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世代別分析で読み解く、消費行動の変化と効率的なアプローチ

Snapshot Research Series

新型コロナウイルスの影響で消費行動や習慣はどのように変化したのか。ベビーブーム世代、X世代、ミレニアル世代、Z世代、それぞれの世代ごとに各世代ごとに新しいショッピングの好みやインサイトを紹介します。

この記事は、2020年5月に米国で公開した「New Data: How to Engage Shoppers Across Generations in the COVID-19 Era and Beyond」の抄訳版です。

Salesforce Researchでは2週間ごとに、新型コロナウイルスの感染拡大に消費者と労働者がどう対処しているかを知るための一般調査を実施しています。今回は最新の調査結果を分析し、小売業者が各年代の消費行動から明らかになったことと、企業にできる対応策のヒントを取り上げます。最新の調査結果および詳細はこちら(英語)でご覧いただけます。

Leading Through Change – いま、私たちができること。-

Z世代、ミレニアル世代、X世代、ベビーブーム世代はこれからも店に来るでしょうか?おかしな質問に感じられるかもしれませんが、多くの小売企業にとっては深刻な問題です。新型コロナウイルス感染症はあらゆる年齢層の人たちに影響を与えていますが、高齢者ほど重症化しやすいことがわかっています。小売企業は経営の立て直しと再開に奮闘中ですが、大きな課題はデジタルチャネルへの移行が難しい高リスク世代を迎え入れるため、実店舗の感染対策を徹底しなければならないことです。

その一方で、巣ごもり中の若い消費者はさまざまな新しいオンライン購買チャネルに目を向け、小売企業にデジタルエクスペリエンスの充実を迫っています。

Salesforceが実施した消費者調査は、この2つの課題を抱えつつ、リソース的な理由で対応がとれずにいる小売企業に有用な示唆を与えてくれます。この調査から、各世代の買い物客が今現在、そしてこれから先に何を求めているかがわかります。

ベビーブーム世代とX世代はワクチンの完成を待たない– この世代の信頼を得るにはソーシャルディスタンスと個人用防護具(PPE)の徹底が不可欠

ベビーブーム世代とX世代はミレニアル世代やZ世代よりも重症化リスクが高いため、実店舗を再開するにあたっては、この世代が何を心配するのかを把握することが特に重要です。ベビーブーム世代とX世代は、再開した店に何を求めるでしょうか?

ソーシャルディスタンスと個人用防護具が与える安心感

今回の調査でわかったのは、米国に住む大半のベビーブーム世代は、政府の安全宣言やワクチン、あるいは検査さえ待たずに店に戻ってくるということです。データが示すとおり、この世代が売り場に戻っても大丈夫と感じるのは、小売企業が十分に対策した場合です。店内でのソーシャルディスタンスと個人用防護具着用の徹底を求める声はすべての世代の買い物客に共通していますが、特に40歳以上のグループで顕著です。家電量販店のBest Buyは、安全と思いやりを再開戦略の要とし、前面に押し出しているブランドの一例です。同社は予約客のみ来店を受け付け、店員にはマスクと手袋の着用を義務付けています (詳しくはこちら(英語))。

Consumer require the following to return to stores

従業員の心と体の健康が最優先

新型コロナウイルスの感染拡大で、消費者は健康でいることの重要性を痛感しました。ただし、その気持ちは自分だけに向けられたものではありません。購入の決断とロイヤリティに強く影響する要因は何かという質問で、米国のあらゆる世代の消費者が、「割引」に続いて「従業員の健康への配慮」を選びました。売り場に立つ従業員を保護する取り組みで参考になるのは、スーパーマーケットチェーンのH-E-Bの事例です。従業員専用の新型コロナウイルス相談電話を設け、療養休暇制度を拡充し、売り場での感染リスクの高さについて注意を喚起しました。

Ranking of customer loyalty factors

ミレニアル世代とZ世代をつかむには新しいチャネルへの対応が必要

今回の調査では、18歳から39歳までの、いわゆるZ世代とミレニアル世代と呼ばれる米国の消費者が、新しいショッピングの流儀をどん欲に採用していることがわかりました。ミレニアル世代の人口はベビーブーム世代を超え、国内で最も多い世代であるため、この傾向は軽視できません。この世代の消費行動はどう変わったでしょうか?小売企業は、この変化にどう対応できるでしょうか?

米国のミレニアル世代の63%が、パンデミック発生後にソーシャルメディアから買い物をしたと回答。

オンラインショッピングとオンラインサービスが隆盛

ソーシャルメディアで育った世代が、巣ごもり中にTikTokやInstagramのようなアプリをますます使うようになったことは驚くことではないでしょう。まだ若い消費者は、商品を眺めるだけでは満足しません。ミレニアル世代の63%が、パンデミック発生後にソーシャルメディアから買い物をしたと回答しました。ソーシャルメディアの側も、アプリ内で使える機能を拡張、更新して、この動きに燃料を投じました。たとえば、TikTokは「Shop Now」ボタンがあるインフィード広告を追加し、Levi’sのような小売企業がこれを意欲的に利用しています。FacebookとInstagramも、アプリ内で手軽に商品を検索し、「いいね」と同じような感覚で購入できるショッピング機能を追加すると発表しました。他にもさまざまなブランドや小売企業があの手この手でデジタルプレゼンスを強化し、消費者の購買欲をつなぎとめようとしています。

Purchases over social media rise in popularity among younger generations in U.S.

米国のZ世代の69%が、これまで対面で購入していた商品やエクスペリエンスをオンラインでも購入したいと回答。

オンラインサービスは18~39歳に人気

旧来の商品を新しい方法で販売することだけが、小売企業のイノベーションではありません。ジムのレッスンをライブストリーミングで配信したり、スタイリストがFaceTimeで予約を受け付けるといった形でも、商品やサービスのオンライン対応が始まっています。事実、米国のZ世代の69%が、これまで対面で購入していた商品やエクスペリエンスをオンラインでも購入したいと回答しました。この時流の先頭を走る小売企業の一例が、人気のゲーム「どうぶつの森」内で春夏コレクションの衣類を販売しているNet-a-porterです。もちろん、自分のキャラクターに着せる服だけでなく、実際に自分で着る服も注文できます(詳しくはこちら(英語))。

47% of U.S. consumers say they're likely to pay for virtual versions of traditionally in-person experiences

消費者たちは顔を合わせない買い物を歓迎

買い物を安全にする新しい取り組みは、すべての年代の消費者に受け入れられています。とりわけ40歳未満の世代は、非接触型の配送や支払い方法のような新しいスタイルを取り入れることに熱心です。今回の調査で明らかになったのは、米国のZ世代とミレニアル世代の約80%が、過去2週間に非接触型の配送を利用したことです。この数値はベビーブーマーでは48%にすぎません。さらに、ほぼ同じ割合のミレニアル世代が、その期間に非接触型の決済手段を使ったと回答しました。配達と支払いの両方を非接触で実現しているのがDomino’s Pizzaです。専用アプリの非接触配達オプション(玄関先などに空箱を下敷きにして商品を置く配達方法)と、事前決済やチップ前渡しのオプションを併用すれば、安全かつ効率的にピザをオーダーできます。

68% of U.S. consumers say they have used contactless delivery during the COVID-19 pandemic

分析をもとに具体策を

このように、新型コロナウイルス感染症は、各世代の消費行動に影響を与えました。さて、この分析を見て小売企業にできる対策は何でしょうか?

オンラインや非接触のアプローチを強化する

最も若い世代の顧客に対しては、従来と違うアプローチを試すことができます。この世代は、新しいチャネルや買い方を試すことに前向きだからです。また、感染拡大が収まった後、この顧客をどうつなぎとめるかも考えてください。ショッピング機能を充実させ、毎日使うアクティブユーザー数も右肩上がりで増えているTikTokやInstagram、Pinterestなどは、未来のショッピングモールになりつつあります。米国には18歳から39歳までの消費者が9,600万人もいるので、このような消費行動の変化に注目することは極めて重要です。次の対応をお勧めします。

  • フォロワーを増やす。TwitchやInstagram、TikTokのようなソーシャルチャネルで顧客を獲得する
  • パーソナライズする。データを活用して、自動化や利便性の向上、サブスクリプション、拡張現実を提供する。
  • 返品を減らす商品の選び間違いを減らすため、レビューや購入者からの画像、説明動画を充実させる。
  • 店舗内での接触を減らす。 店内レイアウトや試着室、入店規制、マスクや防護具の着用を再考する。
  • 精算時の接触を減らす。モバイルウォレットやセルフレジ、事前決済に対応する。
  • 引き渡し時の接触を減らす。当日配送、カーブサイドピックアップ(歩道での商品引き渡し)、ドライブスルー、置き配を始める。

相手の気持ちを思いやり、想像力を働かせる

今は先行きが見えないだけでなく、不安や恐れと隣り合わせの時期でもあります。ブランドは消費者の不安に対処するだけでなく、従業員の不安についてもしっかりと認識し、配慮することが大切です。小売企業は、ソーシャルディスタンシングとマスクや消毒薬を店舗スタッフと来店客の両方に提供することで、買い物客の不安を緩和できます。多くの業者が創意工夫を凝らしています。まず次の対策を考えましょう。

  • 安全を最優先にする。売り場が衛生的でなくては、安心して買い物に戻れない。これについては、特にベビーブーマーが敏感である。
  • 保護具などを提供する。マスクなどの保護具を従業員や来店客に提供する。
  • 店内を過密にしない。工夫してソーシャルディスタンスを確保する。オンラインでの予約を呼びかけ、リスクの高い高齢者や従業員向けの時間を延長する。

顧客とオンラインでつながるために、Quick Startコマースソリューションをぜひご活用ください。その他のベストプラクティスについては、「Leading Through Change – いま、私たちができること。-」シリーズの他の記事をご覧ください。

この記事で紹介した調査の詳しい結果は、Tableauのインタラクティブなパブリックダッシュボード(英語)でご確認いただけます。

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