
「DX推進のために着手すべきこととは?」「ニューノーマルは定着するの?」
コロナによる急激な変化に整理が追いつかない方も多いのではないでしょうか。しかしこれからは、ニューノーマルな新時代に柔軟に対応できる企業だけが生き残るといわれています。いまこそ理解を深める必要があるでしょう。本記事は、コロナ以前から「ニューノーマルな取り組み」を牽引するSalesforceがニューノーマルとDXについて解説します。
ニューノーマル(New Normal)とは「新しい常態・日常」を意味する言葉です。コロナ禍で社会情勢が変化したように、「新しく生まれた常識」を指して使われます。
「ニューノーマル」という言葉自体はコロナ禍以前から存在していました。過去のニューノーマルの代表的なものは2つ。
いずれも私たちの生活を一変させる大きな転換点となりました。
コロナ禍のビジネスにおいては「テレワークの推進」、日常生活においては「マスクの着用・手洗い消毒」を指し、ニューノーマルと呼ばれるようです。
インターネットやリーマンショックに見られるように、当時は定着するのか不明であった技術や概念も、いまでは私たちの生活の一部として受け入れられています。
テレワークに代表される今回のニューノーマルや、その実現と密接に関係するDXも、すでに当たり前のものとして定着しつつあります。
IMF(国際通貨基金)が発表した最新の「世界経済見通し 2021年4月」では
*新型コロナ危機のショックが労働市場に残した悪影響が持続しており、若年層や低技能労働者が特に大きな打撃を受けている。機械が自動化しやすい雇用からの移行を志向していた既存の雇用トレンドが加速している。
とあります。
これまでDXに挑戦しなかった企業、失敗してきた企業も、今再び挑戦しておかなければ、迫りくるアフターコロナの世界で取り残されてしまうかもしれません。
ニューノーマルな働き方を実現するために必須なテレワーク。導入が進む一方、課題が山積しています。とくに重要な課題は「セキュリティ」「コミュニケーション」の2つ。以下に対策方法をまとめました。
脆弱な環境を狙った不正アクセスのリスクは避けられません。自宅作業の気の緩みなど人為的なミスによる情報流出の恐れも高まるほか、外部攻撃にも気を配る必要があります。
アクセス監視用のセキュリティツールを導入は有効です。外部・内部問わず怪しい行動をチェックし、異常事態の早期発見につながります。近年のセキュリティツールは、機能が多様化しています。導入時は機能を盛り込みすぎず、ミニマムではじめることがポイントです。
従業員へ付与されている権限の範囲は最適ですか?必要以上の権限付与は危険です。従業員のアカウントと権限をリスト化し、きちんと管理表を作成しましょう。また管理表の管理はドライブなど誰でも簡単にアクセスできる環境ではなく、しっかりセキュリティが担保された環境でおこないましょう。
社員研修やマニュアル共有など、従業員の情報保護に関するリテラシーを高めることも大切です。
この2つの方向から対策をしていきましょう。
非対面ならではの難しさも課題です。テレワークは対面よりも細かなニュアンスが伝わりにくく、意思疎通のミスが起きやすい業務形態です。適切なコミュニケーションが取れないことで離職につながる恐れもあります。迅速に対策をしましょう。
こまめなミーティングの開催などコミュニケーションを取りやすい環境を整備しましょう。コミュニケーション不足は「作業に滞りがあっても相談できない」「ミスを報告できない」などの悪循環を生みます。一見無駄に見える雑談も実は重要なのです。オンライン面談などを定期的に開催し、コミュニケーションの活性化をしていきましょう。
Slackやチャットワークなどのコミュニケーションツールを導入しましょう。テレワーク中でも、従来どおりメールがコミュニケーションツールという企業も少なくありません。顔が見える環境においてメールは有効ですが、オフィスワークとテレワークの環境は別です。時代や環境に合わせたコミュニケーションの方法を検討してみましょう。
急速にテレワークを導入した企業において、一次的に作業効率や業績が悪化することは避けられません。そこで注目されるのが、RPAの導入です。RPAは主に人間がおこなっていた単純作業を代行・自動化する仕組みです。RPA導入のポイントをまとめました。
RPAは、導入するだけで業務が自動化される魔法のツールのように思われています。しかし実際にはどれだけ入念に導入準備をするかが重要です。導入前の課題整理をしっかりおこなわず何となく導入してしまった企業は、ほとんどが失敗に終わっています。
このような明確な事項を洗い出しておかなければ、期待した成果をあげることは困難です。またスタート時にあれこれ詰め込みすぎることも失敗の典型例です。部署を限定し、ミニマムスタートからはじめましょう。
基本的には、RPA導入に高度な技術は不要です。しかし扱う人間のITリテラシーは、ある程度担保しておきましょう。RPAは完璧ではありません。トラブル発生時になるべく対処できる体制を構築しておくことが大切です。RPA導入の責任者を明確に定め、知識の習得に努める必要があります。
RPA導入時は、RPAのみに専念できるリソースを確保しましょう。担当者に複数の業務を担わせてしまっては、RPA活用までに多大な時間がかかってしまうでしょう。安定してRPAを運用できるようになるまで、担当者がRPAとしっかり向き合えるだけのリソースを確保しましょう。
最後にニューノーマル時代に対応したビジネスモデルの事例を紹介します。
企業のDXを推進する支援ツールが増えています。株式会社ヤプリは、紙のカタログや社内報などのアナログ媒体を簡単にデジタル化(アプリ化)できるプラットフォーム「Yappli for Company」を提供しています。DX人材の採用や育成が追いつかない企業が多いなか、「知識がなくても導入してみたい」というニーズを満たすサービスです。
三井住友カードは潜在顧客の動向を分析できるマーケティング支援ツール「Custella」を提供しています。同社が保有する莫大なキャッシュレス決済のデータから、消費者の動向や市場の情勢を分析できるツールです。このようなビッグデータを利用したビジネスモデルもまた、今後勢いを増していくと予想されます。
製造業では、機器・装置納入後の「アフターフォロービジネス」のあり方が変わりつつあります。従来は故障の連絡を受けた際、いかに素早く対応するかが重要でしたが日立の「LUMADA」は、故障の予兆を発見し故障の発生率自体を下げるサービスです。IoTやAIの発展により可能となった新たなビジネスモデルとして注目されています。
ニューノーマルの定着が予想される今、速やかなDXの実現は企業にとって喫緊の課題です。すでにニューノーマルやDXを活かした新たなビジネスモデルも登場しており、将来的にはDXへの対応を進めていない企業のみが取り残されかねない情勢となりつつあります。
対策や導入が進んでいない企業であれば、まずはニューノーマル時代のDXの基本となる「テレワーク」と「RPA」の導入について検討を進めてみてはいかがでしょうか。