各地の公衆衛生当局や医療機関は、パンデミック中に導入したヘルスケアテクノロジーを業務プロセスやワークフローの効率化に活用

 

米国のワクチン接種のペースが上がらない(英語)ことから、バイデン政権は、大規模会場での接種から小規模施設での接種へと方針を転換(英語)しました。もっとも、無料の宝くじ(英語)や、スポーツイベントの無料チケットクーポン(英語)といったインセンティブの提供、さらにはFDAが米ファイザーと独ビオンテックによる共同開発ワクチンの緊急使用の許可範囲を12~15歳まで拡大(英語)したことで、可能な限り多くの人にワクチンを接種するための取り組みは着実に前進しています。

対策の進み具合は世界の国や地域、都市ごとに異なりますが、導入されたヘルスケアテクノロジーは決して無駄にはなりません。ここでは、パンデミックに関係したテクノロジー投資を活用して、短期的にも長期的にも成功できる組織を作り上げるための5つの方法をご紹介します。

 

活動再開に向けて取り組みを連携

パンデミックが始まって以来、企業は営業の休止や縮小を余儀なくされてきましたが、今では多くの都市や企業が制限を緩和しつつあります。シカゴ(英語)ニューヨーク市(英語)のように、活動再開の日程を告知しているところもあります。公衆衛生当局やそれに準ずる民間団体は、人々の安全を守るために、活動再開と公衆衛生のバランスをとりつつ、ワクチン接種状況やPCR検査の陰性結果といった個人の健康情報のプライバシーを守ろうとしています。

ワクチンパスポートや健康証明書の発行については盛んな議論(英語)がされていますが、すでに米国内の多くの組織や公衆衛生当局が、安全な活動再開をサポートする取り組みの一環として、導入を始めています。たとえばニューヨーク市が開発したExcelsior Pass(英語)は、既存のシステムと連携し、個人のワクチン接種証明や陰性証明を可能にします。英国では、国民保健サービス(NHS)のアプリがまもなくワクチンパスポートとしても使える(英語)ようになります。Salesforceも、デジタル健康証明書を導入する場合の倫理的配慮(英語)について意見を述べています。こうした証明書が公的機関や民間団体の活動再開に必要な要素として組み込まれるかどうかは不明ですが、Vaccine Cloud(英語)などのプラットフォームを利用したワクチン管理プログラムを実践している組織は、「ネクストノーマル」での人々の生活を支援するテクノロジーをすでに手にしています。
 

 

 

 

ヘルスケアテクノロジーで継続的な接触者追跡を実現

接触者追跡は、公衆衛生の分野で長年実践されてきた最重要の防疫対策です(英語)。ただ、世界各地で新型コロナウイルスが急速に広がり始めると、多くの公衆衛生当局は、それまでの紙とペンを使った接触者追跡から、多大な労力を軽減してくれるテクノロジープラットフォームへといち早く移行しました。このプラットフォームがあれば、今後もし、インフルエンザ、はしか、エボラ、梅毒など、新型コロナウイルス以外の感染症が流行した場合でも、比較的少ない労力で感染爆発を抑制し、感染拡大に関する情報を広く周知し、大規模なワクチン接種の取り組みをすばやく実施できます。

 

コンタクトセンター業務を改善してエクスペリエンスを向上

サービスエージェントの業務エクスペリエンスを改善すれば、サービス利用者全体のエクスペリエンスをより良いものにできます。これまでのコンタクトセンターは、平均処理時間や問題解決にかかる時間を重視していたため、サービス利用者にパーソナライズされたエクスペリエンスを提供することは困難でした。時間を中心とする指標は、品質の軽視やエージェントの過重労働をもたらし、さらには業務効率や業務満足度の低下、離職率の上昇を招いていました。

 

 

"ヘルスケアテクノロジーは、パーソナライズされたやり取りや、医療サービスへの効率的なアクセスを可能にし、エージェントの業務環境を改善します。"

 

ワクチン管理を支援するヘルスケアテクノロジープラットフォームの強力な機能を活用すれば、サービス品質を高めつつ成功度を測る新たな指標を設定できます。コンタクトセンター向けのデジタルエンゲージメント機能を利用すれば、サービスエージェントは優れた患者エクスペリエンスを大規模に提供できます。こうしたツールは、パーソナライズされたやり取りや、医療サービスへの効率的なアクセスを可能にし、エージェントの業務環境を改善します。それによって、サービス利用者との関係をさらに良いものにすることができます。このサイクルは、お互いの信頼関係を構築し、患者エンゲージメントや健康状態を向上させることにつながります。

 

ヘルスケアテクノロジーで医療サービスを連携

ワクチン管理を成功させるには、データ、プロセス、人材を効率的に連携させる必要があります。ワクチン管理プログラムの立ち上げにおいては、電子健康記録(EHR)、サプライチェーン管理システム、ワクチン接種情報システムにばらばらに格納されている重要データを連携させるために、ヘルスケアテクノロジープラットフォームとAPIが重要な役割を果たしました。

 

 

"スムーズな連携によって、チームメンバーは医療サービスの提供や新しい革新的なソリューションの開発に時間をかけられるようになります。"

 

今後は、こうしたシステム連携により、無駄な重複を減らし、行動、社会、医療などさまざまな分野の患者ケアチームをシームレスにつなげ、従業員のワークフローの改善や、患者やカスタマーのエクスペリエンスを向上できます。組織内外のさまざまなシステムが連携されれば、チームメンバーはリアルタイムのデータを利用しやすくなります。スムーズな連携によって、事務作業や、部門間またはシステム間での情報の突き合わせに費やす時間が減少し、医療サービスの提供や新しい革新的なソリューションの開発に時間をかけられるようになります。

 

 

次の緊急事態への迅速な対応をサポート

今のパンデミックが終息しても、次の危機に備える必要があります。デューク大学のMargolis Center for Health Policyは、新型コロナウイルスの封じ込めだけでなく、次の公衆衛生上の危機を予測し、準備することを目的とした予防対策インフラストラクチャの導入を推奨(英語)しています。次のパンデミックに備えるには、データ共有やサプライチェーン補強の面で、官民の連携強化が不可欠です。データをプラットフォームとして使えば、感染病発生の兆候をほぼリアルタイムでモニタリングでき、従来の公衆衛生管理の手法を使うよりも格段に早く、感染病の感染爆発を検知できます。コミュニティ内で発生したクラスターを早期に特定すれば、公衆衛生当局がすばやく対処して、罹患率や死亡率を下げられます。さらに、医療業界のデータを活用し、人工知能(AI)を使ってアクションにつなげることができれば、パンデミック化のおそれがあるイレギュラーな患者症状を検知し、感染拡大が顕在化する数週間前から、自動で医療機関に警告を出し、市民への指針提供と治療体制の確保を呼びかけることができます。

 

 

"パンデミックにより、地域社会にできることと、科学や医療に従事する人々の大きな力が浮き彫りになりました。"

 

今こそ、公衆衛生当局や医療機関のサービス支援に必要なテクノロジーを見直すべきです。包括的なソリューションの迅速な設定と提供を可能にするクラウドプラットフォームを導入することは、もはや選択肢の1つではなく、必要不可欠な取り組みです。米国内の公衆衛生当局や医療機関はこの1年間、単一のプラットフォームを基盤とする緊急対応、接触者追跡、ワクチン管理ソリューションを活用して、できる限り最善のことを実践してきました。

パンデミックにより、地域社会にできることと、科学や医療に従事する人々の大きな力が浮き彫りになりました。今回学んだのは、人々の安全な仕事を助ける適切なヘルスケアテクノロジーのインフラストラクチャとリソースを配備することの重要性です。パンデミックの渦中でもそうでなくても、日々の業務をサポートし、パーソナライズされた医療サービスやエクスペリエンスを効果的に提供するフレームワークを活用することが重要です。この教訓は、今後に活かすことができます。
 

 

 

 

 


 


 

Sean Kennedy(MS、PMP、MPH)は、Salesforceの医療およびライフサイエンス(HLS)業界向けソリューションとアーキテクチャを担当するシニアディレクターです。HLSソリューションのアーキテクチャ、連携、コンプライアンス、セキュリティの取り組みを指揮するほか、製品開発と市場展開戦略についてのアドバイスを行い、拡張性と安全性に優れるソリューションの構築を支援しています。。

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