Amazonプライムデーは今や48時間の一大ショッピングイベントとして、開催前も開催後も小売業界に多大な影響を及ぼす存在へと成長しました。サイバーマンデーがサイバーウィークに変わったように、プライムデーもプライムウィークへと変貌を遂げています。典型的な例を挙げてみましょう。Amazonの発表によると、プライムデー2019は、世界中のプライム会員がオンラインマーケットプレイスで1億7500万点以上の商品を購入したため、ブラックフライデーとサイバーマンデーに売れた金額の合計を上回ったということです。

この大規模なショッピングホリデーは、通常は売れ行きが下がる真夏に開催されたにもかかわらず、その波及効果は7月いっぱい続き、Salesforceのデータによると、Amazon以外の小売業者のEコマース収益も、通常の月より約10%増加しました。

先週、私たちはそのデータを掘り下げ、Salesforceプラットフォーム上の5億人の消費者のショッピングアクティビティにもとづくプライムデー予測を実施しました。これで小売業界への実際の効果を知ろうという試みです。プライムデー(今年はテイラー・スウィフトのコンサートも目玉の1つ)は丸2日間の期間が設けられたため、大きな成果が期待できました。そして「真夏のサイバーウィーク」はついにその日を迎えました。

このエントリーでは、Amazonのプライムデーが世界中のEコマースサイトとメールマーケティングにどのような波及効果を及ぼしたかを分析しました。

 

1.プライムデーの大波が小売業者の収益を37%押し上げる

プライムデーの派手な宣伝効果もあり、小売業者は自社のEコマースサイトで多大な利益を得ました。また、この48時間セール中、Amazon以外のEコマースサイト全体でも対前年比37%の収益増加が見られました。対前年比60%という昨年の驚異的な収益増加には見劣りするものの、小売業者にとっては大勝利でしょう。これまで販売が滞りがちだった7月は、プライムデーのおかげで、小売業者界隈で7月版ブラックフライデーと呼ばれるショッピングイベントに変貌したのです。

買い物客は眠気も忘れてプライムデーの特別セールに入れ込みました。下のグラフは、プライムデーの時間別収益を2018年と2019年で比較したものです。開催期間が延長されたため、買い物客はこれまでよりも早い時刻に買い物を始め、収益は月曜日の午前9時(太平洋標準時)にピークに達しました。火曜日の朝と最後の数時間の急伸もあり、収益は最初から最後まで一貫して高水準を維持しました。
 

2.モバイルショッピングがプライムデーの新たな転換点に

今年のプライムデーは、モバイル注文の比率に関して節目の年になりました。具体的に言うと、2日間のプライムデー期間中、注文の49%とサイト訪問の65%がモバイルデバイスからのものでした。注文に関しては、対前年比20%増という目覚ましい成長率を表しています。

このコネクテッドコンシューマーの動向は、(夏休みだったこともあり)モバイルファーストだった2018年ホリデーシーズン中の動向によく似ています。つまり、1年で最も重要かつ高収益を生み出す期間に、小さな画面で閲覧して買い物する買い物客が急増しているということです。欲しい商品を見つけてから購入するまでの間に購買意欲の妨げとなるストレス要素を除去するよう、あらゆるモバイルジャーニーとモバイル体験を設計する必要があります。

 

3.消費財とハイテクブランドがプライムデーの波に乗る — カジュアルアパレルとフットウェアの人気も上昇

今年は消費財が主役に躍り出ました。『Internet Retailer』によると、オンラインでの消費財の売上は、2018年に限っても米国で35%増加して600億ドル近くに達しています。Amazon自身もこの勢いに乗り、プライムデー当日に、公式プライムデー特別企画の一環としてレディー・ガガの新しいメイクアップブランド「Haus Laboratories」を立ち上げました。

Salesforceの調査によると、99%の消費財メーカーが消費者に直接販売することを計画しており、メーカーの多くはこの「人為的な季節商戦」の注目度と需要に着目して、消費者と直接的な関係を築くことを模索しています。D2C(直販)の美容ブランドの場合、目標は必然的にHausのようなブランドとの競争になります。たとえば、Charlotte Tilburyは多くの商品を30%オフで提供し、Tarteは7月15日限定で10ドルのセールを行いました。

もちろん、Amazonのプライムデーでは毎回、消費者向けのテクノロジー商品が目玉になっていますが、競合他社もそれに対抗し、独自の企画でテクノロジー商品を特価販売しています。たとえば、Walmartは7月9日から7月17日にかけてGoogle Weekを開催し、Google Home製品のセールを行いました。

プライムデー効果は、テクノロジー以外のカテゴリーにも波及しました。Amazon以外のEコマースサイト全体を見ると、プライムデーにカジュアルアパレルとフットウェアが対前年比の収益で過去最高の数字を出しています。各ブランドにとって市場シェアを維持することは非常に重要なことです。というのもこれらのカテゴリーにおいて、Amazonのプライベートブランドリーダーとしての地位がますます盤石になっているからです。

 

4.プライムデーに便乗したメール・Webプロモーション

プライムデーが近づくにつれ、マーケティングは喧騒の度合いを強めてきました。SalesforceのMarketing Cloudプラットフォーム視点では、プライムデーの初日に、小売業者が前の週の同じ日に比べて24%も多くのメールを送信したことがわかっています。また、高揚した消費者の購買欲を自社サイトで満たしてもらおうと、多くの小売業者がDeal Days(Target)やBig Saveイベント(Walmart)など独自のセールを開催しています。

メールマーケティングとEコマースサイトに関してSalesforceが独自で行った調査によると、小売業者の半数以上(51%)が何らかのプロモーションを通じてプライムデーの熱狂に便乗したことが判明しています。特に、以下のような興味深い数字も明らかになりました。

  • 『Internet Retailer』(IR)が選ぶ2019年のトップ500企業に名を連ねる小売業者の51%が、7月13日から19日にかけてメールマーケティングまたは自社のEコマースサイトでセールの宣伝をしている。

  • IR 500に選ばれた小売業者の20%が、7月15~16日の48時間セールを、自社のEコマースサイトで特に力を入れて宣伝している。

  • IR 500小売業者が7月15~16日に送信したメールの17%に、「プライム」や「7月版ブラックフライデー」というキーワードが使われている。

実際のところ、「プライム」という言葉を使っていたのは、この期間にIR 500小売業者から送信されたメールの11%に過ぎず、残り(89%)はAmazonのマーケットプレイスにあからさまに触れずに、ショッピングホリデーを控え目に宣伝する傾向が見られました。下の画像は、TargetとShop.comがとったクリエイティブな方法です(Amazonプライムでは会費が必要である点も突いています)。

 

5.送料と割引で太っ腹なところを見せるも、サイバーウィークほどではない

多くのブランドがプライムデーを7月版ブラックフライデーと宣伝しているため(上記のメールマーケティングとEコマースサイトに関する上記のインサイトを参照)、プライムデーとサイバーウィークの2つが米国の小売業の2大セールスイベントとして並び称されるのも無理はありませんが、サイバーウィーク(感謝祭~サイバーマンデー)が消費者にとって最もお買い得感のあるショッピング期間であることは変わりません。

2018年のサイバーウィークは、送料が無料となった割合が80%、割引率が28%という記録的な状況となりました。対照的に2019年のプライムデーでは、期間中の全注文商品のうち、買い物客に無料で配送されたのは71%で、価格の割引率の平均は21%でした。プライムデーの特別セールは(パーソナライゼーション機能を使っていると思われるため)、年末商戦期間ほど利益はないとはいえ、買い物客にとっては利用したくなる十分なインセンティブがありました。

 

6.2日目はAI(人工知能)が営業力を発揮

プライムデーの終盤では、パーソナライズされたお勧め商品が、買い物客と関連セールを結び付けるうえで重要な役割を果たしました。この「人為的な季節商戦」のわずかな期間中、パーソナライゼーション機能が検索性の向上のみならず、コンバージョンと収益の増加にも貢献しました。実際、2日目にAIが勧めた商品をクリックした消費者は、1注文あたり平均で32%も多く出費しています。

モバイルの台頭からD2Cまで、プライムデーのトレンドは、小売業者が今年の最大のショッピングシーズンである11月から12月にかけての年末商戦を予想する際の指標となります。最新の消費者インサイトやEコマースの成長についてもっと知りたい方は、SalesforceのHoliday Readiness Headquartersをご覧ください。また、Salesforce Shopping Indexにも引き続き注目することをお勧めします。

 

調査方法

Salesforceがこのブログエントリーで使用したデータは、2019年7月15~16日に開催されたAmazonプライムデー2019の期間中にCommerce Cloudで取引されたライブデジタルコマースサイト、および、Marketing Cloudで行われたメールマーケティングアクティビティにもとづくものです。これらのインサイトを、『Internet Retailer』が選ぶ2019年のトップ500企業に選出された小売業者が2019年7月11~16日に送信したメールに関する独自調査で補足しました。このブログは小売分野に焦点を絞っており、すべてのデータを集約・匿名化したうえで、各種分析データを生成しています。

コマース指標の割引率は標準価格に対する割引として算出されており、最初から値下げされていた商品は含まれていません。プライムデーに関するこの要約は、Salesforceの運用パフォーマンスを示すものではありません。

 
本ブログは、7月に米国で発表された「6 Ways Retailers Felt the Prime Day 2019 Effect」を翻訳したものです。