6月下旬、世界各国の女性政治指導者らが一堂に会し、国際的な課題について意見を交わす「Women Political Leaders (WPL)サミット2019」が東京で開催されました。今回で8回目を迎え、アジアでの開催は初となるサミットには、約80カ国から約350人が参加。「SDGs(持続可能な開発目標)を通じて社会の発展に向けアクションを起こそう」をテーマに、女性進出を通した社会発展などについて議論されました。

 

まず注目したいのは、同サミットで発表されたG7(先進7カ国)の女性リーダー1万人を対象に実施した世論調査「レイキャビク・インデックス・フォー・リーダーシップ」です。各産業や分野において、組織のトップや権限を持つポジションにどの程度「男女ともに等しくリーダーに適している」と思われているかを測定したもので、各国の評価スコアが公表されました。

日本のレイキャビク・リーダーシップ指数はG7の中で5位。まだまだ女性がリーダーシップを発揮することが受容されにくいという課題が浮き彫りとなりました。

 

Salesforceは、このWPLサミットにプライムサポーターとして参画。いくつかのスポンサーセッションを通じて自社の取り組みを紹介したほか、企業で活躍する女性リーダーという位置づけで、Salesforceのグローバルリーガル部門責任者のAmy Weaverも参加しました。

 

 

 

 

WPLサミットへ参画の理由 

 

創業以来、Salesforceが大切にしているコアバリューの1つに「平等(Equality)」があります。「平等な権利」「平等な賃金」「平等な教育」「平等な機会」の4つの柱を軸に、私たちが暮らし働くコミュニティに平等の理念を根付かせるべく取り組んでいます。

これは、決して男女平等に限ったことではありません。「LGBTQコミュニティを支援する“Outforce”や障がい者やその家族を支援する“Abilityforce” 、環境サステナビリティを推進する“Earthforce”など、人生経験や背景、支援者をベースに構成されたコミュニティが存在し、活動しています。

またSalesforceには、ほかの企業では珍しい「CEO」が存在します。「E」は通常の「E」が表す「Executive」ではなく「Equality(平等)」を指し、このチーフ・イクオリティ・オフィサー(最高平等責任者)が社内外における平等の具現化をリードしているのです。

たとえば、Salesforceはあらゆる不平等や差別に対し、クリアなメッセージと行動で反対の姿勢を示し続けています。アメリカのインディアナ、ジョージア、ノースカロライナの3州におけるLGBTQに対する差別的な法案に対しても、反対の立場を表明。日本でも、4月に開催された東京レインボープライド(TRP)2019に、日本法人の代表を務める小出自らが参加し、多様性を尊重、支援するという立場を示しました。(詳しくはこちら

このように、Salesforceは不平等や差別の解消に真摯に取り組み、「あらゆる人にとって平等な社会を目指す」という強い決意を持って行動し、社会課題にも取り組んできました。その一環として、このWPLサミットへの参画にも名乗りを挙げているのです。

 

平等な賃金を実現するために過去4年間で総額10ミリオンドルを投資

 

WPLサミット「G20&WOMENOMICS-THE SMART CHOICE」のセッションでは、経済成長のため、労働市場における女性の成功の重要性などが議論されました。パネリストとしてセッションに参加したAmyは、Salesforceにおいて男女平等を実現する社内コミュニティ「Salesforce Women’s Network」のエグゼクティブスポンサーとして、活動に参加しています。

Amyは、企業における女性リーダーの視点から、「民間企業とパブリックセクター(政府)が協力することは、女性の活躍を加速させるために大事なこと」と訴えました。そして、3つの重要なポイントを示したのです。

Amyが示した1つ目のポイントは「平等な賃金(Equal Pay)」。「Salesforceでは男女間の賃金格差をなくし、同一労働同一賃金を掲げています。これは、単発的なプログラムでは終わらず、過去4年間の取り組みで総額10ミリオンドル(日本円で約10億7000万円)を投資しました」と語りました。

Salesforceでは、この同一労働同一賃金を実現するために、定期的に組織全体で監査を実施しています。職務やレベル、勤務地など、賃金に影響する客観的要素をもとに給与や賞与を分析し、男女間、人種・民族間で説明のつかない格差が生じていないか判断。格差が認められる場合は、支給されている金額に別途加算する形で調整を行います。

中途入社が多いため、たとえば、前職で長期休暇をとっている場合など、どうしても入社時の給与が引きずられてしまうことがあります。入社後に高いパフォーマンスを発揮しても昇給には一定の幅があり、すぐには賃金が上がりません。そこでこうしたプログラムを活用してすぐに行動に反映できるようにしているのです。平等な賃金を保つ上で重要な施策の1つだと考えています。

 

産休後の不安を解消させる育成とコーチングを

 

2つ目は「産休取得後の不安解消」です。Amyは「産休は取るべきもの」と明言した上で次のように語りました。

「産休の適切な時間が3カ月なのか、半年なのか、1年なのか、人それぞれ異なります。しかし、職場に戻れないかもしれないという不安が先にたつ早期復職は望ましいものではありません。会社は、産休から戻った人がスキルを維持、補完できるよう、環境づくりやコーチングにしっかりと取り組まなければならないのです。」

さらにAmyは、「多様性はリーダーシップそのものにも必要」と指摘。Salesforceに勤務する前の企業で起きた自身のエピソードを紹介しました。かつて若い優秀な女性から転職の相談を受けたというAmy。ある会社を紹介しますが、その会社から「この仕事には優しすぎる」との理由で断られ、とても驚いたといいます。

「確かに彼女はおとなしい性格で、高圧的なマネジメントスタイルではありませんでした。しかし、論理的な思考を持ち、物事を多角的に見ることができる彼女のマネジメント能力は確かなものでした。」そしてこう訴えました。

「Kindness(優しさ)とWeakness(弱さ)は、同じではありません。ダイバーシティは性差別だけに限らず、リーダーシップの形も多様性に富んで、広くあるべきです。」

 



(写真:Salesforce Women’s Networkのメンバーと。上段真ん中がAmy )

 

大切なのはデータの透明性

 

最後にAmyが訴えたのは「データの可視化」です。アメリカでは、雇用の平等を促進するために、各企業が雇用している社員の男女比率や人種別の構成、さらにハンディキャップやマイノリティも含めた保有データを公開すべきという動きがありました。

Salesforceがデータを取ってみると、予想以上に多様性を実現できていないことが分かったのです。そこで、もっと多様性を実現すべきという認識が社員に共有されました。このデータは、「雇用主情報EEO-1レポート」として毎年公開されています。

Salesforceでは多様性を守ることがゴールではなく、私たちが暮らす社会、コミュニティと同じバランスであり続けることが重要だと考えています。データの公開で事実が分かることにより、社会とのズレが客観的になります。

これは、Salesforceで大切にしているもう1つのコアバリュー「カスタマーサクセス」につながっていくとAmyは語ります。「多様な価値観を受け入れ、理解することで、お客様に対してより良いサービスを提供できます。画一的な価値観では、誤った考えを持ち続けたり、提案する視点が偏ったりしがちです。社会のバランスに近づくことで、私たちはよりお客様に貢献できるのです」

また、社会とのズレを改善していくためには、会社として何らかの投資や決断が必要となります。そのために重要なのは、「データを透明化し、正しいアクションを生むこと」と語りました。

データの公開に関しては、Amyがファシリテーターを務めた「DATA BEYOND BORDERS」のセッションもあり、世界経済の持続的な発展を達成するため、国境を越えたデータ共有の重要性などについて、意見が交わされました。

 

誰もが平等な社会の実現に向け取り組み続ける

 

Salesforceには、平等を促進するために「Ohana(オハナ)」という文化が根づいています。Ohanaとはハワイ語で“家族”を意味します。社員だけでなく、お客様、パートナー、社会のコミュニティすべてを家族のように捉える考え方で、このコンセプトを世界中の社員が共有しています。

だれもが活躍でき、尊敬し合える職場環境を作るとともに、私たちが暮らし働くコミュニティにも平等の理念を根付かせること。そのために社員主導による社内コミュニティをサポートするとともに、私たちが行うあらゆる活動を通じて社内外にメッセージを発信しているのです。

平等は企業が成長し続けるために欠かせない条件であり、企業は社会を変える大きな原動力になると、Salesforceは信じています。私たちはこれからもあらゆる人が平等な社会の実現に向け、取り組んでいきます。