Leading Through Change  - いま、私たちができること。- 

「良いこと」をする企業は、パンデミックのなかでも成功するのでしょうか?米国企業のビジネスプラクティスを評価、格付けする非営利組織Just Capitalの調査によると、米国の人々が特に重要だと感じている問題にポジティブな影響を与えている企業は、新型コロナウイルス(COVID-19)の危機のなかでも高いパフォーマンスを継続しているといいます。詳しくはこちら(英語))

さらにJust Capitalは、米国のトップ企業100社がこの危機に際して従業員や顧客、地元コミュニティにどのような対応をしたかを調査し、企業対応トラッカーにまとめています(英語)。Just Capitalは、新型コロナウイルスを1つの「ターニングポイント」と見ており、企業はこの危機を境に、株主のニーズよりもステークホルダーへの適切な対応に重きを置くようになると考えています。

思いやりを示しながらビジネスの成功をつかむために、企業は何をしたらいいでしょうか?この点について、カスタマーエクスペリエンスに造詣の深いJeanne Bliss氏にお話を伺いました。同氏は、Land’s End社やColdwell Banker社、Allstate社、Microsoft社でチーフカスタマーオフィサーを歴任し、30年以上にわたりカスタマーエクスペリエンスの向上を推進してきたエキスパートです。カスタマーエクスペリエンスに関する4冊のベストセラーの著者であり、Customer Experience Professionals Associationの共同創立者でもあります。

企業が深い顧客関係を築くための行動を定義し、実践するのを支援するコンサルティング会社、Customer Blissの創設者である同氏は、最高の企業は正しいことをするための継続的な取り組みを通じて、コミュニティの信頼を獲得し、維持すると信じています。「各企業が今どんな振る舞いをするかは、危機が去った後も人々の記憶に長く残ります」と同氏は指摘します。

ここからは、企業が今すぐ実践できる、Bliss氏のアドバイスを3つご紹介します。 

 

幅広い意見に耳を傾ける

実際のオフィスと同じような環境を再現します。全員がリモートで働く状況では、ブレインストーミングとコラボレーションが何よりも重要になります。Bliss氏の1つ目の提案は、Zoom Roomなどのツールを使って、オフィス環境を再現できる「オンラインオフィス」を設けること。さらに一歩踏み込み、誰もがつながって気軽に質問や貢献ができる、常時参加可能なオンラインルームを開設してみるのもいいでしょう。上級管理職も巻き込み、あらゆる職務階層からアイデアを募ります。「この取り組みによって、上下関係が取り払われます。普段は同席しないような人とも場を共有し、言葉を交わすことで、組織を活性化できます」とBliss氏は語ります。

顧客同士がつながれる環境を整備しましょう。企業が手を貸さなくても、顧客同士がつながることができる手段を提供することも同じくらい重要です。オンライン討論会や、招待された人だけが参加できるWebセミナーを開催して顧客から学びを得ながら、人々が外での活動を制限されるなかでも価値を創出することをBliss氏は推奨しています。

心の健康にも気を配りましょう。会社のなかで心の健康が話し合われることは滅多にありませんが、雇用者は多くの従業員がストレスと恐怖を抱えていることをしっかり認識する必要があります。周りの目を気にせずに従業員同士がつながりを持て、心の健康の対処法を共有し合える場所をビジネスリーダーが提供する必要があります。多くの企業が心の健康の問題に対処するために福利厚生を強化しています。たとえばStarbucks社のヘルスケアプログラムでは、従業員とその家族が年間20回のセラピスト面談を受けることができます(詳しくはこちら(英語))。他の業界に目を向けると、クラウドベースのコンタクトセンタープロバイダーであるTalkdeskのCMOは、先日、自社のマーケティングチーム全員が参加できるオンラインでの瞑想会を主催しました。

 

思いやりの気持ちを持って対応する

契約条件、手数料、違約金、キャンセルの各ポリシーの内容を再検討しましょう。各ポリシーを見直し、現在直面している危機に合わせて内容を調整します。企業の今の振る舞いが将来の顧客との関係に影響を及ぼすことを忘れないでください。

今回の危機で思いやりのある対応をしない企業は評判が下がるだろう、とBliss氏は指摘しています。「今、顧客を縛りつけても長期的な支持は得られませんし、後から称賛されることもありません。」

たとえば、東海岸のとあるフィットネスクラブチェーンは、救済策に関する問い合わせ窓口を設置せず、休業期間中も利用料金を請求し続けたことで悪い評判が立ち、利用者から集団訴訟を起こされました(詳しくはこちら(英語))。

一方、ホテルチェーンのMarriottとHiltonは、キャンセルの際に違約金なしで全額を返金し、より条件の厳しい事前支払いプランにも同様の措置を適用したことで、顧客からの信頼を獲得しました。また、ポイントの有効期限と会員ステータス特典の期限の延長だけでなく、医療従事者への客室の無償提供も行っています。(詳しくはこちら(英語))

Just Capitalによると、調査対象企業の64%が顧客に対して同じような救済策を実施しています。これは今回の危機で最も多く見られる対応であり、従業員のリモートワーク化・テレワーク化がそれに続きます。

危機が過ぎ去ったときに、称賛とともに人々の記憶に刻まれている企業が、顧客のロイヤリティを獲得するのは間違いありません。

今こそ人々の生活に貢献し、ポジティブな印象を残すべきときです。”

Jeanne Bliss
 

希望や明るい見通しを伝える

顧客と従業員に現在の取り組みの最新情報を伝えるようにしましょう。顧客に対しては、彼らの問題を解決するためにどのような対応を進めているかを伝えることが大切です。従業員に対しては、誇りに思える企業で働いていると感じてもらうことが重要です。「コミュニケーションは製品と同じくらい大切に扱う必要があります」とBliss氏は述べています。

最もダメージを受けている人たちを支援しましょう。これまで紹介してきたポイントと似ていますが、今回の危機の矢面に立つ人たちへの共感を示すようにします。いくつか例を挙げると、大手通信会社AT&Tは、初期対応ネットワークサービスであるFirstNetを、米国のすべての医者と看護師に3か月無料で公開しています。(詳しくはこちら(英語))廃棄物処理サービスのWaste Managementは、すべての従業員に週40時間分の給与を無期限で保証するとともに、中小企業が同社のサービスを1か月間無料で利用できることを確約しています。(詳しくはこちら(英語))

ビジネスのなかで改革できる部分があれば、それに取り組みましょう。中小企業でも戦略を練り直すことはできます。Bliss氏は、シアトルの高級レストランCanlisの例を紹介してくれました。このレストランは、ビジネスを徹底的に見直し、家族向けの食事を届ける店へと変貌しました。この店のWebサイトには、「今シアトルで必要とされているのは高級料理ではありません。時代の変化に合わせて私たちも変わっていきます」というメッセージが掲載されています。

Bliss氏は、企業が顧客とコミュニティに希望を与えるためにできることのヒントを「希望を持つための処方箋」と名付け、自身のブログで紹介しています(英語)

連載「Leading Through Change - いま、私たちができること。-」では、この難局に直面しているビジネスリーダーのためのソートリーダーシップ、ヒント、リソースをご紹介しています。ぜひ、他の記事もお読みください。