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Salesforce経営陣がダボス会議に参加、新たな「環境資本主義」の重要性に言及

Salesforce経営陣がダボス会議に参加、新たな「環境資本主義」の重要性に言及

今年5月、2年半ぶりにダボス会議が開催され、Salesforceからはマーク・ベニオフ、CFOエイミー・ウィーバー、CIOのスザンヌ・ディビアンカなどが参加。持続可能な地球環境とグローバル経済に関する議論のハイライトを紹介します。

概要

  • スイスのダボスで2022年5月下旬、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会、通称ダボス会議が開催された。対面での開催は2020年1月以来。 
  • Salesforceからは、会長兼共同CEOのマーク・ベニオフ、最高財務責任者(CFO)のエイミー・ウィーバー、最高インパクト責任者のスザンヌ・ディビアンカなどが出席。各種イベントに参加し、持続可能な地球環境とより強固なグローバル経済の構築のためのSalesforceの取り組みについて発言した。

Salesforceは創業当初から、従来のタイプとは異なる企業を目指し、ビジネスのあり方を変革しつつ世界をより良くしていくことをビジョンとして掲げています。1999年に打ち出した1-1-1モデルでは、自社のテクノロジーや人材を活かして継続的に社会貢献を実践していくコミットメントが明確化されました。

Salesforceは20年にわたり、世界経済フォーラム年次総会(英語)、通称ダボス会議への参加を通じて、こうしたビジョンを推進し、現代の喫緊の課題についてさまざまなステークホルダーと対話を重ねてきました。 

今年のダボス会議でSalesforceは、創設当初から参画しているファースト・ムーバーズ・コアリション(First Movers Coalition)の取り組みの一環として、炭素除去テクノロジーによって生み出されるカーボンクレジットを1億ドル分購入する計画を発表(英語)しました。さらに、Davos Codes(英語)の活動として、非営利団体Arctic Basecamp(英語)と共同でガイド付きハイキングツアーを開催し、WEF参加者とダボスの若者が気候変動対策や大気汚染について話し合う場を設けました。

Davos Codesとは

Davos Codesとは、ダボスの学校に通う生徒に対してSalesforceが年間を通して実施している社会貢献プログラムです。科学・技術・工学・数学(STEM)のクラスやワークショップを通じて、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の推進を図っています。昨年は同様の取り組みをグローバルに展開し、ダボス、バンガロール、サンフランシスコ、東京で「Climate Action Lab」を実施しました。

Salesforceの経営陣が登壇したセッションでは、社会的信頼の再構築(英語)、環境保護(英語)、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けたイノベーションの加速(英語)、気候変動対策としての1兆本の植樹(英語)、ネットゼロ達成に向けた取り組み(英語)などをテーマとするパネルディスカッションが行われました。主なハイライトを以下にご紹介します。

新しい「環境資本主義」

今回ダボス会議で開かれた約270のセッションのうち、3分の1は気候変動とその直接的影響に関する内容(英語)でした。気候を専門とする世界的な科学者たちが警告(英語)してきたように、気候変動の壊滅的な影響を防ぐためには、世界全体で温室効果ガスの大幅な排出削減を「この10年で」実現しなければなりません。

「Safeguarding our Planet and People」のセッションでは、米国初の気候問題担当大統領特使を務めるジョン・ケリー元国務長官が、民間セクターのアジャイルな力で社会の転換を促していく必要性を呼びかけました。「いかなる政府も、この危機を自ら解決できるほど機敏に動くことはできません。世界中の民間セクターの積極的な関与が必要です」

▼今すぐ見る – 「Safeguarding our Planet and People 」

Salesforceの会長兼共同CEOのマーク・ベニオフのほか、Elizabeth Wathuti氏、Xie Zhenhua氏、John F. Kerry氏、Geraldine Matchett氏、Børge Brende氏が登壇し、より安全でレジリエントな地球環境を実現するために必要なイノベーションについて議論しました。

このセッションにパネリストとして参加したSalesforceの会長兼共同CEOのマーク・ベニオフは、気候変動対策で民間セクターの役割が鍵になると訴えました。「すぐにでも新しい環境資本主義へ進んでいかなくてはなりません。この会議に参加しているすべての企業が、ネットゼロと100%再生可能エネルギー化を実現すべきと考えます」 

さらに、Salesforceの取り組みについても言及し、「当社はすでにネットゼロと100%再生可能エネルギー化を達成しています。大切なのは、これが単なる今後に向けた目標ではなく、現在の話であることです。地球は我々にとっての今現在の重要なステークホルダーなのです」と語りました。

ベニオフの言葉にあるように、Salesforceは残余排出量のネットゼロを2021年9月に達成したほか、電力使用量に相当する再生可能エネルギーの調達を通じて、世界全体の事業活動で100%再生可能エネルギー化を達成しました。また、企業各社のネットゼロ実現を支援する製品として「Net Zero Cloud」を開発しました。この製品を利用してサステナビリティの取り組みを加速している企業には、Mastercard社(英語)、JetBlue社(英語)、TELUS社(英語)、Deloitte Germany社(英語)などがあります。 

Salesforceの最高インパクト責任者のスザンヌ・ディビアンカは、企業間でCO2排出量追跡の共通スタンダードを確立するための活動について、次のように説明しています。「当社はBlue Carbon Buyers Alliance(英語)というイニシアティブを創設しました。規制環境の整備が遅れているこの分野において、複数企業による自主的なコミュニティを立ち上げ、共通の言語、共通のスタンダードを創り出すための活動を進めています。民間企業同士で互いの責任を明確にし、透明性を確保するのが重要になります」

企業や組織に対する社会的信頼の再構築

2022年のエデルマン・トラストバロメーターによると、社会の不信感は史上最悪のレベルにあり、調査に参加した人のうち10人中6人近くが、「信頼に足る証拠が示されるまでは疑いの目で見る」と回答しています。世界全体の回復に向けて社会の連帯と多国間協力が欠かせない今、政府、企業、市民社会のリーダーは、市民や消費者、コミュニティからの信頼を獲得すべく最大限の努力をする必要があります。

Salesforceのプレジデント兼最高財務責任者(CFO)のエイミー・ウィーバーは、登壇セッションにおいて、企業が顧客や従業員との間でどのように信頼を構築できるかについて語りました。「お客様は、裏のない、信頼できる企業との取引を望んでいます。従業員も同様です。特に今は『大転職時代』『大退職時代』と言われているように、働く側がかつてなく大きな力を持つようになっています。従業員が働きたいと思うのは、信頼できる企業、何かあった時に自分を支えてくれる企業です」

Salesforceでは会社として、お客様との信頼構築を主眼に、倫理的で責任ある製品設計を推進してきました。2018年には、テクノロジーの倫理的・人道的な利用に関する推進室(英語)を立ち上げました。その狙いは、社会に害をもたらすのではなく社会をより良くするため、そしてあらゆる人の基本的人権を尊重する形でSalesforceのテクノロジーが使われるようにすることです。また、SalesforceのEthics by Design(英語)のモデルでは、製品の設計や開発プロセスに倫理とインクルージョンを最初から組み込んでいます。

エコプレナー(環境起業家)とイノベーションの力でSDGs推進を加速

環境問題や社会的課題の解決に注力するエコプレナー(環境起業家)は、気候危機への対応においても極めて重要な役割を果たす可能性を秘めています。しかしこれまでは、イノベーションを前進させるための資金集めが大きなハードルでした。そこで、世界経済フォーラム、Deloitte、Salesforceが約2年前に立ち上げたデジタルプラットフォームがUpLinkです。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の実現を目指して、起業家やコミュニティグループをはじめ、関心のある団体や個人の幅広い参加を促しています。

UpLinkは起業家の切り札

環境スタートアップ企業であるPachama社とDesolenator社は、UpLinkを通じてリソースと資金を獲得しました。

設立から2年が経過したUpLinkの成功を祝して、ベニオフはこう語りました。「我々は環境起業家による変革を支え、環境問題に力をそそぐ優秀な若き起業家を後押ししています」 

我々は環境起業家による変革を支え、環境問題に力をそそぐ優秀な若き起業家を後押ししています。

マーク・ベニオフ
Salesforce、会長兼共同CEO

Deloitteの最高経営責任者、Punit Renjen氏は、UpLinkが直接的にもたらした効果に賛辞を送っています。「我々がUpLinkを立ち上げた狙いの1つは、イノベーター、エコプレナー、そして彼らにとって必要なリソース、資本との間に存在する隔たりを埋めることです。UpLinkはまさにそのような分断されたニーズをつなげるプラットフォームとなりました」

さらにSalesforceは気候変動を抑えるため、他にもいくつかのイノベーション推進に取り組んでいます。2030年までに世界中で1兆本の樹木の再生と保全を目指す1t.orgプロジェクト(英語)に2年前の立ち上げ時から参画し、現在はSalesforce個社としてのコミットメントである1億本の保全・再生・育成という目標の半分近くまで進んだところです。

今後に向けて

2022年のダボス会議は閉幕しましたが、Salesforceはこれからも、こうした重要な対話を続け、ビジネスを通じた社会変革を推進していきます。

ダボス会議でのSalesforceの発表について詳しくは、こちらの記事(英語)をご覧ください。ダボス会議のその他のセッションはSalesforce+(英語)でご覧いただけます。

Salesforceのサステナビリティへの取り組み

Salesforceは、ネットゼロの企業としてカーボンニュートラルのクラウドを提供し、事業における再生エネルギーの使用率100%を達成しています。

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参考記事:Davos Codes: Connecting Students’ Passion for Their Planet with Technology (英語)

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