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DXの現場から〜Salesforceプロフェッショナルメンバーが語る課題と解決策 Vol. 1

ニューノーマルの世界において、これまでと価値観が変わった顧客や社員に選ばれ、成長し続けるには、DXの実現が不可欠であるという認識が広まる一方で、その本質はデジタル技術の革新にとどまりません。真のDXがいかなるものかを理解することが必要です。まざまな業界においてSalesforceのお客様のDXを直接ご支援してきたエキスパート達が、事例を交えながら「DXとは?」について解説します。

アフターコロナのネクストノーマルの世界において、価値観が変わった顧客・社員に選ばれ、そして成長し続けるには、DXの実現が不可欠であるという認識が広まる一方で、その本質はデジタル技術の革新にとどまりません。真のDXがいかなるものかを理解することが必要です。

Vol. 1: バズワードからの脱却〜Salesforceが考える真のDXとは

昨今「DX(デジタルトランスフォーメーション)」がバズワードとして取り上げられることが多くなっています。アフターコロナのネクストノーマルの世界において、価値観が変わった顧客・社員に選ばれ、そして成長し続けるには、DXの実現が不可欠であるという認識が広まる一方で、その本質はデジタル技術の革新にとどまりません。真のDXがいかなるものかを理解することが必要です。 そこで、「DXの現場から〜Salesforceプロフェッショナルメンバーが語る課題と解決策」と題して、さまざまな業界においてSalesforceのお客様のDXを直接ご支援してきたエキスパート達が、全6回のブログをお届けします。 序章となるVol. 1では、「DX」の本質を理解するためのポイントをカスタマーサクセス統括本部 アドバイザリー本部長・執行役員 久喜 隆生が解説します。

アフターコロナで加速するDX。生き残りのカギは「最高の顧客体験の提供」

新型コロナウィルスによりリモートワークやオンライン購買などデジタル活用のライフスタイルが一気に広まり、デジタル化が加速することが予測されます。 人と人、モノとモノがデジタルにつながり、さらにインテリジェンスを持つことで業界再編の波に加え、企業の優勝劣敗が急激に進みます。実際に、流通小売やITから金融業への参入や、製造業や通信業がサブスクリプションモデルへとビジネス業態を変化させるといった動きは、お客様の中で目下進んでいるところではありました。

そんな中、STAY HOMEの環境下で多くの人々がさまざまなデジタルサービスを体験し、その利便性を体得することで、企業が想定するよりはるかに早く、顧客のデジタル体験に対する期待値が高まる状況が生まれているのです。

この先、淘汰されることなく顧客から選ばれ続ける企業になるためには「最高の顧客体験」を提供し続けることが重要です。そのためには、デジタルやCRMを駆使して顧客を捉えることはもちろん、それ以上に、これまで企業優位・企業本位で構築してきたビジネスプロセスやそのシステム、カルチャーといったもの全てを顧客中心型へ変革することが必要です。これこそがDX、つまりデジタルトランスフォーメーションの重要なポイントなのです。

「ビジネス」「テクノロジー」「カルチャー」三位一体の変革

DXを実現した顧客中心型企業の事例として最も先進的なのは、弊社・Salesforceと自負しています。昨今、弊社のビジネスの手法、製品開発からマーケティング・営業・サービス・サポートまで全ての流れを移植したいという、さまざまな分野のお客様が増えています。なかでも、弊社の持つテクノロジー(CRM)やビジネスプロセス(The Model)を移植したい、という依頼は少なくないのですが、実はこれらを単純にほかのビジネスへ移植しようとしてもうまくいかないことが多いのです。

お客様がDXの本質理解を深め、社内を先導して「ビジネス」「テクノロジー」「カルチャー」の3要素を三位一体で変革していかなければ、真のDXを実現することは難しいと考えています。では、この3要素を、具体的にどのように変革していけばよいのでしょうか。

  • ビジネス:顧客中心設計・顧客体験を軸にしたビジネス・サービス設計へ
    顧客体験をベースにサービスや業務の設計を行う企業が増えてきたことにより、よくワークショップなどを行っている場面に遭遇するようになりました。ただし、真に顧客中心でサービス設計ができている企業は多くありません。 重要なのは顧客を巻き込んだ綿密なユーザーリサーチであり、ワークショップで作り上げた成果をもとに迅速にMVPを構築し、更にユーザーテストを繰り返していくことですが、コンセプトと実装が分断している事象が多くみられます。せっかく作ったユーザージャーニーが業務プロセス・システムにすぐに反映されず、また継続的に改善される仕組みになっていないのです。Salesforceのアドバイザリーメンバーはこの課題を解決するアプローチを採用し、お客様と実行・実践しています。
  • テクノロジー:Customer 360 Truth をテクノロジーの軸に据える
    現状、多くの企業の顧客情報はバラバラで、正しい顧客の姿は見えていません。これは部門の壁、システムの壁のいずれも課題です。顧客情報は企業の重要な資産であり、多くの部署のメンバーが唯一かつ正しい顧客情報と接点を持ち活動することで、常にリアルタイムに成長・アップデートされるべきものです。しかし実際のところ、部門のサイロ化や顧客DBがバラバラになっており、多くの企業では実践できていません。 Salesforceは、テクノロジーのコンセプトとして「Customer 360 Truth」を打ち出しています。​これにより全社員が、顧客を360度の全方位かつ1つの像として捉えることが可能となります。信頼できる正しい顧客に関する情報を一箇所に集約し、皆がそれにアクセスし、活動することができます。さらに「Mulesoft」という、システム間を柔軟につなぐソリューションがSalesforceの製品に加わったことで、企業のあらゆる既存のシステムやアプリケーションと連携することが可能になり、Customer 360を実現しています。 つまり、顧客情報を企業の中心に据えるシステムアーキテクチャを実現することが重要なのです。将来的には顧客別のP/L、LTVが自在に見えることが求められると考えています。
  • カルチャー:顧客中心型企業に求められる「風土」「振る舞い」への変革を果たす
    顧客中心型企業へのDXを推進しようとする経営陣は多くいます。しかし、DX変革への戦略を理解し、ビジネスプロセスを変え最新のテクノロジーを導入しただけでは、DX変革は達成できません。プロジェクトが終わったり、人事異動などにより担当者が変わると、途端にDX変革の進行状況が巻き戻ってしまうことが多いのです。 我々は企業をよく「木」として例えます。大木が倒れず、毎年花を咲かせるためには、地上に見えている幹や枝葉のみならず、地下に張り巡らされた「根っこ」がしっかりしていることが何より重要です。我々はこの「根っこ」を、DXを根付かせる「風土」「振る舞い」として定義しています。

Salesforceは「LEVERS(Leadership、Ecosystem、Values、Enablement、Rewards、Structure)」というフレームワークを確立しました。お客様との取り組みの中で、この6つのカテゴリのうちの、4つ以上について同時に施策を行うことであるべき振る舞いが定着し、企業の風土変革の成功確率が10倍高まるということがわかってきています。

お客様のDXに伴走するプロフェッショナル集団「アドバイザリーメンバー」

「ビジネス」「テクノロジー」「カルチャー」の3要素の変革を進めるにあたり、DXを推進する体制を整備し、社内のケイパビリティを高めていく仕組み(デジタルオペレーティングモデル)の構築も重要です。なかでも核になる体制のことを「CoE(Center of Excellence)」と呼びますが、我々は、お客様の組織内にこのCoEを立ち上げ、最終的にはお客様ご自身が自律的にDXを推進できるかたちを目指します。

顧客中心型企業とはどういうものかを身を持って体感し、お客様に移植できるのは、我々Salesforceのアドバイザリーメンバーです。DXを推進するために、お客様とナレッジ・スキルの共有を行い、お客様が自立されるまで我々プロフェッショナル集団が伴走します。あくまで主体はお客様なのです。

すでに欧米をはじめ世界的には多くの企業がDXを実践し、成功しています。このブログシリーズの第2回以降では、アドバイザリーメンバーのエキスパート達が、日本企業のDXの現状について、事例を交えながら解説していきます。

ブログシリーズ:DXの現場から〜Salesforceプロフェッショナルメンバーが語る課題と解決策

Vol. 1: バズワードからの脱却〜Salesforceが考える真のDXとは?
Vol. 2: データのサイロ化を脱却〜真の顧客理解のために動きはじめた日本企業
Vol. 3: DXにおいて打破すべきデジタルマーケティングの壁とは?
Vol. 4: 顧客中心主義を実現する「Customer 360」テクノロジー鳥瞰図
Vol. 5: DX成功のカギを握る「組織風土変革」と実現のためのフレームワーク
Vol. 6: 継続的なDX実現のために〜顧客エンゲージメント推進組織「Salesforce CoE」とは?

Takao Kuki カスタマーサクセス統括本部 アドバイザリー本部長 執行役員 Takao の他の記事

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