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第一人者、荻野淳也氏に聞く 「マインドフルリーダーシップ」とは?

第一人者、荻野淳也氏に聞く 「マインドフルリーダーシップ」とは?

「これからの当たり前、いわゆるネクストノーマルをどう生きるか」を識者に聞く、人気シリーズ第2弾。今回は、世界のビジネスリーダーたちが実践する「マインドフルネス」について、日本の第一人者荻野淳也氏に伺います。

Leading Through Change – いま、私たちができること。-

世界が大きな課題に直面する今、Salesforceとして何ができるかを皆さまと一緒に考えていくというコンセプトのもと、さまざまなテーマでブログ記事やオンライン番組、オンラインセミナーを実施する企画「Leading Through Change – いま、私たちができること。」。各分野のTrailblazer(先駆者)にお話を伺うオンライン番組の日本版第2弾は、マインドフルネスをベースにしたリーダーシップ教育や組織開発の第一人者である、荻野淳也氏が登場。

Salesforceの執行役員でサステナビリティ&コーポレートリレーションの遠藤理恵が聞き役を務め、荻野氏に世界中のトップ企業のビジネスリーダーや、名だたるスポーツ選手が実践するマインドフルネスの本質や効果、そしてニューノーマル時代に求められるリーダーシップのヒントを教えていただきました。今回は、番組の内容を一部抜粋してご紹介します。

荻野淳也氏は、外資系コンサルタントやベンチャー企業の取締役を経て独立。リーダーや組織の本質的な課題にフォーカスし、変容を促進することを目指して、2013年に一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)を設立しました。以来、最新の脳科学などで効果が実証されたマインドフルネスをもとに、個人や企業のコンサルティングに従事しています。

マインドフルネスは、GoogleやApple、Goldman Sachsなど名だたる企業が導入しており、近年では雑誌や書籍などでも紹介されその効果に注目する人が増えています。マインドフルネスとは、一体どのようなものなのでしょうか。荻野氏は次のように説明します。

「マインドフルネスは、瞑想やリラクゼーションの方法と思われがちですが、そうではありません。短い言葉で表現するなら、『いま気づいている』という心のあり方です。武道、茶道、華道、禅などの世界でも、いまの状態をしっかりと認識することが大事だとされていますが、科学的な検証の結果、その気づきが人間の心と体をとてもいい状態にすることがわかっています。」

マインドフルネスの状態にある脳を調べると、感情のコントロールや自己認識力を司る脳の領域が変化し、注意力の向上が認められるそうです。このことが、世界のビジネスリーダーにマインドフルネスが支持される理由だと荻野氏は語ります。

「日本では、アンガーマネジメントについて語られる機会が少ないですが、パワーハラスメントをはじめ、リーダーこそ感情のコントロールが必要です。また、自己認識力という言葉は、『自分に対する気づきの力』とも言い換えられますが、自己認識力はリーダーにとって最も大切な能力。これらを習得するために、アメリカのトップ企業を率いるリーダーたちは、フィットネスジムに通うような感覚で、マインドフルネスを取り入れているのです。」

荻野氏自身も、ワーカホリックだった30代の頃にマインドフルネスに出会い、心も頭もクリアになったことに驚いたそう。意志決定やマネジメントにも、いい影響があることを直感したそうです。そして、このニューノーマルにおけるマインドフルネスの重要性について、次のように語ります。

「いま私たちが身を置いているのは、『VUCA』の世界です。VUCAとは、『Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)』の頭文字を取った言葉で、2010年頃のアメリカで生まれました。つまり変化が激しく、不確かで複雑、曖昧な世界だということ。そんな今だからこそ、マインドフルネスが必要だと考えます。」

新型コロナウイルスの影響で、不安や恐れに苛まれている人も少なくないかもしれません。しかし、心穏やかな日常を過ごし、豊かで幸せな人生を持続的に送るために、自分を整えることは大切なことです。変化が激しく、答えを導き出しにくい時代のビジネスリーダーにこそ、マインドフルネスを活用してほしいと荻野氏は続けます。

「ビジネスリーダーには、次の4つが求められると思います。目まぐるしく変わる状況を受けて迅速に行動する『アジリティ(俊敏性)』、その状況を的確に捉えて対応する『アジャスタビリティ(順応性)』、すぐに変わる状況にしなやかに対応する『Flexibility(柔軟性)』、落ち込みから立ち直る『Resilience(回復力)』です。これらを鍛えるためにも、過去の固定概念や思い込みにとらわれずに、目の前の事実を捉えて判断する力を養うことにつながるマインドフルネスは有効です。」

マインドフルネスを取り入れ、あるがままの状態を見つめる力を身につけることで、未来を切り拓くヒントが得られるはずだと荻野氏。また、リモートワークの導入により、切れ間なくオンラインのミーティングしている人にこそ、頭を切り替えるセルフマネジメントにつながるマインドフルネスを試してほしいと語りました。

「普段、スピード重視で仕事をしていると、本当に大切なことを忘れがちになるものです。しかし、そうした大切なことを思い出していくことは、豊かな人生を叶えるうえで大事なことです。」

最後に、荻野氏は次のようなメッセージを送ってくれました。

「インスピレーションは、我々の未来を切り拓いていくための支えです。そのインスピレーションを得るため、そして共感と思いやりに溢れた世界を作っていくためにも、ぜひマインドフルネスを習慣にしていただければと思います。」

世界のビジネスリーダーたちが実践していることで知られる機会が増えたマインドフルネスは、このニューノーマル時代を豊かで幸せに生きるためにも、ひとつの有効な方法だと言えそうです。オンライン番組では、「1分で実践できる、3呼吸のマインドフルネス」の方法を詳しく紹介していますので、ぜひチャレンジしてみてください。

Leading Through Change – いま、私たちができること。-」シリーズでは、ビジネスとリーダーシップのヒントになるさまざまな記事もご紹介しています。ちなみに、脳科学者、茂木健一郎氏が登場した動画シリーズの第1回はこちらでご確認いただけます。Salesforceのブログニュースレターにご登録いただければ、最新情報をいち早くお届けします。ご登録はこちら

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