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マーケティング担当者向けの強力なツール「CDP」の活用方法

マーケティング担当者向けの強力なツール「CDP」の活用方法

企業にとっての、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)の価値とは何でしょうか。CDPの価値は、CDPを使用して各種の顧客データを関連付けることにより、すべてのチームが1つのプラットフォーム上でお客様とのやり取りを把握できるようになることにあります。

カスタマーデータプラットフォーム(CDP)は、現在のマーケティングテクノロジー分野において最も急速に成長しているカテゴリーの1つです。その理由を理解するためには、データとパーソナライゼーションに関するマーケティング活動の根本的な課題に目を向ける必要があります。

カスタマーデータプラットフォームの機能

現在は、お客様がビジネスの主導権を握る時代です。Amazonは、消費者が次に何を購入するかを予測しています。Netflixは、ユーザーが好きなコンテンツを高い精度で推奨しています。現在のお客様は、パーソナライズされたエクスペリエンスと迅速なサービスを期待し、自分たちの好みを理解することを企業に対して求めています。これを実現することは、企業にとってもはやマーケティング上の優位性ではなく、必須条件になっています。

お客様は、企業のWebサイト上でのエクスペリエンスを、モバイルアプリや実店舗でのエクスペリエンスにつなげていきたいと考えています。多くの企業にとって問題になるのは、同じお客様であっても、各種のマーケティングチャネルを利用する環境はそれぞれ異なっているということです。

お客様は、こうしたマーケティングチャネル間を移動する際に、一貫したエクスペリエンスが提供されることを期待しています。ほとんどのカスタマージャーニーは、3つ以上のチャネル(電子メール、Webサイト、モバイルアプリなど)から構成され、お客様はこれらのチャネル間をすばやくシームレスに移動する傾向があります。しかし、これらのデータ環境がリアルタイムに接続されている企業は多くありません。

その結果、お客様にとっては一貫性のないエクスペリエンスになり、マーケティング担当者にとっては、お客様に関する統一されたデータソースが存在しないということになります。

こうした問題を解決するのがCDPです。CDPは「接着剤」として機能します。CDPを使用すると、企業にとって意味のある方法ですべてのデータが結合されるため、パーソナライズされたエクスペリエンスを提供し、カスタマージャーニーをより簡単でシンプルなものにすることができます。

カスタマーデータプラットフォームの仕組み

CDPを使用して最初に実行するのは、企業が所有しているすべての顧客データを1か所に集めるという処理です。その際、多くのお客様とのやり取りが一意の顧客IDで集約されるだけでなく、これまではデータが共有されることがなかった複数のデータベースが結合されます(マーケティングツール、サービスソフトウェア、Eコマースエンジンなどのデータベース)。私たちはこれを、「顧客データ統合」と呼んでいます。

次にCDPで実行する必要があるのは、既存のお客様の個人情報(メールアドレスや携帯電話番号など)を、そのお客様の個人情報以外のデータ(匿名クッキーやモバイルデバイスIDなど)と照合するという処理です。これにより、特定のお客様に対してメールキャンペーンでカスタマージャーニーを開始し、そのお客様を自社のWebサイトへと誘導することができます。私たちはこれを、「デバイス間での個人情報の共有」と考えています。

CDPでお客様の統合プロフィールを作成したら、そのデータをリアルタイムで使用できるようにする必要があります。これにより、パーソナライズされたエクスペリエンスを提供できるようになります。そのためには、メール送信エンジン、デマンドサイドプラットフォーム、コンテンツ管理システムなど、各種のシステムに顧客データを接続する必要があります。

ここまでの説明をまとめると、CDPとは、データの収集、データの結合、データの活用、データインサイトの取得という主要なタスクを実行するためのツールということになります。

カスタマーデータプラットフォームの用途

ここでは、CDPの用途としていくつかの例を紹介しますが、マーケティング以外に関係するものもあります。

過去に購入した商品の広告の非表示

マーケティング活動におけるデータの最適な活用方法は、ターゲットとなるお客様を絞り込むことではない場合があります。むしろ、まったくターゲットを絞らないことの方が効果的な場合もあります。だれでも、ネット上で過去に購入した商品の広告が何度も表示されるということを経験しています。

このように、過去に購入した商品の広告が繰り返し表示されるのは、その企業のデータが結合されていないためです。マーケティング担当者は、マーケティングデータと購買データを関連付ける統合プロフィールを使用して、過去に購入した商品の広告を非表示にし、それによって浮いた予算を新規顧客の獲得や別の商品の広告に割り当てることにより、効率的に予算を活用できるようになります。

パーソナライゼーション

たとえば、企業のWebサイトにアクセスして新型の赤いオープンカーを閲覧し、そのサイトから離れたお客様がいるとします。この場合、そのお客様に関する情報を、メールやプッシュ通知などの方法で、パーソナライズされたキャンペーン(「本日Ford車に試乗すると、希望小売価格から500ドルが値引きされます」などのキャンペーン)に結びつけることができれば、大きな成果が上がる可能性があります。そのためには、そのお客様の個人情報をマーケティングデータに関連付け、マーケティングプラットフォームでそのデータを使用できるようにする必要があります。

CDPを導入すれば、統合プロフィールをすべてのチャネルで使用できるようになるため、お客様にとって関連性の高いパーソナライズされたキャンペーンを展開できるようになります。自分が興味を持っているキャンペーンを目にしたお客様は、「この赤いオープンカーに試乗してみよう」という気持ちになり、その企業のブランドに対して高い関心を持つようになります。

インサイト

マーケティング活動の推進力になるのは何でしょうか。それは、お客様に関する優れたインサイトです。しかし、ほとんどの分析システムは、他のシステムからは分離された状態で稼働しています。たとえば、メールエンゲージメントデータは、Webサイト解析データや広告表示データから分離されています。こうした顧客データをつなぎ合わせ、同じお客様とのやりとりをすべて関連付けるのは、非常に大変な作業です。

ここで、あるアウトドアショップが、お客様に対するマーケティング活動を(メールの送信や広告の表示など)、Eコマースデータ(購入履歴データ)やWebサイト上のインタラクションデータ(繰り返し閲覧した商品のデータ)に関連付け、コールセンターのサービス担当者がその情報を参照できるようにしたらどうなるでしょうか。

コールセンターのサービス担当者は、「このテントをオンラインで購入し、このハイキングブーツに関するキャンペーンメールを読み、年間250ドルから1,000ドルの買い物をしたお客様は、多くの場合このバックパックを購入する」などのように、少しデータを分析するだけで、それぞれのお客様に適した商品をその場で提案できるようになります。このように、それぞれのお客様に適した提案を行うことにより、時給15ドルのコールセンター担当者を年収 10 万ドルの営業マンに変身させることができます。これが、CDPの力です。

デジタルファースト時代のCDPの役割とは

IDC社が作成したこのホワイトペーパーでは、CDPの詳細と、デジタルファーストの時代に成功を収めるためのカスタマーエクスペリエンスを提供する方法について説明しています。

*この記事は2019年に公開し、2022年6月に更新しました。Salesforceの元プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントである Chris O’Haraが、この記事の取材と執筆を行いました。

Muralidhar Krishnaprasad

Muralidhar Krishnaprasadは、Salesforceのソフトウェアエンジニアリング担当Executive Vice Presidentです。

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