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Eコマースにおける MVP(実用最小限の製品)アプローチがビジネスを大きく変える理由

MVP アプローチは、新しいコマースエクスペリエンスを短期間で開発して運用するための方法です。この記事では、そのための正しい方法を紹介します。

MVP アプローチは、新しいコマースエクスペリエンスを短期間で開発して運用するための方法です。この記事では、そのための正しい方法を紹介します。

Eコマースでは、特にタイミングが重要になります。発売が 1 日遅れたら、その分だけ収益を逃すことになるため、計画通りに業務を進めることが重要です。新しいEコマースエクスペリエンスを立ち上げるための最適かつ最速な方法はどのようなものでしょうか。それは、Eコマースにおいて MVP(実用最小限の製品)アプローチをとるという方法です。

Eコマースにおける MVP とは何でしょうか。MVP は、Eコマースにおける「ファストトラック」です。初期段階では、Eコマースビジネスを運営するための主要な機能を中心として土台の構築に取り組みます。土台が構築できたら、プロセスの改善、カスタマイズ、新機能の立ち上げへと段階的に進んでいきます。

単に顧客ポータルと注文を追跡する機能だけを MVP として開発する企業もあります。あるいは、店頭機能、商品検索機能、決済機能、注文管理機能などを MVP として開発する企業もあります。いずれにしても、短期間で ROI を達成する必要があり、すべての事項に適切に対応する時間がない企業にとって、MVP アプローチは画期的な方法です。

この記事では、MVP アプローチを短期間で適切に導入する方法を紹介します。

優先順位を決める

MVP による Eコマースプランを作成する場合は、機能に優先順位を付けることが非常に重要です。「絶対に必要な機能」と「あれば便利な機能」を、時間をかけて区別する必要があります。新しい Eコマースエクスペリエンスで、企業は何を重視し、顧客は何を重視するのでしょうか。ショッピングエクスペリエンスに共通する以下の側面について検討し、主要なステークホルダーから情報を得て、何が必要なのかを判断する必要があります。

  • 検索機能:必要な商品を簡単に検索できるようにすれば、売上額が上がります。ナビゲーション機能、ランディングページ、カテゴリー分け、お勧め情報など、商品閲覧の前段階のエクスペリエンスに焦点を当てることが重要です。早い段階で AI(人工知能)の導入を検討してマーチャンダイジングを自動化することにより、短期間で収益を上げることができます。
  • 購入までのプロセス:購入の仕組みを簡素化すると、コンバージョン率の向上につながります。アクセンチュア社(英語)の調査によると、オンラインショッピング利用者の 87% が「チェックアウト処理が複雑な場合はショッピングをやめる」と回答し、55% が「チェックアウト処理が複雑な小売企業のショッピングサイトは二度と利用しない」と回答しています。そのため、商品の詳細ページ、カート、チェックアウトフローについてチーム内で意見を出し合い、ベストプラクティスを検討する必要があります。
  • アカウントとサービス:カスタマージャーニーは、商品を購入したらそこで終わりというわけではありません。回答者の 86%(英語) が、「商品購入後の体験が今後の購入に関する判断材料になる」と答えています。そのため、ポジティブな体験を提供するためには何が必要なのかを検討する必要があります。たとえば、顧客アカウントポータル、返品ワークフロー、注文管理などが考えられます。

多くの企業が、必要な機能の検討段階でプロダクトマネージャーを採用しています。このプロダクトマネージャーが、チーム間の連絡役として要件を収集し、機能の優先順位付けを行います。商品の発売後は、Eコマースプロダクトマネージャーが、最適なカスタマーエクスペリエンスを実現するための中心的な役割を果たすことになります。プロダクトマネージャーは、適切な機能、カスタマイズ、改善を提案して、最高レベルのエクスペリエンスの実現に取り組みます。

MVP アプローチを成功させるためには、データ駆動型でアジャイルなアプローチにする必要があります。そのため、適切な KPI を設定し、サイトパフォーマンスの定期的なレビューを計画することが重要になります。

主要な指標を確認し、Eコマースの MVP アプローチを最適化する

MVP アプローチを成功させるためには、データ駆動型でアジャイルなアプローチにする必要があります。そのため、適切な重要業績評価指標 (KPI) (英語)を設定し、サイトパフォーマンスの定期的なレビューを計画して、状況に応じてリアルタイムに調整を行うことが重要になります。

一般的な KPI としては、カート放棄率(ショッピングを途中で停止するユーザーの多くが、カートを放棄することによってショッピングをやめています)、コンバージョン率、平均注文額などがあります。これらの指標が、次のステップの判断材料になります。たとえば、以下のような点について判断を行います。

  • スムーズなチェックアウトフローになっているか:分析データを確認して、ショッピングの障害になっている可能性がある場所を特定します。次に、注文方法の簡素化、ゲストユーザー用のチェックアウト機能の導入、支払いオプションの追加などを検討します。
  • 商品のプレゼンテーション情報やお勧め情報を最適化して注文数を増やすことは可能か:ユーザーがショッピングサイトから離れても商品がカート内に保存されるような仕組みにします。カート内に一時的に商品を保存するユーザーが多いため、この仕組みにより、サイトのエクスペリエンスを簡単に改善することができます。
  • トラフィックの質と量を改善してコンバージョン率を高めることは可能か:ショッピングサイト上での取引数をアクセスユーザー数で割って 100 を掛けた値が、コンバーション率になります。アクセスユーザー数が少ない場合は、SEO 対策、有料広告、メールキャンペーンの方法を変えることを検討する必要があります。取引数が少ない場合は、ユーザーエクスペリエンスチームやデザインチームと協力して、ユーザーの利便性を向上させる必要があります。

堅牢なフィードバックループを構築する

KPI がビジネスの改善戦略の方向性を示すものであるとすれば、お客様からのフィードバックはその推進力になるものです。早い段階で頻繁にフィードバックを収集することにより、サイトにおけるショッピングエクスペリエンスの全体像を把握することができます。これにより、明確な方向性を持ちながら、どのような機能や改善に注力すべきかを判断することができます。つまり、堅牢なフィードバックループを構築することが、Eコマースで MVP アプローチを成功させるための鍵になります。

フィードバックを待つだけでなく、積極的に行動することが重要です。

フィードバックを待つだけでなく、積極的に行動することが重要です。ユーザーアンケート、購入後のメール送信、ライブチャットなどにより、リアルタイムにユーザーから回答を得ることができます。アンケートに回答したユーザーに対して、割引や少額の景品などのインセンティブを提供すれば、回答率が上がります。また、フィードバックによってショッピングエクスペリエンスを向上させるには、適切なタイミングで適切な質問を行うことが重要になります。

プロからのアドバイス:透明性を高めることが重要です。回答者の 84%(英語) が「アンケートの回答の用途を知りたい」と答えているにもかかわらず、75% 以上が「アンケートの結果や、アンケートにもとづく変更点について知らさせることはほとんどない」と答えています。そのため、「アンケート調査は、どのような新機能を追加する必要があるのか、どの機能を改善する必要があるのかを判断する目的で実施される」ということをユーザーに伝えれば、より正確な回答を得られる可能性が高くなります。

お客様のフィードバックが重要な理由は、以下のとおりです。

  • フィードバックによって問題を特定できる:ネガティブなパターンのフィードバックを分析することにより、優先度が高い修正作業と更新作業を効果的に特定することができます。
  • フィードバックによって新しいアイデアが見つかる:変化を促進するのは、ネガティブなレビューやアンケート結果だけではありません。ショッピングエクスペリエンスに満足したお客様は、エクスペリエンスをさらに改善するためのアイデアや新しい視点を持っていることが少なくありません。
  • フィードバックにより、お客様が「自分の意見を聞いてもらえている」と感じる:フィードバックの収集後に行うべき最も重要なことは何でしょうか。それは、お客様の意見に耳を傾けるということです。フィードバックが肯定的なものであれ否定的なものであれ、正しい手順でお客様の意見に対処していること、お客様の期待に応えるためのさまざまな取り組みを行っていることをお客様に知ってもらうことが重要です。

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Lauren Wallace

Lauren Wallaceは、Commerce Cloud担当の編集責任者です。多くの業界のB2CおよびB2B企業向けに記事を執筆しており、直近ではサイバーセキュリティやヘルスケアについて論じています。コマース関連の執筆活動以外では、サンディエゴ周辺でランニングやサイクリングを楽しんでいます。

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