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年間売上世界一のセールスが大切にする営業理論とは

シリーズ: Salesforce営業組織の今を知る #1-4 オンライン時代での社員オンボーディング秘話~トップパフォーマーを育てる育成方法とは?~

セールスフォース・ジャパンの営業として世界ナンバーワンの成績を納めた経験を持ち、現在はアカウント・エグゼクティブのチームをマネージャーとして束ねる大澤篤志が、トップセールスとして活躍するために実践していることや考え方について紹介します。

シリーズ: Salesforce営業組織の今を知る #2-1 年間売上世界一のセールスが大切にする営業理論とは

こんにちは、大澤篤志です。2015年にセールスフォース・ジャパン(以下Salesforce)に入社し、現在は外勤営業であるアカウント・エグゼクティブチームのマネージャーを務めています。このたびは、みなさまにお話する機会をいただき、とても嬉しく思います。かつて自身もチームメンバーとして営業経験を重ね、世界トップの営業成績を納めたこともあり、今回は「トップセールスを徹底解剖する」というテーマに沿って、営業という仕事に対する私なりの考え方やチームマネジメントについてご紹介します。

Salesforceって何がすごいの?

営業、サービス、マーケティングやITにSalesforceはさまざまな効果を発揮します。あなたの業務にも。

お客さまの課題を理解し、成功へ導くことが最大のミッション

私のチームは数名のアカウント・エグゼクティブ(以下AE)から成り、メンバー1人あたり40社程のお客さまを受け持ち、年間目標の達成に向けて日々活動しています。担当するお客さまの規模は従業員数600名~2000名規模で業界・業種は問いません。私はマネージャーとしてメンバーの営業データを参照しながら、それぞれがパフォーマンスを最大化できるようサポートするとともに、私自身も商談にかなり入っていきます。

チームが注力していることは、大きく2つあります。1つは、お客さまが置かれた状況や直面している課題に対する理解を深めることです。もう1つは、その理解をもとに、お客さまの成功を支援し、満足度を高めることです。

一口にお客さまといっても企業としてのお客さまと、目の前で商談をしている担当者様個人の両方の目線を行き来することが重要です。お客さまの企業を理解する場合、まずはそのお客さま自身ではなく外部環境に目を向けます。市場はどうなっているのか、競合はどんな企業がいて、差別化ポイントは何なのか。ターゲット顧客層はどういった属性なのか。まずは大局観を理解します。その視点に加えて、今、目の前にいる担当者様はどういった想いでこの面談に臨んでいるのか、どんな経歴と経験を持ち、何故このプロジェクトにアサインされているのか、この方がもっと社内で評価されるために何ができるのか。加えて、今までこの取り組みを「やりたかったのに出来なかった理由」に寄り添うことが重要です。

こういった情報をAE一人で溜め込むのでなく、整理・言語化し、サポートしてくださるSEやインサイドセールスに対していち早く共有し、商談に臨むメンバーの情報濃度をなるべく均一にして提案のValueを高める。この一連の流れの品質・頻度が高いAEがやはり売れています。

我々は完全に社内の業務プロセスにSalesforceが組み込まれており、複数の別のシステムと連携されているため、必要不可欠なシステムになっておりますが、一方CRMを単独で使う場合はどうしてもNice to haveのシステムに見えがちです。一見「絶対必要なシステム」と認識されづらい製品だからこそ、お客さまの課題解決のための複数の選択肢の中でも最も効果的で、リスクも少なく、実現性も高い提案であることを理解頂くことが必要になってきます。

次の章からは、そうしたValueのある提案を継続するためにセールスパーソンに必要なものは何なのか、チームをどのように育てるのか、Salesforceを活用したマネジメントにも触れながら解説していきます。

優れたセールスパーソンの共通項は「素直、誠実、勤勉」と「習慣を作る力」

「優れたセールスパーソンとはどのような人か」という質問をよくいただきます。その問いに対して画一的な答えを出すのは難しいのですが、私の経験からお答えすると、「優秀なセールスパーソンは総じて素直で誠実で勤勉」です。事実、当社内で「大澤さんのセールステクニックを教えて欲しい」と私に相談しにくる人は、ほとんどがもう既に売れている人だったりします。もっと売れるためにひたすら自己研鑽を重ねる人が高いパフォーマンスを発揮できると思ってます。

後者の「毎日の習慣」については、自社の製品やお客さまの業界・業務のこと、あるいは世の中のトレンドを常に捉えておくことだけにとどまりません。例えば私は買い物をしているときに、「このコンビニの日販はどれくらいで、顧客単価はこれくらいかな。それにしても何故この立地に出店したのだろう」」と考えてシミュレーションしてみたり、トレーニングジムに行った際にも「このジムは、どのようにして集客しているのか、ターゲット層はどこなのか。」という問いを立てて実際にトレーナーの方に聞いてみるといったことをしています。習慣を作るには楽しみを見出す、継続する仕組みを考える、タイムマネジメント等、色々な要素が必要ですが一度作ってしまえばそれだけで周りとの差別化に直結すると考えています。

最後にもう一つ、何事も数字やデータによって客観的に分析する姿勢はマストで必要です。実際に成功しているパターンの傾向を見て、まずはその通りに試してみるのが営業工数的に圧倒的にROIの高い方法論だと思います。

パフォーマンスを最大化するチームの鉄則

私には、営業担当の一人として、またチームのマネージャーとしてのルールがいくつかあります。そのひとつが「土日は働かない/働かせない」というものです。

このルールを大切にしている理由は、業務の効率化や生産性の高い働き方を提案している私たちが、休みなく働くという非効率な働き方をすることは提案内容と逆行しているなと考えるためです。また、休みが無いという事は、先程の「学ぶ習慣」に充てる時間も無くなり、結果としてパフォーマンスを下げる要因になります。マネージャーの仕事は「矛盾をマネージすること」と考えているので、短期の数字と中長期のメンバーの成長をトレードオフではなくトレードオンにできる方法を常に考えてます。

また、「月曜日には重要な会議やお客さまとのミーティングを入れない」というルールもあります。

月曜日に重要な会議やミーティングを入れてしまうと、その準備のために土日を使ったり、気がかりになるなど心身も休まりません。毎週月曜日の朝に重要な会議が控えている状態が1年も続けば、メンバーが抱える心身の疲労は相当なレベルに達するでしょう。

私のチームでは、月曜日を年間の営業プランを考えたり、重要商談への打ち手を落ち着いて考えるための1日として位置づけ、メンバーたちは、お客さまへの提案書を作成したり、コミュニケーションツールの「Slack」上で関係者と商談のための情報共有を行ってます。

もう一つ、私が大切にしているのはメンバーの個性を尊重し、長所を伸ばすことです。Salesforceを使えば、各メンバーの得手・不得手が把握できます。マネージャーとしてメンバーの弱点を克服することに時間を割くのではなく、全員がそれぞれの強みをいかんなく発揮できる環境づくりに注力しています。

さらに、チームメンバーには日ごろから「お客さまのお客さま」にもたらすベネフィットを意識するよう伝えています。「私たちのお客さまは最終顧客にどういったところを評価され選ばれているのか」ここを抑えることが全ての提案の出発点と考えるからです。

トップセールスを育てるチームマネジメントにおけるSalesforce活用術

ここからは、AEチームのマネジメントにSalesforceをどう活用しているかについて具体的にご紹介します。

私の場合、Salesforceを通じてメンバー各人のパフォーマンスとチーム全体の成績を四半期単位で管理しています。具体的にはダッシュボードを使い、案件ごとの受注確度・金額などを踏まえた営業成績の着地予測立案と、その予測を達成するためのチームにおける人的リソース配分の適正化などを行っています。

図1:Salesforceにおけるチームパフォーマンスの管理画面の例 上段でチームの活動成果が一目で把握できる(画像データはサンプル)

ダッシュボードを使うと、チームの誰がどのお客さまに対してどれくらいの時間をかけて営業をしているかも見えるようになるので、個々の案件に費やされている時間と売上とのバランスを簡単にチェックすることができます。バランスが悪い案件に対しては、営業活動を休止して、別のお客さまへの営業に力を入れるように指示を出すこともあります。

加えて、一定期間内に変化のあったデータだけをダッシュボード上で色分け表示させることもできます。例えば、直近で変化があったデータだけを抜き出して参照すれば差分が明らかになり、重要な見落としも防げます。

受注確度を見える化。データによる徹底した営業マネジメント

弊社における営業マネジメントでは案件の「受注確度」が重要なポイントになります。提案しているソリューションの金額と確度との掛け合わせによって特定期間内の着地予想が立てられますし、特定期間内の目標を達成するために、あと何件(あるいは、いくらの)の提案が必要になるかといった方向性も決定づけられるからです。

この受注確度は、担当のセールスパーソンがそれぞれ入力するものです。ここで個人による“肌感覚”で受注確度が決められてしまうと、データとして機能しなくなるリスクがあります。そのため弊社では、商談のステータスを以下の「01」から「08」までの8つに分けて受注確度を決めるというルールが全社で採用されています。

01:営業が商談として扱うかを決める段階
02:お客さまの課題を特定できている段階
03:お客さまの課題に対する解決策に担当者と合意が取れ、予算が明らかな状態
04:決裁担当者と接触し、費用も大枠合意できている段階
05:ライセンス数や値引きなどの条件、導入スケジュールが決まった段階
06:お客さまから注文書が送られてきた段階
07:お客さまからの注文書に不備があり「保留」になった段階
08:受注完了

図2:受注確度にもとづき案件ごとの進捗が確認できる (画像データはサンプル)

このように受注確度に関する明確な定義があるので、そこに個人の主観が入る余地はありません。目標の達成に向けて、どの案件のフェーズを、いつまでに、どのレベルまで引き上げるべきかの判断も的確に下すことができます。

また、Salesforceであれば、受注に要する平均日数を過ぎても受注に至っていない案件もすぐわかるので異常値として炙り出し、撤退して他の案件にリソースを振り向けるといった意思決定も早期に行えます。

まとめ

課題の本質をとらえ「機能」ではなく「価値」を売るべし

SalesforceのようなIT製品の営業をしていると、最先端の機能を売り込みたいという想いが強くなりますが、いかに先進的であっても、製品は特定の課題を解決するための手段です。

必要なのはお客さまのなりたい姿を一緒にデザインして実現するということをセットで届けることであって、目先の小さな課題に飛びつくことではありません。我々個人が「1億円あげるから何か好きなもの5個買っていいよ」と言われポンポン出てこないのと同じで、法人営業の場合でも同じだと思うんです。意外とできない。だから営業の重要な仕事の一つはお客さまの”欲しい”の言語化です。

弊社のAEはこれからも、お客さまの環境や戦略、強みを鑑みた最適なご提案をお届けすることを通じて、お客さまの成功をサポートします。

Salesforceを使った営業マネジメントにご興味がある方は、下記に記載のダウンロード資料を参考にしていただければと思います。

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Atsushi Osawa エンタープライズ営業第二本部 第四営業部 部長

前職にて営業未経験の中Salesforceに入社。インサイドセールスを最短で昇進後、外勤営業一年目でスタートアップ担当営業部門で年間売上世界一に。翌年はSMBマーケット担当部門で世界9位。その後エンタープライズ営業部に異動し、2年連続で年間予算達成率200%超え。今年2月よりエンタープライズ営業部門の部長としてチーム運営をリード。

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