編集部注 – 本稿はSalesforce において、テクノロジーの倫理的・人道的利用に関する部門の最高責任者を務めているポーラ・ゴールドマンとの共同執筆です。

 

Leading Through Change  - いま、私たちができること。-   

従業員や顧客、住民が雇用主や企業に求めることは急激に変わりました。「この会社は信頼できるか」、「この会社は自分や他の人の安全を守ってくれるか」という新しい問いが投げかけられるようになったのです。平常時には、ほとんどの人が自分の健康情報を職場や地域社会、企業に進んで伝えようとはしませんでした。しかし、新型コロナウイルスの世界的大流行によって状況は一変しました。最近実施されたある調査(英語)では、アメリカ人の89%が、企業活動を再開する際に自分や同僚の安全を守るのに役立つのであれば、自分の健康に関するある程度の情報を進んで共有すると答えています。

しかし、健康情報を共有することには個人のプライバシーに関する重大な懸念が伴います。たとえば、別の最近の調査(英語)では、回答したアメリカ人の約79%が、企業や政府機関が自分の健康情報をどのように利用するか心配だと懸念を示しています。企業や団体は今、活動再開のプロセスを進めながら信頼を築く必要があります。ここで失敗すると、健康リスクを把握してコミュニティを感染の危険から守るために必要な情報を共有してもらえなくなるおそれがあります。

そのため、企業が安全衛生対策を実施する際には、プライバシーと情報の倫理的な活用への配慮が大切です。情報を収集するときは従業員や顧客、地域住民に信頼されるツールを使い、その情報がどう使われるのかを明示する必要があります。これは現在のパンデミック下で企業活動を再開するために必要不可欠なことです。しかし具体的にどうすれば、これらのソリューションに対して従業員や地域住民の信頼を獲得できるのでしょうか?たとえばSalesforceがオフィスの再開や緊急時対応管理を支援するWork.comなどの製品を開発、実装する際には、以下のようなプライバシーと倫理的活用の原則に従っています。

 

1. 人権と平等を守る

ソリューションを構築するにあたっては、すべてのユーザーを排除せず、弱い立場のユーザーに配慮し、必要なサービスを受け入れるようにします。たとえば、複数の言語に対応しているか?国際的に認められたアクセシビリティのベストプラクティスに沿っているか?といった点を検討します。また、あらゆるニーズに応えるために、専門家の助言も含め、多様な立場や集団からのフィードバックを集めます。他の人たちの意見を知るために、受け取ったフィードバックは関連するコミュニティに共有します。

 

2. 透明性を順守する

従業員やコミュニティメンバーに対して、データの収集、保存、利用方法に関するガイダンスを提供します。データがどのように保護されるかと、個人データの利用についてどのような権利を持っているかを開示します。新しい日常(ニューノーマル)を考慮し、他人の健康と安全を守るために、雇用主が従業員に何を求め、個人の健康情報を共有することがなぜ重要であるかを明確に示す必要があります。この件について考える十分な時間を与え、取り組みの効果をあげるには従業員の協力が重要であることを説明しましょう。

 

3. 収集するデータは最小限にする

取り組みに必要な最小限のデータだけを収集、保管するようにします。その情報は従業員や顧客の安全を守るために本当に必要なものなのかを常に自問してみましょう。可能な限り、データを匿名化して個人のプライバシーを保護してください。多くの場合は、個人を特定する情報を含まないデータポイントだけでも、健康上のリスクや注意点を十分に把握できます。

 

4. 長期的なアプローチを採用する

従業員やコミュニティの安全衛生を守るために現在実施されている予防策の多くは、今後もしばらく継続する可能性があり、これからの事業再開の標準になるかもしれません。収集する情報についてはよく検討し、収集したデータを保持して保管する長期的な影響とリスクを考えましょう。本来の目的に必要な間だけデータを保持し、その期間が終わったら削除します。それによってデータプライバシーのリスクを抑え、必要な個人データを必要な期間のみ利用できるようにします。

 

5. セキュリティ保護を適用する

保存されるデータセットは基本的にアクセス不可とし、それを「知る必要のある」特定の利用者にのみ適切なアクセス権限を与えるようにします。データの不正使用を防止するために、ISO(国際標準化機構)、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)、NIST(米国国立標準技術研究所)サイバーセキュリティフレームワークなどの業界基準に準拠する安全対策を実装します。

テクノロジーは感染拡大を抑える上で重要な役割を果たします。個人のプライバシーを保護し、公衆衛生を増進させる意図をもってテクノロジーを設計、実装すれば、社会全体に好影響を与えることができます。

こうした指針となる原則の詳細については、「Privacy and Ethical Use Principles Guiding our COVID-19 Response」(英語)をご覧ください。倫理的活用とプライバシーを考慮して事業再開プロセスを計画するためのガイドについては、「Ethical Use and Privacy Considerations for COVID-19 Response Guide」(英語)をご覧ください。データのプライバシー保護を強化するために実行できるアクションについては、「Key Privacy Considerations Checklist」(英語)をご覧ください。