えるお客さまにご来場いただいた「Pardotお客さま感謝祭」。前回のVol.1では開催概要を中心にレポートしましたが、今回は株式会社WACUL 取締役 兼 WACULテクノロジー&マーケティングラボ 所長 垣内 勇威氏(@yuikakiuchi)のゲスト講演をお届けします。タイトルは「デジタルマーケティングの本質と18種類の勝ちパターン」。デジタルマーケティングが現在抱える課題を指摘すると共に、BtoB商材サイトの「勝ちパターン」の一部が紹介されました。

 

勝ちパターンがあるにもかかわらず「車輪の再発明」を繰り返すデジマ業界

 

「明日のビジネスにすぐ使える話」をお伝えしていきます。私が所属する株式会社WACULは、Web関連のデータ解析と改善提案を自動的にお届けするSaaS型プロダクト「AIアナリスト」などによって、デジタルマーケティングのコンサルを人からAIへと進化させている会社です。AIアナリストは累計29,000サイト(2019年7月現在)に導入されており、日本でGoogle Analyticsを使っているサイトであればほぼすべて対応しています。ここから得られた膨大なデータから勝ちパターンを研究しているのですが、その施策の73%で成果が得られています。

また成果が出た施策の65%が1.5倍以上の伸びを見せています。業種を問わず、ゴールのあるサイトであれば、成果を創出できます。これはデータに基づいた「勝ちパターン」を知っているからに他なりません。しかしこのような勝ちパターンが既にあるにもかかわらず、デジタルマーケティング業界はいまだに悪しき慣習を残しています。それは「車輪の再発明」をいつまでも繰り返しているということです。

ここで「人材紹介」のサイトを例に挙げて、勝ちパターンのクイズを出題しました。会員登録型と求人検索型の2つにおいて、CVR(コンバージョンレート)が高いのはどちらだと思いますか?

 

答えは会員登録型です。その理由は、実際のユーザの気持ちを考えればはっきりとわかります。転職したい人の多くは今後のキャリアを明確にイメージできておらず、求人をたくさん見ても自分にぴったりな仕事かどうか判断できません。そのため求人を検索させず、すぐにエージェントに会って相談することをオススメする、会員登録型のCVR(コンバージョンレート)が高くなります。この事実はすでに10年以上前から明らかになっていますが、いまだに多くの企業がこの2つの間を行ったり来たりしています。現在では主要13社のうち、半数以上にあたる8社が求人検索型を採用しています。

それではなぜこのような「車輪の再発明」が続くのでしょうか。その根本原因は、人材の頻繁な異動によって知見が蓄積されず、Web責任者が「永遠の初心者」になってしまうからです。その結果、バズワードや新しいツールに飛びついてしまい、当然のごとく大失敗に終わります。その後改めて地道なPDCAを回すようになり勝ちパターンに近づいていくものの、その知見を持つ人が異動することで、再び「永遠の初心者」に戻ってしまうのです。

WACULが目指しているのは、このような状況であっても、誰もが最短距離かつできるだけ少ないコストで80点を取れる世界です。そのためには勝ちパターンを知る必要があります。しかしその数は決して多くありません。デジタルマーケティングの勝ちパターンは、わずか18種類に絞られますが、今回は法人向けソリューションに焦点を当ててご紹介します。

 

WebサイトでCVRを高めるための勝ちパターン

 

今回取り上げるのは、顧客側の知識量が少ないBtoB商材を扱うサイトです。企業規模は問いません。顧客が独力で商材を選ぶことが難しく、顧客の課題が曖昧なケースも多いため、個々のケースに合わせて営業担当が直接説明する必要があります。しかし営業担当のリソースが限られるため、定型的で期待値の低い業務は、デジタルに置き換えていかなければなりません。その中でもリード獲得や優先度付け、サポート効率化などは、デジタルが得意な領域だといえます。

それではここでクイズです。このような状況においてWebサイトでは、営業担当者にリードを渡す前に、サービス内容をしっかり理解させるべきでしょうか?それともサービス理解よりも、まずはCV数を優先させるべきなのでしょうか。

 

正解は「サービス理解よりもCV数を優先する」です。複雑なBtoB商材をWeb上で理解してもらうことは困難です。ユーザは何も理解できないうちに離脱してしまいます。ここで重要なのは、最速で営業担当に渡すことです。リードの質を高めたいのであれば、顧客情報を取得した上でターゲットの取捨選択を行うべきです。

この考えにもとづけば、ベストプラクティスも明らかになります。すべてのページ、すべてのエリアからフォーム直行を狙うべきなのです。入り口ページでは一番目立つメインビジュアルの直下にCVボタンを配置し、「もっと見たい」「楽したい」「あとで見たい」などのニーズを喚起してCVに誘導しましょう。またユーザの目的に応じて複数のコンテンツを用意し、コンテンツ別のフォーム誘導を行うのも効果的です。

 

 

次のクイズはLP(ランディングページ)です。「縦長のLP」と「ファーストビューのみのLP」、どちらのCVRが高くなるでしょうか?

正解は「ファーストビューのみのLP」です。CVの障壁が高過ぎない限り、ファーストビューだけで十分CVに至ります。その効果を引き出すには、ファーストビューにフォームを露出するか、CVボタンを配置しましょう。なおメインビジュアルによる訴求は枯れやすいので、定期的に変更すべきです。慎重に考えてビジュアルを決めるよりは、高速で回していく方が重要です。

掘り起こしやコンテンツSEOにも勝ちパターンあり

 

次のクイズは「掘り起こし」に関する問題です。「ユーザ別のメール(毎月)」と「全員に同じメール(毎週)」のどちらがCVすると思いますか?

正解は「全員に同じメール(毎週)」です。リスト数がよほど多くない限り、ユーザ別に送っても工数に見合いません。メールは2秒しか読まれないため「リマインド」と「架電のシグナル」を主目的にすべきです。

最後に取り上げるのは「記事SEO運用」です。現在も未だに「成果に結びつかないSEO」に注力している企業が後を絶ちません。当社も失敗を経験した結果、現在はコンテンツ制作に注力しています。地道な執筆活動の結果、当社のブログはアクセス解析系ワードで1位を独占しています。2年間の累積でCV数は3,833件に達しており、CPAは0.41万円と、広告よりも効率の良い運用が実現されています。B2B企業は専門領域を持っているため、コンテンツSEOとの相性が非常に良いのです。

 

ただしコンテンツSEOを成功させるには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。まずは赤字を出してでも100記事までは書き続けることです。ページ数が少ないうちはGoogleに評価されません。私が所長を務めるWACULテクノロジー&マーケティングラボでは、この記事数に関する分析レポートを発行しているので、ぜひ見ていただきたいです。(参考:B2Bサイトにおけるコンテンツマーケティングのあるべき姿についての提言

また効果検証を行いながら定期的にリライトすることも必要です。記事が増えていくと、CVを獲得できない記事も出てきます。その原因を明らかにした上で、CVを獲得できる記事へとリライトしていきます。他にもいくつかのポイントがありますが、重要なことは“書きたい記事” を書くのではなく、戦略的にCV数増加を狙うことなのです。

 

デジタルマーケティングの本質は「ユーザ理解」と「市場作り」

 

このような勝ちパターンを活用することで、「車輪の再発明」を繰り返す必要がなくなります。今回は法人向けソリューションを例に勝ちパターンの一部を解説しましたが、紹介しきれなかった勝ちパターンについても、お問い合わせいただければご案内させていただきます。

最後になりましたが、デジタルマーケティングの本質とは、いったい何なのでしょうか。マーケターの仕事としてよく挙げられるものとしては、ABテストやWebリニューアル、コンテンツ作成などがあります。しかしこれらは本来の仕事ではありません。

マーケターが時間を使うべきなのは「ユーザ理解」と「市場作り」です。デジタルはあくまでも手段であり、これに振り回されてはいけません。デジタルの各論は専門家に聞きながら、ぜひ本来のマーケターの仕事に専念していただきたいと思います。