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セクシャリティが理由で入居を断られる!?LGBTQ+理解促進のための社内イベントを紹介

LGBTsフレンドリーな不動産会社株式会社IRISより、自身もゲイセクシャルを公表している代表の須藤啓光さんをゲストとしてお迎えし、「LGBTQ+暮らしの問題を考える」社内イベントを実施しました。

LGBTsフレンドリーな不動産会社株式会社IRISより、自身もゲイセクシャルを公表している代表の須藤啓光さんをゲストとしてお迎えし、「LGBTQ+暮らしの問題を考える」社内イベントを実施しました。

セールスフォース・ジャパン従業員は「1-1-1モデル」という社会貢献制度を利用して労働時間の1%(年間56時間)ボランティア活動を行うことが出来ます。ボランティア活動の一環として、社内でLGBTQ+コミュニティをサポートするグループ「Outforce Japan」が実施した本イベントに、約600名の従業員が参加しました。本ブログでは、インタビュー形式で実施されたイベントの一部をご紹介します。

Outforce Japanが継続的に社内イベントを行う意義

性のあり方や好意の対象は人それぞれであり、企業において誰しもが自分らしく働ける社風づくりの重要性に注目が集まっています。性別・性的指向に限らず、人種や国籍、世代、個々の考え方の違い、さまざまな違いを理解するためには、コミュニケーションや学びを通して、互いに違いを認め合い理解することが大切です。OutforceJapanは、どのような性的指向や性自認(SOGI)でもセーフスペースを感じられるような職場環境の実現に向けて、さまざまなイベントを企画・実施しています。

講演者プロフィール 須藤啓光(すとう・あきひろ) / 株式会社IRIS 代表取締役CEO 。 1989年宮城県生まれ。金融業界で保険や証券、投資信託 などのリテール業務を経て、不動産会社にて賃貸仲介営業 に従事。2016年にIRISを法人化し、不動産事業を開始。 執筆活動、メディア出演、ラジオMCや講演なども行う。

LGBTQ+当事者が感じる暮らしの課題とは?

SUUMOの調査によると、実に4割のLGBTQ+当事者が家探しを行うタイミングで何らかの苦労を感じたそうです。家探しを経験した同性カップルの方々は、同性での入居に不信がられた、入居を断られたなどの経験をしています。安定した収入や経済力があっても審査に通りにくいということで、LGBTQ+の人たちは家を借りにくい「住宅弱者」と言われています。

パネルディスカッションの様子

ここからはイベントの様子を一部お届けします。

伊藤龍玄(以下:伊藤):
経歴のところで、元々大手の金融機関で働かれていたと記載がありました。どうして起業をしようと思ったのか、またLGBTQ+にフォーカスしたビジネスをしようと思ったきっかけはありますか?

須藤啓光(以下:須藤):
社会が変わるのを待つのではなく、出来るところから変革を起こしたいという考えから、2014年にWEBマガジンをスタートさせました。ただ、当時はまだゲイ=オカマという考えや差別的なメディアでの表現が多く、当事者に対する風当たりが強かったと感じます。私自身、前職では会社でのアウティングを経験したこともあり、ゲイセクシャル当事者として長い間葛藤を感じてきました。

特に印象的だったのは、同性のパートナーと家探しをした時でしたね。不動産会社を5社まわり、ようやく見つけた物件も、礼金上乗せの条件付きでしか入居を許してもらえず。ただ同性のパートナーとワンちゃんと住みたいだけなのに、異性カップルと比べたときにこんなに不平等があるんだということを実感しました。この経験から、不動産事業を始めようと決心しました。

伊藤:そういった経緯で不動産事業を立ち上げたんですね。須藤さんはゲイセクシャル当事者であることをオープンにしてさまざまな活動をされていますが、須藤さん自身や従業員の方が業務にあたる上で大変だと感じることはありましたか?

須藤:私自身は負けん気が強いので大丈夫ですが、従業員の中には日常ではかけられないようなセクシャリティに関する言葉に気を落としてしまう人もいます。不動産事業を行う上で、お客様からのヒアリング内容をもとに適切な物件を紹介するわけですが、その前に1件1件管理会社や大家さんと交渉をします。その時に、セクシャルマイノリティの方が入居しても良いかを聞くのですが、「ゲイとか気持ち悪い」とか「そういう人たちは受け入れられない」という言葉を浴びる事もあります。私たちも当事者の一員なので、それが積み重なるとまるで自分が否定された気分になりますよね。そういった従業員の心のケアも不可欠なんです。

伊藤:1件1件管理会社や大家さんに交渉をされているという企業努力に感銘を受けました。IRISのHPなどで”LGBTs”という言葉が使われていますが、この言葉に込めた想いはありますか?

須藤:私はLGBTQ+の人を特別視し、当事者達だけにサービスを提供したいとは考えていません。マイノリティと呼ばれる、外国籍・シングルマザー・障害をお持ちの方をはじめとする様々な方が家探しの困難を感じています。こういった課題を可視化するために、私どもはあえて”LGBTs”という言葉を使っています。

伊藤:不動産業界におけるLGBTQ+への理解などの観点で、この数年で変化はありますか?

須藤:元々不動産業界は保守的だと感じていますが、特に東京オリンピックをきっかけに大きく変わってきていると感じています。過去には新しく店を構える際「あまり派手なことはするな」と圧力をかけられたこともありました。しかし、オリンピック憲章の中には「性的指向・性自認などの理由によるいかなる種類の差別も受ける事なく、確実に享受されなければならない」と記載があります。そのため、セクシャルマイノリティに配慮した取り組みに一歩踏み出してチャレンジをする企業や行政が増えている、という背景があります。パートナーシップ制度を導入する自治体が増えた事もあり、特に賃貸の現場にてより交渉がしやすくなったと感じています。

伊藤:先ほどパートナーシップ制度の話が出てきたんですが、パートナーシップ制度を導入している市町村の方が家探しがしやすいといったことはありますか?

須藤:これまでは、同性カップルが家探しをするにあたって、「カップルであるという証明を出してくれ」という要望があるケースもありました。異性カップルであればこのようなことは言われないですし、そもそも日本において同性カップルは結婚ができないので、証明することはできませんでした。しかし、パートナーシップ制度が自治体で導入されることで、証明をすることができるようになったため、やはり制度がある地域の方がエビデンスをもとに交渉しやすくなりましたね。しかし、まだまだ課題はあります。例えば、入居したい住居の地域でパートナーシップ制度があったとしても、今住んでいる地域が導入していない場合は、制度を利用できません。そのような場合は、Famie様など民間で家族関係証明書を発行している団体のサービスを利用するといった対応をしています。

伊藤:企業としての将来の展望についてお聞かせください。

須藤:渋谷区のパートナーシップ条例導入に尽力された元渋谷区長の長谷部健氏に、あるプロジェクトでメンターをしていただいたことがあります。「官だけで世の中を変えていくのは難しい。民の力も合わさって初めて世の中を変えることができる」という言葉が印象的で、深く共感しました。社会が変わるのを待つのではなく、自分達が今チャレンジできることを積み重ねていくことで世の中を変えられるんだと確信しました。我々IRISも、LGBTsの人たちが生きやすい世の中にするために、企業としてより強い組織にしていこうと考えております。

最後に・・・私たちにできること

伊藤:このセッションに参加されている皆様に向けてメッセージをいただくことはできますか?

須藤:私たちにできること、これはシンプルにどなたに対しても配慮を払うことかなと感じています。例えば私は初めてお会いする方と会話をする際に、「彼女」「彼氏」「旦那さん」「奥さん」という表現ではなく、「パートナー」という言葉を使うように心がけています。表現を1つ変えることで、その言葉を受けた側の受け取り方が変わると考えています。思いやりを持って人と接することで、いろんな方が心地よく過ごせるのではないかなと思います。

Salesforceでは、誰もが平等に自分らしく働ける社会の実現をめざして、社内外でさまざまな取り組みを行っています。2021年11月には同性パートナーシップならびに任意後見制度を利用する従業員への福利厚生制度「パートナーシップ制度」と、従業員のジェンダーアファメーション(性自認の確認と肯定)の道のりをサポートするための福利厚生制度「ジェンダーインクルーシブベネフィット」を導入することを発表しました。(詳しくはこちら

平等に関する当社の考え方や、取り組み内容についてはこちらのページをご覧ください。またこれを機に、LGBTQ+についてもっと理解を深めたい、という方はぜひ、無料の学習体験ツールTrailheadをご活用ください。

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