Leading Through Change  - いま、私たちができること。- 

世界が大きな課題に直面するいま、Salesforceとして何ができるかを皆さまと一緒に考えていくというコンセプトのもと、さまざまなテーマでブログ記事やオンライン番組、オンラインセミナーを実施する企画「Leading Through Change いま、私たちができること。」。各分野のTrailblazer(先駆者)をゲストに迎えてお話を伺うオンライン番組に、元プロ陸上選手の為末大氏が登場。

Salesforceのエンプロイーサクセス シニアマネージャーの酒寄久美子が聞き役を務め、スプリント種目の世界大会で日本人初のメダルを獲得、現在はアジアのアスリートを育成・支援する一般社団法人の代表理事など、多岐にわたり活躍している為末氏に、アスリートとして限界に挑み続けてきた中で見つけた「自己成長の極意」、思い込みにとらわれず結果を出すための「マインドセットの変え方」について伺いました。この記事では、番組のレポートをハイライトでお届けします。

 

物事は変わりゆくもの。限界を突破するためのマインドセットとは?

新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、私たちの暮らしは日々変化しています。これまでの経験や先入観によって培われた思考様式、つまりマインドセットを変えることは、急激な環境変化を柔軟に受け入れる方法の1つだと言えるでしょう。一方で、“思考の癖”とも呼ばれるマインドセットは、意識してコントロールするのは極めて難しいものです。為末氏は次のように語ります。

「マインドセットには、大きく2つのタイプがあります。1つは『物事は変わらないんだ』、もう1つは『物事は常に同じではなく変わりゆくものだ』というもの。これらをベースに、私たちは物事を考えたり行動したりします。しかし、マインドセットは無意識に近く、思考の根底にあるものなので、変えるのは大変です。」

では、日々自分の限界に挑戦し、成長を続けるアスリートたちは、この課題にどう取り組んでいるのでしょうか。同氏は次のように続けます。

「たとえば試合の1ヶ月前に怪我をしたときに、『もう1ヶ月しかない』と瞬間的に思うか、『まだ1ヶ月ある』と思うか。ここにマインドセットが現れます。そのため、マインドセットを変えていくことは、アスリートが成長し続けていくためにとても大切です。コロナ禍を経て、未来を決めて逆算するのではなく、今日できることをつい重ねていって結果を狙うマインドセットに変えているアスリートが多くいます。」

またマインドセットは外からの影響で変わることが多く、今回のように世の中が大きく動いたシチュエーションにおいて変わりやすい、と前置きした上で、私たちが今を乗り越えるためのヒントを教えてくれました。

「コントロールできないものではなく、コントロールできることに目を向ける。つまり、他人や過去ではなく、自分や今に自分の意識を傾けることが大切です。」

 

コロナ禍のコミュニケーションは「寂しさマネジメント」が重要

新型コロナウイルスの影響で、オフラインからオンラインへの移行など、コミュニケーション方法も変化しています。メリットも多くある一方で、部下を持つリーダーからは、コミュニケーションの取り方に課題を感じていると言う声も聞かれるようになりました。為末氏は、この変化への対応について、自身の経験を振り返りながら次のように語ります。

「オンラインのコミュニケーションで、一番大事なのは明文化だと思います。オンラインでは、空気や雰囲気など言葉にできない部分を伝えることが難しいです。そのため、“ふわっとした言葉”ではなく、“綺麗に明文化する技術”が必要になってくると感じています。」

さらに、リモートワークには「寂しさマネジメント」が必要と語る為末氏。

「リモートワークでは、孤独感をうまくマネジメントしていく方法を考えなくてはいけないと感じました。『最も社会と断絶され、孤独な空間に置かれる職業はなんだろう』と考えたときに、潜水艦に搭乗する人ではないかと。そこで、潜水艦の乗組員の方に話を聞いてみたところ、いろいろな工夫をされていることがわかりました。彼らは外部に音を察知されるのを防ぐため、基本は無言で過ごすそうですが、『夢中になれる映画があるだけで空気が良くなる』とのこと。つまり、リモートワークが主流になったとき、うまくサボる時間を作ることも大切なのだと感じました。」

また、潜水艦の乗組員を選抜する方法について触れ、孤独に陥りやすいリモートワークにおいては、とりわけ率直なコミュニケーションが必要、と提言します。

「乗組員を目指す人に事前アンケートを取るそうですが、『今までの人生で嘘をついたことがありますか?』という質問して、『あります』と答えた人は向いていて、『ありません』と答えた人は向いてないと判断するそうです。なぜなら、『取り繕おうとしすぎる人は、潜水艦での孤独な生活に耐えられなくなるから』とのこと。あけっぴろげで、オープンな人の方が向いているそうです。同じように孤独感を感じやすいこのリモートワークにおいても、正直ベースのコミュニケーションが大切になってくるのではないでしょうか。」

 

停滞感から抜け出すためには「自分を揺さぶる」

さらに、コロナ禍で停滞感を感じたり、気持ちが落ちてしまったりしている人に向けて、為末氏は次のようにアドバイスしてくれました。

「社会から常に良い影響や悪い影響を受けながら、世の中と周囲の間で揺れているのが“自分”なのだと思います。そのため、『自分は強い』『自分は周りに影響されないんだ』と、あまり思い込みすぎないことが大切。『自分にはどうしようもないことがあるんだ』と思って、この環境とうまく付き合っていきましょう。」

ここでポイントになるのは、先述のマインドセットは自分の意識で変えようとするのではなく外からの影響で変わりやすいということ。コントロールできる範囲で、現在の環境を少し変えてみることで、マインドセットを変える方法があると説明します。

「自分を揺さぶる何かを環境に取り入れるといいと思います。一番いいのは、新しいことをはじめること。苦手なことにもチャレンジしてみると、少しずつ自分を変えるヒントを見つけられるんじゃないかなと思います。」

為末氏は最後に、ネクストノーマルの大きなキーワードについて、「いたずら心」と「内省」を挙げてくれました。

「アスリートは、研究や試行錯誤もしていますが、あまり気真面目にならずにいたずらっぽく『普段やらないことだからやってみよう』と始めてみることで、変化を見つけやすいんです。『自分は何をやりたかったんだっけ』と内省の期間を設けることも大切です。まずは自分なりに日々のルーティンを、いたずら心で変えてみるのも効果的です。」

これから先のネクストノーマルの到来に向けて、アスリートの視点を交えながら、マインドセットを変える方法を教えてくれた為末氏。私たちが抱えがちな困難を打ち破るヒントを、たくさん得ることができました。

当日のトーク内容について詳しく知りたい方は、ぜひ動画全編をご覧ください。

 

Leading Through Change - いま、私たちができること。-」シリーズでは、ビジネスとリーダーシップのヒントになるさまざまな記事もご紹介しています。ちなみに、脳科学者、茂木健一郎氏が登場した動画シリーズの第1回はこちら、マインドフルリーダーシップの第一人者荻野淳也氏が登場した第2回の模様はこちらご確認いただけます。Salesforceのブログニュースレターにご登録いただければ、最新情報をいち早くお届けします。ご登録はこちら