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デジタルトランスフォーメーション(DX)で物流は大きく変化する?

デジタルトランスフォーメーション(DX)で物流は大きく変化する?

EC需要の拡大による業務負荷の拡大や物流現場の人材不足など物流業界は変革に迫られています。本記事は物流の変革にデジタルトランスフォーメーション(DX)がどのように貢献できるのかを探っていきます。

EC需要の拡大による業務負荷の拡大や物流現場の人材不足など物流業界は変革に迫られています。また東日本大震災や近年各地で頻発する豪雨災害、新型コロナウイルスの流行などにおいては企業のサプライチェーンが寸断される事態に見舞われました。事業継続の観点から、復旧力・柔軟性のある物流が求められています。

本記事は物流の変革にデジタルトランスフォーメーション(DX)がどのように貢献できるのかを探っていきます。

物流×デジタルトランスフォーメーション(DX)の鍵はサプライウェブ

大前提に理解しておきたいのがDXとデジタル化の違いです。「DX」「デジタル化」よく目にする2つのワードは混在されがちなデジタル関連ワードです。デジタル化はDXを実現させるための手段のひとつです。まずは情報を整理しておきましょう。

DXについて詳しくはこちらで解説しています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現させるポイントを解説
アフターデジタルから学ぶ ウィズコロナ時代のDXとは

サプライチェーンからサプライウェブへ

物流の仕入れから納品までを指す一連のサプライチェーン。多くの場合、自社のみで完結せず複数の企業で構成されます。

サプライチェーンを構成する企業が固定的な場合、どこか1社でも業務が遂行できない状況になるとサプライチェーン全体が機能不全に陥る恐れがあります。そこで注目されている物流の形が「サプライウェブ」です。

サプライウェブとは、ウェブ上に連携する物流共同体で動的に調達先や納品先を変更できるのが特徴です。何らかの原因で物流がストップしても代わりの企業を容易に見つけることができるため、物流が止まることがありません。物流の動的な柔軟性が実現できれば、事業の継続性も高めることができます。

サプライウェブを実現するには、物流共同体を構成する企業間で物流に関わる情報を常時共有しておく必要があります。ここにDXが求められるのです。

物流業界の現状

物流DXを検討する前に、把握しておくべき課題を見てみましょう。

宅配便件数 30%を超える増加

コロナによる巣ごもり需要やEC市場の拡大で、宅配便の取扱件数は過去10年間で30%以上増加しています。またメルカリ・ラクマなどの大手フリマ市場の拡大に比例し小口輸送も急増しています。この増加はポストコロナにおいても継続すると考えられ、宅配需要は今後も拡大傾向が見込まれています。

慢性的な人手不足

物流業界における宅配ドライバー不足は、少子高齢化による労働力人口の減少に加えて長時間労働や低賃金といった労働環境に対するネガティブなイメージが影響しています。再配達による手間が大きいことも要因の一つでしょう。こうした背景からドライバーの高齢化が進んでいる現状です。

人手不足は配送ドライバーだけではなく倉庫スタッフにおいても深刻です。夜勤や積荷の仕分けなどにおける身体的負担の大きさから短期で離職するケースが多いためです。

積載効率の低下とノウハウの属人化

急増する自動車の小口配送では、荷姿の多様化によって作業効率が大きく低下しています。現在トラックの積載効率は40%まで低下し作業量が増えても売り上げが増えにくい要因となっています。またこれまで日本の物流業界は、現場での柔軟な対応力を強みとしてきました。現場における臨機応変な対応は属人性が高く、裏を返せば情報やノウハウの可視化や共有がされにくい原因にもなっているのです。

物流にデジタルトランスフォーメーション(DX)を導入するメリット

サプライチェーンやサプライウェブを活かすためには従来の属人性の高い体制から脱却する必要があります。また物流現場ごとに仕事の進め方が異なる点も改善すべきでしょう。DXは最新技術を用いた自動化による効率化と業務の標準化を期待できます。ここではDXによるメリットをまとめました。

効率的な商品管理

DXでサプライチェーン全体の標準ルールが適用されれば、状況把握がしやすくなります。トレーサビリティと適正な需要予測、在庫管理が可能なため効率的な商品管理を実現できるでしょう。

倉庫管理のシステムの効率化

倉庫管理は入荷・入庫・出庫・出荷の一連の流れを効率的におこなうことが求められます。バーコードやアパレル商品などに多く導入されている電子タグ「RFID」などを活用することで、商品の識別や仕分けの自動化が可能です。倉庫内作業の効率化と正確性の向上が期待できるでしょう。さらに倉庫内のデータを可視化することで、配置管理や在庫管理の精度を高めることができます。

配達効率の向上

これまで属人的に効率化されてきた輸送経路の選択や配車の領域でも自動化の取り組みが始まっています。

配送会社を巻き込んだ配送効率の例として、ネット印刷大手のラクスルが運営する「ハコベルカーゴ」は、荷主と配送業者のマッチングサービスで注目です。

複数企業の商品を1台のトラックに混載する「共同配送」にも注目が集まります。

企業間で同じ物流システムをシェアし、倉庫間の情報伝達が標準化される大きなメリットがあります。トラック輸送時の積載効率を向上させることでCO2排出量の削減にもつながります。

現場負担の削減

商品やトラックなどモノの動きや配置を効率化することは、人手不足で悩む現場負担を低減することに直結します。また物流のバックオフィス、配送依頼受付や人材配置、勤怠管理など手作業が多く残っていた領域でもRPAによる自動化やクラウドサービスの導入が現場で働く人の負担軽減に貢献します。

サプライチェーン全体での情報共有

ここまで挙げたメリットは一企業内のデジタル化やサプライチェーンマネジメントによって得られます。こうした取り組みを部分最適で終わらせず、部門や企業の枠を超えたDXへと続く継続した取り組みとすることで、事業変革は初めて可能になるといえるでしょう。自動化と標準化によって情報共有の仕掛けが整備されれば、サプライウェブ化も視野に入れたより柔軟な物流共同体の未来へと進むことができるのです。

物流のデジタルトランスフォーメーションを実現するツールを紹介

株式会社あらたが提供するACC (Arata Community Cloud) は、販売店との高度な情報共有を実現するためのクラウドプラットフォームです。

あらたグループは日用品・化粧品・ペット用品分野で日本最大級の規模を誇る卸商社であり、サプライチェーンの中間に位置する組織として取引先メーカーや販売店との情報共有でリーダーシップを発揮してきました。

あらたのビジョンは「モノをつなぐ、コトをつなぐ、ココロをつなぐ」。その実現のためには定量データだけでなく数値にならない定性データも一元的に共有する必要があり、そのための情報共有プラットフォームとしてACC (Arata Community Cloud) を導入しました。

ACCではデータ加工や分析、一元管理を実現するSalesforce Commuity Cloud(現Experience Cloud)をベースに機能をカスタマイズ。分析機能にはEinstein Analyticsを採用し、取引先メーカーとの間の独自の情報共有プラットフォームを構築しました。またクラウド型社内情報共有SNSのChatterを使い、販売店担当者のリアルな声の吸い上げにも成功しているといいます。

自社だけで手がけるには時間もコストもかかると躊躇しがちな物流DXもSalesforceのツールを利用することでスムーズに実現できるのです。

まとめ

DXとは単なる業務のデジタル化や部分最適の改善に留まらない事業改革を目指すものです。物流業界におけるDXとはサブライウェブが描くような事業継続性を支える柔軟な物流業務を可能とする技術ということができるでしょう。

多くが中小企業で構成される労働集約的な物流の現場では、DXの活用は縁遠いものと思われるかもしれません。しかし物流DXがクラウドサービスで提供されつつある今、どのような規模の企業であってもそのメリットを享受する方法はあります。DXによる物流改革への取り組みは、もう始まっているのです。

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