編集者による注記:この記事は、ZDNetより転載しています。

スマートフォンや音声アシスタントについて歌ったホリデーソングはまだありません。しかし、コマースの世界は急速に変化しています。それがより顕著に現れているのがホリデーショッピングシーズンです。

デジタルチャネルで商品を探し始める買い物客の割合は、2017年には71%でしたが、現在では87%に達しました。この傾向を支えているのは、スマートフォンの爆発的な普及です。IDCの推測によると、2022年までにスマートフォン台数は市場全体で16億4600万台に達します。当然、利用者が増えれば、移動しながらインターネットを利用する人も増えます。モバイルデバイスによるWebトラフィックは、2018年サイバーウィーク期間中のトラフィックの平均70%、感謝祭当日に行われた商品注文の54%を占めていました。[編集者による注記:2019年サイバーウィーク期間中、世界中の全デジタルトラフィックの73%、全商品注文の55%にモバイルデバイスが使用されました。]しかし、モバイルは氷山の一角に過ぎません。アリババ社は昨年の「独身の日」セールで310億ドルという記録的な売上を達成しました。しかし、中国の巨大Eコマース企業はこの実績に満足していません。「音声は重要なエントリーポイントになるでしょう」とCEOのダニエル・チャンは語っています

顧客とのやり取りの爆発的な増加に対応し、注意が逸れやすいモバイル環境で一つひとつのやり取りの質を高めるために、多くのブランドやマーケターは人工知能(AI)への移行を進めています。AI革命がもたらす高度なパーソナライズや音声サービスなどにより、ショッピングの仕方は劇的に変化するでしょう。そして、その未来は思っているより近くまで迫っています。

 

人の代わりにアルゴリズムが情報収集

第四次産業革命でテクノロジーが次々に登場したことで、顧客の期待はかつてないほど高まっています。「ビジネスの視点で見るとAIは過大評価されている」とお考えなら、認識を改める必要があります。調査によると、AIを「革新的」と答えた顧客は、「取るに足らない」と答えた顧客の9.5倍でした。そして、5年後にはAIによって企業に対する期待は変化しているだろうと考える顧客は87%に上ります。

しかし、AIによる期待の変化とは具体的にどのようなものなのでしょうか。ポップカルチャーでは、AIは恐ろしいサイエンスフィクションとして描かれることがありますが現実の世界では、AIがもたらす体験は顧客から愛着を抱かれているとは言えないまでも、高い評価を得ています。顧客の過半数は、AIによる機能(クレジットカード詐欺防止機能、パーソナライズされた商品推奨機能、音声パーソナルアシスタントなど)を好んでいる、または非常に好んでいると回答しています。また、最近の「パーソナライズされた商品推奨」には、メールの件名に個人名を追加するだけではなく、高度にパーソナライズされたコミュニケーションが取れる機能があります。顧客の59%は、過去のやり取りにもとづいてパーソナライズされた顧客対応が、ビジネスで成功するうえで非常に重要だと回答しています。

2018年のショッピングホリデーシーズン中の全収益の35%は、買い物客がAIによるおすすめ商品情報をタップまたはクリックしたことで発生しており、この割合は前年から25%増加しました。重要なのは、この35%の収益がわずか6%の買い物客によって生じていることです。つまり、スマートな商品推奨機能のサービスを受けた買い物客が、販売の大きな割合を占めているのです。

次のような状況はおそらく何度も体験しているでしょう。1つの商品を購入するためにオンラインショッピングサイトを閲覧すると、次々とおすすめされる商品に目が引かれ、気がつくと50回もクリックしているのに、最低価格で送料無料ならお買い得だと自分に納得させている―そんな状況です。調査によると、パーソナライズ機能はデジタルでの収益の38%に影響しています。この割合は10年後には飛躍的に増加しているでしょう。

 

音声インターフェースと視覚インターフェースを備えたスマートホームデバイスがショッピングを支配

2000年のWeb検索、2007年のスマートフォン以上に、音声はカスタマージャーニーに大きな影響を与えると考えられます。音声がショッピングプロセスにどのような影響を与えているかを見てみると、2つの主なエンゲージメントポイントが浮上します。1つ目はスマートフォンの音声(Siriなど)、2つ目はスマートスピーカーの音声(Alexa)です。

5年後には、主要な小売業者はSiriなどのデジタルアシスタントと連動するモバイルアプリを活用し、顧客によりシームレスなショッピング体験を提供していると予想されます。Rent the Runway社のCEOは次のような例を挙げています。

「私はアプリやWebサイトを通じた人による注文から、音声テクノロジーやテキストメッセージシステムの利用にシフトすると予想しています。たとえば、こんな注文もできるでしょう。『明日の夜にデートがあるから服を送って!』システムはユーザーの生活状況、好みのスタイルやフィット感、そのイベントに最も適したコーディネートを十分に把握しており、注文プロセス全体が劇的に簡略化されます」

もちろん、スマートスピーカーにはショッピングツールとして致命的な弱点があります。それは、商品を選べないこと、そして目で見て確認できないこと、という点です。そのため、時流はスクリーン付きのスマートホームデバイスに向かっています。

2020年末には、スクリーン搭載型スマートホームデバイスがオンラインショッピングの主要なチャネルになっていることが予想されます。人間の脳は画像を文字より60倍速く処理できるため、スクリーン付きの音声アシスタントはショッピングチャネルとして急速に普及するでしょう。スクリーン付きスマートホームデバイスを使用すれば、複数の選択肢を確認し、探している商品を見つけることができます。たとえば、子どものためにハイトップのバスケットボールシューズを探している場合、購入する前にさまざまなシューズを確認する必要があります。スクリーンがあればそれが可能になります。また、それによってブランドは新たなレベルのパーソナライズサービスを実現することもできます。

小売業者は、次のいずれかの方法でショッピング体験をパーソナライズすることをあらかじめ考えておく必要があります。

  • 個人の嗜好によって検索結果をソートする:「以前に購入したものと似たようなバスケットボールシューズを見せて」これを実現するには、CRMまたはDMPソリューション、ソーシャルリスニングのほか、販売、サービス、マーケティングの統合が必要です。
  • ショッピング体験をYelp化する:「バスケットボールシューズと、ユーザーレビュー、ユーザーの写真、SNS上の関連フィードなどを見せて」顧客がYelpのようにユーザーの評価で商品をソートできれば、ブランドが優れた体験を提供するきっかけになります。一方、レビューの信憑性を保証し、フェイクレビューを拒否することも極めて重要です。

 

オンラインと実店舗での体験の差異が次第になくなる

ブラックフライデーとサイバーマンデーは、今のところ、便宜的に別の名前がつけられていますが、実質的な違いはありません。顧客はますますオンラインとオフラインが一体化した体験を求めるようになっています。Salesforceの調査によると、顧客の82%はデジタル体験と直接的な体験を一体化するために自身に関する情報を進んで提供します。しかし、必ずしも現実と理想が一致するわけではありません。調査員の評価では、モバイルデバイスを利用した実店舗体験は5点満点で1.74点という結果になりました。買い物客が日頃から店舗でモバイルデバイスを使用していても、ほとんどの小売業者やブランドは、この行動を活用するために、SNSでの割引情報の提供やモバイルデバイスでのCTA(行動喚起)など、店舗内のイノベーションを推進していません。

革新的なアプローチでオンラインと実店舗の橋渡しに取り組んでいるブランドがあります。それは、ダイアン・フォン・ファステンバーグのDVF 360です。人を引き付ける独自の3Dショッピング体験のユーザーは、仮想的に店内を巡り、実店舗と同じように商品を見て、購入はオンラインで行うという臨場感あふれる体験ができます。

2019年のオンラインショッピングのトレンドについてさらに詳しく知りたい方は、Salesforceがホリデーに関する知見をまとめたこちらのWebページご覧ください。