IT技術が飛躍的な発展を遂げた現代。最新のテクノロジーを活用し、ビジネス展開できるかが事業の拡大を左右します。しかし中小企業では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の考え方が浸透せず、思うように進んでいないのが現実です。

テレワークの広まりなどもあり、いまこそDX推進を強化したいと考える中小企業は多いでしょう。そこで本記事は、中小企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためのポイントやDXと業務効率化の違いなどを解説します。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)の目的

IT技術の発展により、各企業は最新テクノロジーを駆使した新たなビジネスモデル創出を競っています。いつまでも古いシステムを利用し続けることや、デジタル化が十分に進んでいない企業は、市場競争から取り残されるリスクを負っています。

DXの目的は、デジタルシフトのほかに独自性の高い新たなビジネスモデル創出と、その環境を整えることです。

 

中小企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むべき理由

資金力の高い大手企業はDX推進に有利なように思えますが、実は変革に積極的な中小企業ほど、DXで組織改革を実現するチャンスが多いと考えられます。

 

大手企業の半数がチャレンジに消極的

IPAの調査によると、会社が変化や挑戦を好む風土か?という質問に「よく当てはまる」「ある程度当てはまる」を選んだ企業は全体の40.2%と半数を下回りました。大手企業であっても、半数以上の企業がチャレンジに消極的であることがわかっています。

 

DXの成果と社風の関係

一方でDXで生産性向上に「成果あり」と答えた組織の多くが、変革や挑戦を好む実力主義の企業であることもわかりました。風通しがよく、社員が積極的な企業はどんどん生産性が向上していくことでしょう。

大手企業はトップの意思が浸透するまでに時間がかかりますが、中小企業は、落とし込みが比較的スピーディーな傾向にあります。つまり変革に積極的な中小企業ほど、DXで組織改革を実現するチャンスが多いと考えられます。事業規模の大小に関係なく、独自性を発揮していくためにも、中小企業は積極的にDXを推進すべきなのです。

参考

>>「デジタルトランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)と業務効率化の違い

 

DXは「業務効率化」と混同されますが、実際には別の概念を持ちます。具体的に、どのように違うのでしょうか。

 

デジタル化と業務効率化の違い

業務効率化はあくまでもDXを実現するための「手段」であり、DXそのものではありません。紙媒体で保管していたデータをPDFなどのデジタル化、Webフォームによる顧客情報収集、MAツールでのマーケティング業務自動化などは業務効率化に分類されるでしょう。

 

ゴールはビジネスモデルの創出

DXのゴールは、業務効率化ではありません。デジタル化推進による顧客課題の解決が目的です。自社と顧客の双方にとって利益を生み出す新たなビジネスモデルの構築こそが、その着地点です。新規製品・サービスの創出による新たな可能性を見つけましょう。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)実行プロセスと推進のポイント

では、DXはどのように推進すべきでしょうか。推進事例から、ヒントを探ってみましょう。

 

デジタルトランスフォーメーションの推進事例

デジタルトランスフォーメーション推進の実行プロセスは「着手プロセス → 試行プロセス → 実装プロセス」の3段階に分かれます。

 

・着手プロセス

これからDX推進に着手する段階です。メンバー集め、専任者選定、DX推進専門を設置します。DX推進は、部署をまたいだ改革が必要となるため、中立的な立場で部署間を往来できる人物を選定しましょう。

 

・試行プロセス

DX推進を進行中で、部分的に成果が上がっている段階です。各メンバーのスキルが成熟しはじめ、各事業部門との連携もスムーズになっていきます。社内だけでなく、連携する関連企業や外部企業も順調に増加し、ビジネスモデルは複雑性をともない発展していく段階です。試行錯誤を繰り返しながら部分的な成果を上げて経験値を蓄積し、徐々に実装プロセスに移行します。

 

・実装プロセス

DXが軌道にのり十分成果を得ている、ノウハウ蓄積ができている段階です。内部組織で事業部門のデジタル化が進み、外部企業との連携が実を結んでシステムの効率化が実現します。メンバーのスキルも十分にアップし、新たなメンバーにノウハウを伝えられるようになるでしょう。実装プロセスに至った事業は成功事例として本格化させ、また新たな着手プロセスへのサイクルを動かすことで、継続的な改革へとつながっていきます。

参考

>>「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の 機能と役割のあり方に関する調査

 

既存部署を活用した成功事例

DX推進部署の設置が望ましい理由に、複数の専門性を持った人材が必要であることも挙げられます。一方で、既存の組織体制を活用しDX推進を成功させた事例もあります。

株式会社セゾン情報システムズでは、既存の情報システム部が新規事業取り組みのリソースを確保するため、構造改革の一環としてDXを推進し、オンプレミスからクラウドへの移行やデータ連携を容易にするERPの導入などをおこないました。この改革により、これまで4%しか新規取り組みに回せていなかったリソースを70%超にまで引き上げることに成功しています。

参考

>>「デジタル・トランスフォーメーション(DX)で再生した企業情報システム部門の事例研究

 

まとめ

古いシステムや体制に縛られ、市場での優位性を失わないためにも、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進による業務効率化、顧客の課題解決は重要です。特にトップの意思が隅々まで行き届きやすい中小企業は、DX推進が円滑です。競合他社に先駆けたビジネスを展開できる可能性があります。

3つのプロセスでデジタルシフトを図り、新たなビジネスを創出するDXに挑戦してみましょう。組織全体を巻き込み、中長期的な視点のもとで試行錯誤を繰り返せば、その成果を実感できるはずです。