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アフターデジタルから学ぶ ウィズコロナ時代のDXとは

アフターデジタルから学ぶ ウィズコロナ時代のDXとは

私たちのワークスタイルは、2020年に大きく変わりました。テレワークが日常になり、同僚や顧客とのコミュニケーションにおけるオンライン比率は大きく高まりました。図らずもコロナの副産物として、DXが進展したのです。そして、コロナは長期化の兆しを見せています。可能な限り人との接触を控えて、コロナに打ち克たなければならないとなれば、デジタルを利用し尽くして業務効率を高めていくことは不可欠です。ビービッドの宮坂祐氏の意見を参考に、ウィズコロナ時代のDXについて考えてみましょう。

日本国内におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、海外に比べると遅れていると言われていました。2020年は、それが一気に進んだとはいえ、まだ海外に比べると遅れはあるように感じます。ただ、私たちのワークスタイルが今後デジタルを軸に急速に変化していくことは確実でしょう。

多くの人は、デジタルを使った社内プロセスの改革に注目しているかもしれません。しかし、本当に考えなければならないのは、顧客自身が急速に変化していることです。

デジタルがリアルを包含する世界 -アフターデジタル-

顧客の変化は、大きく3つのポイントとして示すことができます。まずは、圧倒的に多くの人が「デジタル慣れ」したことです。オフィスワーカーはテレワークを使いこなすようになり、一般消費者は日々の生活の中でデジタルを使いこなしています。B2B企業も、B2C企業も、顧客にとってデジタルを使うことが当たり前になったことを意識しなければならないでしょう。たとえば紙の書類への記入を面倒に感じる顧客は明らかに増えています。デジタル化できることをせず、旧来のやり方を続けていれば顧客の満足度を損なうリスクがあるのです。

次に、リアルに対する渇望感が高まったことです。家に居ながらにして享受できる便利なサービスが、大量に提供されるようになりました。それでも、多くの人は、友人に会いたいですし、飲みにも行きたい。映画館やライブ会場にも足を運びたいのです。人に会うことをリスクととらえるようになった世の中で、私たちがそうした根強い欲求を持っていることが明確になりました。

3つ目は、「三密」への警戒です。リアルな場に人が集まっているだけでも「何となく怖い」という心理が働いてしまいます。「都市に人を密集させないで、より開放された自然空間で暮らす」ことを指す「開疎化」というコンセプトにも注目が集まりました。

いかがでしょう。これら3つのポイントは、矛盾しているようにも見えます。デジタルに慣れてもリアルを求め、人に会いたくても三密は警戒します。私たちは、相反する感情を抱えながら、矛盾の中で日々揺れ動いている状態にあると言えるかもしれません。

ビービットは、アフターデジタルという社会観を提唱しています。これは、ビジネスにおいても、プライベートにおいても、私たちの体験のあらゆるタッチポイントがデジタルに包み込まれている状態になる、というものです。そして、リアルとデジタルを組み合わせるアフターデジタル的な手法を使えば、これらの矛盾を解決し、新しい顧客との付き合い方を実現できると考えています。

OMOの実現で、バリュージャーニー型の顧客対応を

そのためには、具体的に何をすれば良いのでしょう。まずは、アフターデジタル的な手法で何を実現するのかについて、指針を明らかにすることを考えてみましょう。

前提として、すべての生活者を取り巻く環境がアフターデジタルの世界に変わり、企業が生き残るためにそれに合わせて変化することが必須になったと認識してください。その上で、既存のやり方をどう変えていくかについて検討します。デジタルにリアルが包み込まれるようになると、販売偏重型のアプローチは通用しなくなります。コミュニケーションスタイルは、顧客との関係構築を重視するバリュージャーニー型へ変わるため、オペレーションだけでなくビジネス自体のDXが不可欠になります。

ビジネスのDXは、あらゆる面に影響します。たとえば、バリュージャーニー型になるという視点において、リアルからもデジタルからも集まってくる顧客データの活用方は大きく変わります。顧客データの活用は、継続的な顧客体験の向上に役立てるという発想になってきます。私たちは、コロナ以後の社会環境で一層切実に求められる、テックタッチ・ハイタッチを融合したOMO型のサービスを目指さなければならないのです。

ウィズコロナ時代のDXの指針として

大きな指針は、顧客を中心に吸えたOMO型のサービスの実現と置くことができました。顧客と向き合い、顧客に寄り添い、継続的に良い体験を提供することで、優れたバリュージャーニーを共に歩んでいくのです。DXによってそれを実現するために、具体的な施策として以下に4つのポイントを挙げます。

・UXを起点とした事業計画と実行

多くの企業は、ビジネスプロセスを製品やサービスを中心のバリューチェーン型で組み立てています。顧客体験中心のバリュージャーニー型に重点を移すことになります。もちろん、バリューチェーンも大切です。製品やサービスを提供するわけですから、それを疎かにするべきではありません。ただ、アプリを介したデジタルの接点や、営業担当者が担う電話の接点、イベント招待といったリアルの接点など、さまざまなタッチポイントからの体験を連ねて顧客に寄り添い、信頼を獲得していくことに、より注力していくことになります。

・状況にフォーカスしたコミュニケーション

顧客に寄り添う際のポイントとして、特定のシチュエーションに着目する「状況ターゲティング」は有効な手法になります。現在、多くの企業は、「属性ターゲティング」に取り組んでいます。これは、性別、居住地、年収などでフィルタリングし、複数のコミュニケーションスタイルを使い分けるアプローチです。確かに一定の成果は得られるのですが、人が「いま、まさに、何をしているのか」に着目したターゲティングが可能になりつつあります。デジタルのタッチポイントを適切に配置することで、顧客の状況を把握できるようになります。それを最大限に生かしたコミュニケーションにより、顧客属性でなく、顧客の個人としての人となりや状況が見えてきます。それをコミュニケーションに活用することは有益な手段になるでしょう。

・OMO(リアルとデジタルの融合)の実現

すでに多くの企業は、顧客とのリアルなタッチポイントとデジタルのタッチポイントをどちらも用意しているでしょう。OMOの実現に向けて、それらから得られるデータを統合すればよいのではないかと発想してしまうかもしれませんが、それで得られる効果は限定的です。顧客情報を一元的に管理する、もしくは複数システムで管理していても透過的なアクセス手段を用意する、というシステムの改善に加え、人によるコミュニケーションのやり方を見直すことが必要になるのです。デジタルは、大量の顧客と低コストにコミュニケーションできるツールですが、顧客が人とのリアルなやり取りを求めるシーンもあります。それはどのようなときで、その際にどのようなコミュニケーションが求められるのか、と考えを巡らせながら、人とデジタルをうまく組み合わせて長期的に顧客体験を高いレベルで維持する施策が求められることになります。

・行動データに基づきUXの改善を繰り返すプロセス

主にB2C企業において、OMO型のサービスをより良いものにするために大切なのは、「顧客がどれだけ長く自分たちのタッチポイントに居てくれるか」ということです。顧客に可処分時間をより多く割いてもらうことで、より顧客の姿が鮮明になってきます。膨大な情報を集めていても、その情報が古ければ先に挙げた状況ターゲティングはできません。顧客に関心を持ち続けてもらうために、UX改善プロセスを回し続けなければならないのです。

顧客に可処分時間を割いてもらうために

「顧客に寄り添う」と言葉に出すことは簡単ですが、実際にやるのは難しいものです。ピント外れの提案に意味がないのはもちろん、たとえ顧客が関心を持っていた内容だとしても、状況を考えずにアプローチしてしまうと、対応をするのが面倒だと感じられてしまいます。

ただ、ネガティブな側面を気にして前に進まなければ、ライバルに出し抜かれてしまうでしょう。顧客の可処分時間は、奪い合いです。まずは、顧客とのタッチポイントでどのような情報を得て、どうアクションするかについて考えることから始めてみるのもいいかもしれません。顧客とのタッチポイントは、デジタル・リアル双方で発生しています。それらの接点を包括透過的に管理し、アクションに繋げることを目指す上では、お客様を360°で理解するプラットフォームの存在が重要になるでしょう。

さらに詳しい情報については、こちらからご確認ください。

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