デジタル技術を活用して業務やビジネスを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)。

時代が刻々と変化する今、企業が避けては通れない取り組みではあるものの、「具体的にどう取り組めばいいのか分からない」「取り組まない場合のリスクを理解できていない」という企業が多いのも事実です。

今回は、DXの成功事例から学ぶべきポイントについて紹介します。市場の変化に対応し成長を続けるためにも、ぜひDXへの理解を深めましょう。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功させる目的とは

DXと言っても、そこには様々な目的があります。まずはその目的ごとにDXの必要性を考えていきましょう。

 

デジタル競争に勝つ

競合他社に先駆けたDXの実現は顧客満足度を向上させ、サービスを支持するユーザーの獲得につながります。またその変革によって従来にはなかった新しいビジネスモデルやエコシステムが創出され、収益を得る仕組みにも変化が生まれます。

従来のやり方に固執せず、市場の変化に合わせてシステムの追加や再構築に取り組むことは、急速に変化するデジタル競争に打ち勝つために不可欠な方法なのです。

 

技術的負債の削減

短期的な視点で制作したソフトウェアやシステムは長く運用することで保守費、改修費が都度発生し、経営を圧迫します。また、「レガシーシステム」と呼ばれるそうしたシステムは、老朽化や複雑化、ブラックボックス化を招き、企業の変革を妨ぎます。

近年では少子高齢化による労働人口の減少や、IT技術の急速な進歩により、多くの企業がIT技術を活用するようになりました。そのため、IT人材は不足し、レガシーシステムを把握・管理できる人材を確保し続けることも困難な状況になっていることが現状です。

レガシーシステムに運用費や保守費を支払い続けること、またそのシステムを保有し続けることは、企業において「負債」に他なりません。DXには、そうした「負債」を削減するメリットもあります。

 

データトラブルのリスク削減

古いシステムは、セキュリティ対策が万全に施されていないケースが多いです。通信環境の拡充やIoTの広まりによって、インターネットに常時接続することが当たり前となった現代においては、常にサイバー攻撃の危険にさらされている状態だと言えます。

また、改修を重ね複雑化したレガシーシステムは特定の担当者しか運用方法が分からなくなってしまうケースもあり、そうなると事故や災害が発生し担当者が不在となった際の運用やデータ管理において大きなリスクを負うことにもなります。

DXには、そうした危険から自社のデータを守り、ビジネスを安定して存続させるという目的もあるのです。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功率とは?

DXは企業に非常に高い効果を生み出すため、多くの企業が成功を目指して取り組みを進めています。しかし、その取り組みは必ずうまくいくものとは言えません。むしろ成功する確率が低いのが現状です。

ボストンを本拠とするコンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー」が世界中の企業1,000社を対象にして行った調査結果によると、DXに取り組んで自分たちが設定した期待値に到達した企業は、全体のわずか5%にとどまったとされています。さらに、DXに成功した企業はデジタル化が遅い企業と比べて2倍のペースで成長し、利益も同様に2倍の速さで伸びていることもわかりました。

DXは事業やシステムを根底から変えることになるため実現が難しい側面もありますが、成功すれば業界におけるリーディングカンパニーになることも夢ではない可能性を秘めているのです。

 

5つの成功事例を紹介

では、DXに成功した企業はどのように変革に取り組み、その成功を手にしたのでしょうか。その事例を5つ紹介します。

 

Uber

Uberは、DXの先駆的企業として注目を集めるアメリカ生まれの企業です。車で移動したい人と車を所有している人をマッチングする自動車配車サービスを世界70ヵ国で展開しており、アプリ上から配車のオーダーや決済を行うことができます。

日本にも本格参入し、タクシー会社などの既存事業者がそのサービスを取り入れたり、高齢化などの社会問題を解決する手段として自治体が活用したりする事例も出始めています。

 

大塚製薬

健康をサポートする医薬品や食品の製造・販売を手掛ける企業として高い知名度を誇る大塚製薬では、電機メーカーのNECと共同でloTを活用した「薬の飲み忘れ防止システム」を開発しました。

そのシステムは、処方薬を保管する容器に取り付けられたランプが服薬時間になると自動的に点灯し、飲み忘れを防ぐというものです。また、薬を取り出したことを検知して情報を容器のメモリーに保存し、そのデータをスマホやタブレットに服薬情報として送ることもできます。

これにより、薬を服用する本人だけでなく家族や薬剤師も服薬状況を確認することができ、服用の効果を最大限に高めることや飲み忘れによる病状の悪化を防ぐことが期待されています。

 

ZOZOTOWN

ZOZOTOWNは、「ZOZOSUIT」で得た100万以上にも及ぶ体型のデータを活用し、利用者の体型にマッチしたサイズの服を提案するDXを展開しています。試着ができないオンラインショッピングでも自分の身長と体重を設定するだけでサイズに悩むことなく服を選べるため、「実際着てみたら思ったより着丈が短かった」「モデル着用画像とイメージが違った」など、サイズによる買い物の失敗を防ぐ効果が期待できます。

 

WeWork

WeWorkは、働く人に向けてシェアオフィスやコワーキングスペースを低コストで提供するサービスを展開しています。あらゆる規模のビジネスに対応し、ビジネスに必要な高速インターネットや印刷機器、電話ブースなどの設備を備えています。

WeWorkには世界中の60万人を超える人々が会員登録しており、会員同士がつながる機会も提供しています。コミュニケーションから新しい価値が生まれるチャンスもあり、オープンイノベーションやエコシステムの観点からも注目を集めています。

 

ANA

ANA(全日空)は、経済産業省および東京証券取引所が選定する『DXグランプリ』に2年連続で選出された国内注目のDX企業です。ストレスフリーでスマートな空港の実現のため、保安検査場の待ち時間予測や顔認証モデルのほか、従業員の生産性向上を目指した業務の省力化にも積極的に取り組んでいます。

さらに、顧客の情報を統合した情報基盤を構築。デジタルサービスプラットフォームをWebや空港、コンタクトセンターなどと連携することで、さらなるユーザーエクスペリエンスの向上を図っています。

 

まとめ

DXの実現には、IT技術を駆使して新たなビジネスを開拓していく視点が重要です。しかし、既存のビジネススタイルや固着化した業務体制を打ち破ることには大きな労力を必要とするため、簡単には成功できない取り組みでもあります。

一方、DXを成功させることで得られるメリットやリスク削減の効果は大きく、今後のビジネス展開には間違いなく欠かせないものです。今までの事業から得たノウハウも上手に活用しながら、未来のユーザーに新たな価値を届けるDXをぜひ実現させましょう。

 

参考文献:brain history survey 2017;degital 360 barometer survey 2017