昨今のコロナ禍を機に、私たちは従来の既成概念を打破し、成長と市場、そして顧客に合わせたサービスを提供するため、より良いITを求めてきました。2022年6月29、30日にオンラインで開催したSALESFORCE LIVE:Japanイベントシリーズは「IT」をテーマに、「デジタルの真価」について追求。データ活用や、アジャイル、セキュリティ、DXなど、誰もが開発者になれる時代を実現する「IT」、及び、そのITソリューションを使った事業成長について議論を展開しました。本記事では、Day1の注目セッションの様子をお届けします(Day2のレポートはこちら)。

 

理想の自分になれて、身体性を持てるのがメタバースの特性

オープニングの特別講演のテーマは、「Metaverse for Business ~メタバース、ビジネスでどう使う?~」。一般社団法人渋谷未来デザイン 理事・事務局長で、 一般社団法人Metaverse Japan 代表理事の長田新子氏、VR空間で人が集まることができるメタバースプラットフォーム「cluster」を提供するクラスター株式会社 代表取締役CEOの加藤直人氏、東京大学生産技術研究所特任教授 noiz、gluon、一般社団法人Metaverse Japan 理事の豊田啓介氏の専門家3人が、メタバースをビジネスパーソンがどう捉えるべきかについて議論しました。

 

一般社団法人渋谷未来デザイン 理事・事務局長 一般社団法人Metaverse Japan 代表理事 長田新子氏

 

長田氏はまず、メタバースの定義について加藤氏に尋ねました。加藤氏は、SF小説や映画の世界で描かれた、人間が物質にとらわれる世界からの脱却を欲するイデオロギーに対し、コンピューターの発達によって、その実装が追いついてきた状況であると説明しました。

 

建築家でもある豊田氏は「建築は3次元空間だけでなく、工程、法律、構造、コストなど、いろいろな次元を扱っています。次元が拡張した領域を扱えているということが基礎にあると思っていて、高次元のものを他者と共有できるようになる世界に、メタバース的要素がどんどん入っていると感じています」と説明しました。

 

クラスター株式会社 代表取締役CEO 加藤直人氏

 

2003年に登場したメタバース「Second Life」は大きな話題を提供しましたが、普及には至りませんでした。加藤氏は、2000年代に比べて、現在はコンピューターの能力が大きく発展し、高機能なスマートフォンも普及しているため、メタバースの世界を一般の人が理解できるようになっていると解説。2021年に旧FacebookがMeta Platformsとなり、CEOのマーク・ザッカーバーグが同分野にコミットしていくと宣言したことも、その後押しとなっていると説明しました。

 

クラスター社も、年間100件以上のバーチャルなイベントを開催する企業となっています。加藤氏は、多種多様な企業や機関との関わりを通じ、従来はリアルな場所に引き込むためのバーチャルなイベントだったものが、今やデジタルやバーチャルの方がメインとなる逆転現象が起きていると言います。「リアルな服を買わなくって、デジタルの服を買うようになる訳です。アパレルブランドのBALENCIAGAがFortnite(ゲーム)のアバターアイテムとしての服を売っています。Fortniteのアイテムの売上高はアパレル業界がトップ3に入るといった現象が起きていて、新しい経済圏が生まれていると感じています」(加藤氏)

 

豊田氏も、これまで存在していなかった選択肢にアクセスできるようになり、自由に選択できる多様性がポイントであると指摘。「村や集合住宅では、自分に合わなかったら退出するという選択ができませんでした。(メタバースは)複数のコミュニティに所属したり、すぐ退出したり、あるいは自分のキャラをちょっと変えてみたりと、まだまだ、いっぱいデザインできる気がします」と語りました。

 

東京大学生産技術研究所特任教授 noiz、gluon、一般社団法人Metaverse Japan 理事 豊田啓介氏

 

メタバースと同様、最近話題になっているWeb3.0という概念についても、加藤氏はイデオロギーの一つと説明。「非中央集権を実現する技術として、ブロックチェーンのスマートコントラクトが確立されてきました。メタバースにも関わる可能性があるものと捉えておいた方がいいと思います」と語りました。

 

 

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本編ではメタバースとWeb3.0について、より深く議論しています!

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Yahoo! JAPANが実践する「ベストプラクティス」とは

続く基調講演「データの力を解き放つ」の前半では、セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 MuleSoft事業統括 カントリーマネージャーの三戸篤が、Salesforce Customer 360 Platformを紹介し、後半ではそれを有効活用しているヤフー株式会社 執行役員 CIO(最高情報責任者) 兼 テクノロジーグループCTOの服部典弘氏をお迎えし、さまざまSalesforce製品群を活用するノウハウがシェアされました。

 

Salesforce Customer 360 Platformは、お客様を中心に、セールス、カスタマーサポート、マーケティング、コマースなど、あらゆる部門のデータがつながり、一元的に管理されることで、新しいお客様の日常にも寄り添うことができるプラットフォームです。Salesforceだけでなく、データ分析のTableau、他のシステムと連携するためのMulesoft、ノーコード・ローコードのプラットフォームなどを統合しています。

 

さまざまなSaaSを利用する際に重視されるのは「安全性」と「利便性」です。三戸は「私どものプラットフォームは、安心安全、プライバシーセキュリティ、信頼を第一にお届けしているだけではなく、スケーラビリティ、そして自動化を適用しています。Salesforce Customer 360の機能は、クラウド上にあるHyperforceと呼ばれる基盤の上に構築されており、パブリッククラウド上にある新しいテクノロジーやスケーラビリティを享受しながら、皆様にご提供するサービスのイノベーションにフォーカスできるようになっています」と説明しました。

セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 MuleSoft事業統括 カントリーマネージャー 三戸篤

 

三戸は、Salesforce Customer 360を使ってデータを活用するには、「連携」「分析」「アクション」の3ステップが必要と指摘しました。

 

企業が扱うデータは、Salesforce上だけでなく、データセンターやERPシステム、個人のExcelファイルなど、さまざまな場所にあります。そこで「連携」のステップをサポートするのが、APIを活用して、さまざまなデータ業務をつなげることができるMulesoftです。「分析」においては、大量のデータを迅速に探索し、多様な角度から分析、ビジュアル化できるTableauがあり、また「アクション」のステップでは、さまざまな関係者とコラボレーションできるSlackが役に立ちます。そして、「連携」「分析」「アクション」によるデータ活用をさらに強化するのが、「Salesforce フロー」による自動化です。三戸は、これを活用している企業の代表として、ヤフー株式会社の服部氏を招きました。

 

ヤフー株式会社では、創業から26年の間、古いITシステムを着実にリニューアルしながら、モダンな環境を維持しています。服部氏は「Yahoo! JAPANの事業の根幹は、世の中にないものを作っていくことです。一方、バックオフィスに近いところは競争領域でないため、世の中のベストプラクティスを取り入れています。社内では『Make or Use』と言っていますが、ベストプラクティスを持つ良いシステムが存在するなら、できるだけ取り入れた方がいいと思っています。逆に私たちにベストなものがなければ新たに作るという概念です」と述べました。

 

ヤフー株式会社 執行役員 CIO(最高情報責任者) 兼 テクノロジーグループCTO 服部典弘氏

 

 

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ヤフー株式会社では、『Make or Use』 の考え方のもと、どのようにSalesforceを活用しているのか?

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閉じたデータもAPI連携で社内の共有資産に

続いての注目セッションでは、高い専門性を有したプラスチック製品を展開する、ポリプラスチックス株式会社が推進する、DXの3年計画が披露され、「データ・つながる・自動化」をキーワードに、MuleSoftが果たす役割と、同社のテクノロジー活用の考え方、そして将来展望が共有されました。

 

ポリプラスチックス株式会社は、ただ素材を売るのではなく、顧客のニーズに応え、素材の良さを最大限に生かせるよう、顧客との密接な協力関係を構築し、サポートすることを強みにしています。DXなどのデジタル化やデータアナリティクスなど、ICTを統括する立場であるポリプラスチックス株式会社 事業創出本部ICT企画統括部 部長の籔内寿樹氏は、DXを進めるにあたり、単なるツールの導入で終わらぬよう、導入する目的や理由を重視していると言います。

 

従来、社内ではデータを大切に保管していたものの、それが部門ごとにサイロ化してしまい、連携ができずにいました。そこで同社では、データ活用をして競争優位性につなげたいと考え、ビジネス変革のプロジェクト「BizPro」を立ち上げ、従来のシステムも活用しながらAPI連携していくという手段を選択します。

 

「新しい技術が登場した時に、より素早く取り入れることができるコンポーザビリティを目指していくことを考えました。レガシーシステムには重要な情報が詰まっています。レガシーの刷新には時間がかかりますので、API連携でモダン化していくことにしたのです」(薮内氏)

 

ポリプラスチックス株式会社 事業創出本部ICT企画統括部 部長 籔内寿樹氏 
 
 

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なぜ「MuleSoft」が採用されたのか?そして同社はどのようなDXを推進していくのか?

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ノーコードで独自コミュニケーション管理システムを開発

Day 1もう一つの注目セッションは「進化し続ける日揮の業務変革を支えるプラットフォーム開発」です。日揮では、2018年に「IT Grand Plan 2030」を策定し、2020年には、主要業務であるプロジェクトの設計調達・建設を連動させたデジタル変革を実現するため、専門の部門であるEPC DX部(現在は、デジタルプロジェクトデリバリー部)を設立し、日揮で実現すべきデジタル変革のビジョンを定めています。

 

その取り組みの一環として、統合コミュニケーションプラットフォーム「Corret」を構築しました。プラントの設計・調達・建設業務を遂行する過程で、さまざまなコミュニケーションが発生します。関係者は社内や顧客のみならず、物品の外部購入先、建設工事会社や現場作業従事者、ジョイントベンチャーのパートナーなど多岐にわたります。これまでは、コミュニケーションのツールが複数あり、中には社外のユーザーが利用できないものや、コミュニケーションの結果としての、アクションの状態が確認できるようになっていない、という課題がありました。そこで、Salesforceのプラットフォームを活用して「Corret」を構築したのです。

 

日揮グローバル株式会社 プロジェクトソリューションズセンター バイスプレジデント 兼 エンジニアリング本部長の阪本冨美男氏が、「Corretによって、これまでの悩みだった、さまざまな課題が解決しました。過去のコミュニケーションを素早く検索できるようになり、また、アクションのステータスの状況の可視化や、誰がどの程度の量のアクションを抱えているかといったボトルネックも分かるようになりますので、事が大きくなる前に対策を打てるようになります」と説明しました。

 

日揮グローバル株式会社 プロジェクトソリューションズセンター バイスプレジデント

兼 エンジニアリング本部長 阪本冨美男氏

 

Corretは、Salesforceが提供する標準コンポーネントをできる限り使うことで、スピーディーに開発ができました。阪本氏は、「ITのスペシャリストが限られる中で、標準機能やノーコードによるカスタマイズが比較的手軽にできるということは、我々にとって大きな魅力だと考えています」と評価しました。

 

IT・情報システム部門向けイベント「Connect, Personalize & Automate -すべての企業にデジタルの真価を-」開催1日目から豪華なゲストと白熱したセッションが繰り広げられました。Salesforceの幅広い製品群の活用をご覧いただけたかと思います。

 Day2では、基調講演でのSaaS起業家によるSaaS 選びのノウハウや、IoTのビジネス活用、非エンジニアでも参加しやすいSalesforce開発者コミュニティ、そしてDXによって実現するカーボンニュートラルの未来などについて、非常に有益なセッションが展開されました。

引き続き開催2日目の開催レポートもご覧ください!