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Service Change Makers 一度の機会から生涯のお付き合いへつなぐ至高のサービス体験(Day 1)開催レポート

Service Change Makers 一度の機会から生涯のお付き合いへつなぐ至高のサービス体験(Day 2)開催レポート

2022年4月13日と14日の2日間、コンタクトセンターやフィールドサービスなどに関わる方に向けたオンラインイベント「Service Change Makers 一度の機会から生涯のお付き合いへつなぐ至高のサービス体験」を開催しました。本記事ではDay1の注目のセッションをレポートします。

2022年4月13日と14日の2日間、コンタクトセンターやフィールドサービスなどに関わる方に向けたオンラインイベント「Service Change Makers 一度の機会から生涯のお付き合いへつなぐ至高のサービス体験」を開催しました。Service Change Makersとは、サービスを変革する人や組織です。昨今は顧客サポートやサービスが顧客満足度や顧客生涯価値(LTV)を高めるものとして注目されており、本イベントでも顧客のロイヤリティと従業員の生産性を高め、変革を起こすためのさまざまなアイデアが共有されました。本記事ではDay1の注目のセッションをレポートします(Day2のレポートはこちら)。

お金や物質的への欲求から、人と人とのつながりの欲求へ

オープニングの特別講演は「心温まるサービス体験の未来型」と題し、セールスフォース・ジャパン 専務執行役員の宮田 要をホストに、ロボット工学第一人者である石黒 浩 氏と、世代・トレンド評論家の牛窪 恵 氏をお招きし、「未来のサービス体験」について考察しました。

セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 カスタマーサクセス統括本部長
宮田 要

石黒氏は、ロボットの研究とともに、人間とは何かを解き明かす活動をしています。自身にそっくりなアンドロイドをはじめ、さまざまなロボットを研究・創造してきました。

「ロボットはある種人間を映す鏡のような役割をしていると思います。ロボットがどれくらい人間らしいのかを考えると、何が人間を人間らしくしているかを考えるきっかけになります」(石黒氏)

大阪大学基礎工学研究科教授(栄誉教授) ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)石黒 浩 氏

牛窪氏は、「草食系男子」といった言葉を広め、マーケティングライターとして世代の研究をしています。そのなかで、デジタルと若い世代の親和性に注目しているとし、情報量が増えていくなか、自分達に必要な情報を効率良く収集し、取捨選択する意識が高まっているとの考えを示しました。

「不況というものを体験しているロストジェネレーション世代、30代後半の草食系世代、さらに下の世代は日本経済が上向きになることを想像していません。それだけに現実的でなおかつ個人の好みを大事にする傾向にあります。そして、ミレニアル世代はコストパフォーマンスを大事にし、その下のZ世代はタイムパフォーマンスをすごく意識しているなという印象が強いです」(牛窪氏)

そのような「世代別価値観」の話題に続き宮田は、多くの顧客が悪いカスタマーサービスを受けるとそのサービスの利用をやめてしまうこと、一方、素晴らしいカスタマーサービスを体験すると次の購入につながる可能性が高まるといった調査結果を示し、カスタマーサービス向上が企業にとってのブランディングであり、企業として注力すべき領域であると、本セッションの議論のテーマを示しました。

石黒氏は、これからはもっとコミュニケーションが大事になるとし、内閣府が展開する、2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会の実現を目指す取り組み「ムーンショット」について説明。

「仮想世界において匿名で活動するのがSNSやメタバースです。誰もまだ開拓できていないのは、実世界において匿名で働くということです。アバターを使っていろんな人格を楽しみながら実世界で働けると、コミュニケーションの幅も活動の幅ももっと広がります」(石黒氏)

牛窪氏は、世代研究のなかから見られるようになった、人間の欲求の変化についての考察を述べました。とくに若い世代では、自己実現や、他者との共創、社会貢献の欲求が高まっているとし、「デジタルだからといって、決して無機質なものではなく、ぬくもりのようなものを求めているのです」と続けました。

世代・トレンド評論家 立教大学大学院客員教授 牛窪 恵 氏

お二人のお話から、ロボットやデジタル活用によって、人々の欲求は、家や車など物質の所有ではなく、人とのつながりへの興味へ欲求が移っている傾向がわかります。企業が消費者に支持されるには、一人ひとりに最適なコミュニケーションをとることが求められているのではないでしょうか。

宮田は「Salesforceでは、お客様を360度の全方位で理解し、そのうえでお客様にとって最適なものを提供することを考えています。しかし、顧客データを集めるだけではあまり意味がありません。データから何らかのインサイトを見つけて、リコメンデーションにつなげていくなど、最終的に消費者にお返しできないかと思いました」とコメントしました。

信顧客一人ひとりに寄り添いながら、社会課題を解決する自動車保険

続いての注目セッションは、イーデザイン損害保険株式会社の酒井 宣幸 氏による「新たな顧客体験の創造に向けた インシュアテック保険会社へのトランスフォーメーション」と題して、保険会社におけるカスタマーサービスの事例紹介がありました。

東京海上グループのデジタル R&D 拠点としてインシュアテック保険会社へのトランスフォーメーションを実践している同社では、Salesforceのフルクラウドサービスである Financial Services Cloud を採用するなど、デジタル時代の顧客ニーズに柔軟に対応する仕組みを整えています。

酒井氏はFinancial Services Cloudを選定した理由は三つあるとし、「一つは、保険に特化したオブジェクトデータモデルが提供されており、実現したいことが概ね標準仕様で対応できると評価できたからです。二つ目は、他のSalesforceソリューションを組み合わせることで、お客様とのあらゆる接点を強化する、オムニチャネル対応が挙げられます。三つ目は、マイクロサービスを実現する上で不可欠となるAPIマネジメントシステムとしてのMuleSoftの採用です。コーチから運用に至るSalesforceからのサポートは大きな安心感につながりました」と説明しました。

イーデザイン損害保険株式会社 取締役 IT企画部長 兼 ビジネスアナリティクス部長 酒井 宣幸 氏

このようにデジタル活用の環境を整備し、自動車事故の発生時に利用者の状況やフィーリングに最適な事故対応担当者をマッチングする「私のタントウシャ」や、車載ビーコンによるトラッキングとスマートフォンアプリを活用した新商品「 &e (アンディー)」などを開発。新たな顧客価値を創出しながら、安心・安全な事故のない社会の実現を目指しています。

「Service Change Makers」について酒井氏は、イノベーションを起こせる人や組織だと定義し、「解くべき課題を見つける能力と課題解決を具現化できる実行力に加え、ぶれない情熱をもつことが大切だと思います。私共ははじめの一歩を踏み出したばかりですが、より多くのお客様との共創を通じて、社会課題の解決に少しでもお役に立てる保険会社になりたいと思います」と語りました。

ポータル構築で業務の属人化や紙文化、コミュニケーションの煩雑さを克服

続いては、アクシオス・マネジメント株式会社 代表取締役 引地 強 氏による「顧客と従業員とつながるプラットフォームで残業のない業務環境を実現」。非効率な従来業務の課題を克服した不動産事業の事例がシェアされました。

不動産業界ではオーナー、入居者、そして施工事業者など、快適な住環境の提供には多くの人々が関わります。アクシオス・マネジメントは、ビジネスの急成長によって管理戸数が増え、同時に関連する人が増えるなかで、新人のトレーニングや、物件管理の属人化、不動産業界特有の紙文化、チャットやメール、電話など、複数の経路での煩雑なコミュニケーション、相互に連携できないアプリケーションなどの課題に直面しました。

そこで、Salesforceを導入し、社員だけでなくオーナーや入居者、工事関係者が情報を共有できるポータルを構築しコミュニケーションコストを削減、アプリケーションの連携によって業務効率の向上を実現しています。新しいシステムがうまく機能するために、関係者への理解に努めました。

「中にはITが苦手な方もいますので、最初は大変でした。一度ご来社いただいて、パソコンを一緒に使いながら、Salesforceについて説明をして、私達が何をしようとしているのか、関係者にどんなメリットがあるのかをまず説明して、その後に使い方を説明していきました」(引地 氏)

アクシオス・マネジメント株式会社 代表取締役 引地 強 氏

Salesforce導入による業務改善によって従業員の残業時間も減り、働きやすい環境を得たアクシオス・マネジメントでは、採用面においても良い効果を得られています。最後に引地氏は「デジタル活用によって、場所にとらわれない高品質な不動産体験を世界中のクライアントに届けられるようになりました。ドメスティックなマーケットだけで戦うのは終わったと思います。情報を共有化し、フラットな世界でグローバルに活躍していくのが当社の目標です」と述べました。

問い合わせのフローを手軽に最適化しながら、顧客体験も向上

Day 1最後のセッションは、日機装株式会社の年神 大輔 氏による「医療機器メーカーが取り組むエフォートレスな顧客体験の追求」。国内トップシェアを持つ透析分野をはじめ、多くの医療機器を取り扱う同社では、機器のアフターサポートにも力をいれています。しかしながら、Webサイトでは競合対策もあり公開できず、顧客に情報を提供するために営業やフィールドサービス担当を介すしか方法がありませんでした。しかも、機器の保守のなどの研修をスクール型で行っていたため、必ずしも受講者にマッチした学習を提供できないなどの課題もあったのです。

そこで、Salesforceを活用し、効率的なサポート体制のほか、多要素認証などセキュリティに配慮した医療従事者向けナレッジベースや複雑な機器の取り扱いを自己学習できるツールを提供。コロナ禍で訪問対応が難しい状況のため、映像を活用しながらサービスエンジニアがリモート環境から実施するサポートも展開しています。末長く顧客を支え続けるための、エフォートレス(努力を要さない、気楽)な取り組みができる体制を構築しました。

「今まで、お客様はまず電話で問い合わせをされていましたが、その前にポータルサイトへログインしていただきまして、FAQサイトをご覧になって、自ら問題を解決していくことが可能になりました。それでもわからなかった場合に、オンラインエンジニアが電話対応で解決させていただくというようなフローになっています」(年神 氏)

日機装株式会社 メディカル事業本部 サービス統括部 サービス統括グループ
年神 大輔 氏

Salesforceによって構築したポータルサイトによって、顧客のリアルな体験をデータ化し、それらのデータを活用できるようになった日機装では、顧客を中心としたサービスの提供を実現しています。最後に年神氏は「利便性の提供、従業員の働きやすさ双方から選ばれ続ける企業であることが必要だと考えています。デジタル化が目的になってしまいがちですが、お客様や従業員にとってよりよい仕組みを考えながら今後も努めてまいりたいと思います」と語りました。

Day 2では、基調講演とクロージングセッションの他、次世代コンタクトセンターやフィールドサービスにおけるCX(カスタマーエクスペリエンス)を向上するサービス体験を実現した数々の事例が共有されました。

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