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Salesforce World Tour Tokyo 基調講演「次の世界へ。A New Day for Customer Magic」レポート

Connections to You 2022 この「瞬感」が未来をつなぐ Day1- 基調講演レポート

2022年11月29日と30日の2日間にわたり開催された、Salesforce World Tour Tokyo。1万7,000名が登録したSalesforce Japan年次最大のイベントの基調講演の模様をレポートします。

2022年11月29日と30日の2日間、ザ・プリンス パークタワー東京にて開催された、Salesforce World Tour Tokyo。3年ぶりに会場にお客様をお招きして開催したセールスフォース・ジャパン年次最大のイベントは、オンライン視聴者も含めると1万7,000名が登録する大きなイベントとなりました。

今回の開催テーマは「A New Day for Customer Magic テクノロジーでつながる新しい社会」です。社会が急激に変化し続け、私たちは豊かさを再定義する転換期を迎えています。顧客を中心に人・モノ・環境をつなぐ「Salesforce Customer 360」の最新テクノロジーによって、持続可能な豊かさを実現するメソッドが本イベントにて共有されました。

本ブログでは、顧客が求める「リアルタイムの期待」に応えることにフォーカスした基調講演「次の世界へ。A New Day for Customer Magic」の様子をお届けします。

Salesforceのエコシステムを支える顧客とトレイルブレイザーに感謝

~トレイルブレイザーMVP 中央電力 南氏 ご登壇~

セールスフォース・ジャパン 代表取締役会長 兼 社長 小出 伸一は冒頭、イベント参加者やお客様、Salesforceを活用して革新に挑戦するトレイルブレイザーの皆様に感謝の気持ちを述べ「これからのビジネスのあり方、環境問題にどう接するか、また新しい働き方をどのように追求していくのか。私どもの包括的なソリューションの新機能や進化についてこの2日間でお話をさせていただきたいと思います」と開会を宣言しました。

セールスフォース・ジャパン 代表取締役会長 兼 社長 小出 伸一

Salesforceのビジョンは「顧客と新しいカタチでつながる」です。このビジョンを後押ししている5つのコアバリューが「信頼」「カスタマーサクセス」「イノベーション」「平等」「サステナビリティ」。この5つのコアバリューをベースにSalesforceは成長と製品開発をしてきました。そして、CRMアプリケーションで9年連続世界一を獲得し、ポートフォリオを拡大しています。続いて、小出は日本の顧客事例をいくつか紹介しました。

農林水産省様では、給付金などの審査業務工数を50%削減しました。キユーピー様は商談件数を126%増大させた実績があります。NTTドコモ様はデジタルマーケティングのリードから商談への変換率を12.5倍に改善したという素晴らしいサクセスストーリーがいくつも出てくるようになりました」(小出)

2022年、Salesforceの売上見込は311億ドルと成長していますが、ビジネスを追求しながらも重視しているのが社会貢献活動です。助成金や従業員のボランティア活動、非営利組織への製品提供などに加え、脱炭素に取り組むスタートアップへの投資も行なっています。

また、セールスフォース・ジャパンでは、お客様やパートナー企業とともに東京・檜原村に植林活動を行っています。グローバルでは2030年までに1兆本の木を植林することを目標に掲げ、現在4,400万本が完了しています。製品としても、効率的に温室効果ガスの総排出量を分析できる「Net Zero Cloud」を提供しています。

続いて小出は、トレイルブレイザーの活動は欠かせないものであるとし、トレイルブレイザーMVPである中央電力株式会社の南 薫 氏を壇上にお招きします。

中央電力株式会社 コーポレートデザイン本部 コーポレートデザイン室 課長 南 薫氏

南氏は、産後育児の関係で時短勤務の派遣社員となったあとも、キャリアを諦めたくない思いがありました。未経験ながらSalesforce担当となり、実務をおこないながら独学でスキルを身につけていきました。その後トレイルブレザーコミュニティの存在を知り、エキスパートから機能や活用方法を学んでいきます。

同じようにキャリアに悩む方に対して南氏は「私も、限られた時間のなかキャリアアップを目指すことができるようになりましたので、『大丈夫だよ』と伝えたいです。弊社でもDX人材育成プランという取り組みを始めまして、若手社員にSalesforceのスキルを身につけてもらう取り組みを始めました」と自身のご経験を明かしながら、ライフイベントに左右されやすい女性のキャリアにとっても、人生の選択肢を豊富にするキャリア支援制度について語りました。(南氏のキャリアストーリーについて、詳しくはこちらをご覧ください。)

世界初リアルタイムCRMに「Salesforce CDP」発表

続いて、Salesforce 共同創業者 兼 グローバルCTOのパーカー・ハリスが登壇。特別な貢献をした人だけに贈られる「ゴールデンフーディ」を南氏に手渡した後、Salesforceのテクニカルセッションを展開しました。

ハリスは、コロナ禍によって訪れたリモートワーク、ハイブリッドワークなどが「新しい働き方の幕開け」をもたらしたと述べました。2021年にはコラボレーションツールであるSlackを買収し、それによってデジタル空間に会社の中枢機能を置くというコンセプト「Digital HQ」を展開するようになります。

SlackはSalesforce Customer360との統合を進め、よりスピーディーに業務が行えるようになっています。「たとえば、業務において何らかの助けが必要な場合、関係する専門家/ステークホルダーにすぐにコンタクトをとれます」(ハリス)。

Salesforce 共同創設者 兼 グローバルCTO パーカー・ハリス

近年は、パソコンだけでなく、人々が常に持ち歩くスマートフォンなどのデバイスによって多くの顧客接点が生まれ、さまざまなデータによる営業機会が生じています。たとえば、ECサイトであれば、顧客に対して即座に最適な提案をできるようなリアルタイム性のあるサービスを提供できるようになっています。

「顧客もパーソナライズされたリアルタイムな体験を求めています。パソコンでWebサイトを訪問する、モバイルアプリを利用する、リアル店舗に訪れる…など、異なるチャネルにおいてもリアルタイムに自身のことを理解してほしいと思っているのです」(ハリス)。

近年、SalesforceはアプリケーションをAPIで連携できるソリューション「MuleSoft」を買収し、ワークフローの自動化を実現する「Salesforce Flow」やAIによる分析・予測をサポートする「Einstein」もSalesforceと連携し包括的なサービス提供をしてきました。そしてハリスは、来年日本でもリリース予定のリアルタイムな顧客体験を実現するプラットフォーム「Salesforce CDP」を紹介します。

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)は、マーケティング活動の支援を行うものですが、顧客の期待に応えるためには、高度にパーソナライズされたビジネスプロセスを組み込む必要があります。Salesforce CDPは、絶えず生じるデータを即座に処理し、リアルタイムなCustomer360を実現します。

あらゆる顧客接点からのデータをプラットフォームに取り込み、それまでの顧客の行動履歴など、各種ビジネスアプリケーションから収集したデータを調和します。そしてリアルタイムに顧客の状況を理解し、最適な体験を提供するのです。ハリスは「Salesforceは現在、世界初そして唯一のリアルタイムCRMを提供できています」と語りました。

<期間限定 2023年1月13日まで>パーカー・ハリスによるSalesforce CDPのプレゼンテーションはこちらから!

リアルタイムなデータ収集・調和・分析・対応によって顧客体験を向上する

Salesforce CDPでは顧客の状況をリアルタイムに理解できるうえ、それに応えるためのワークフローもリアルタイムなデータを元に更新されます。

たとえば、在庫に問題が生じた場合、顧客の状況にあわせて最適な対応を提案します。AIのEinsteinも問題の緊急性や重要度をレポートします。

営業担当がオンラインで商談中にリアルタイムでヘルプをすることも可能になります。商談の会話をリアルタイムに取り込み、マネージャーやメンバーからリアルタイムなフィードバックを受け、またパーソナライズされた情報を得ながら商談の成功確率を高めることができます。カスタマーサポート担当であれば、リアルタイムのデータにあわせて臨機応変な対応が可能です。マーケティング向けには、顧客に対して最適なタイミングで適切なメッセージを送り、パーソナライズに貢献します。ECサイトにおいても顧客体験をリアルタイムにパーソナライズできます。

Salesforce CDPは、Salesforce製品だけでなく、データプラットフォームのSnowflakeや、広告プラットフォーム、AWSやGoogleなどに展開するAIモデルなど、外部のサービスとシームレスに連携して処理できます。外部で取得したデータを利用するために、わざわざコピーする必要はないのです。

ハリスは「Salesforce CDPは素晴らしいイノベーションです。これによってコストや時間が削減され、売上もアップします。あらゆるお客様に活用いただけると思っています。日本では来年に提供予定ですので、それによってどのようなことができるか、楽しみにしています」とコメントしました。

デジタルの力で未来の観光・感動を実現していくJTB

続いて、Salesforce CDPのデモンストレーションとして、JTBが描くリアルタイムなパーソナライズの取り組みが紹介されました。JTBでは、さまざまな顧客接点から集まる情報から、人の流れを生み出す宿泊、交通機関、飲食店、イベントなどの情報をリアルタイムに届けるなど、まるでコンシェルジュのように最適なおもてなしを提供するサービスの実現を目指しています。さらに、旅行を利用する顧客のみならず、地域の観光資源の開発、旅先での交流が継続するコミュニティ、社員同志の連携など、デジタルの力を使ってさまざまな可能性を広げていきたいと考えています。

再び登壇した小出は、株式会社JTB 代表取締役 社長執行役員である山北 栄二郎 氏を壇上に招き入れました。JTBの源流は、渋沢栄一が日本の発展のために観光業が重要であると考え、1893年に発足した「貴賓会」だといいます。その後、鉄道のチケット販売、旅行のエージェント、法人や地域、教育機関向けソリューションなど、時代とともにさまざまなサービスを展開してきました。

山北氏はデジタルがもたらす変化について「Webによって、お客様がこれまで持ち得なかったような情報や予約へのアクセスが圧倒的に良くなりました。我々はもっと個人の奥深くに入っていかなければと思っています。パーソナライズを超え、求めるものに即座に応えていきたいと考えており、そのためにはデータ活用が大事です」と語りました。

株式会社JTB 代表取締役 社長執行役員 山北 栄二郎氏

旅はそもそもリアルな体験で、それとデジタルがどう融合していくかが大事だという山北氏。今後のビジョンと、Salesforceへの期待について次のようにコメントしました。

「『つなぐ、つなげる』というのが我々のコンセプトです。お客様同士、我々とお客様、地域と法人など、いろいろなつながりを作っていくことで交流が生まれます。旅の目的に寄り添い、その目的を達成するため、リアルタイム性のある深い分析に基づく判断材料をお届けしていくというソリューションは必要です。(Salesforceは)そのためのデジタルプラットフォームとして今後もお付き合いいただければと思っています」

JTBのSalesforce活用について、オンデマンド配信はこちら

非金融領域でも経済的・社会的価値を創造するSMBCグループ

もう1社の顧客事例は、株式会社三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)です。SMBCグループでは近年、金融と非金融の垣根が低くなっていることから、自らの変革の必要性を感じており、その戦略にはデジタルが欠かせないと考えています。2800万人の銀行口座、5000万人のクレジットカード利用者という「信用」を伴う膨大なデータをグループで活用するための基盤の構築を進め、金融だけでないソリューションを提供しようとしています。

そこで、ビジョンデモでは金融業界に特化した「Financial Services Cloud」やコミュニケーションプラットフォームである「Slack」を活用することで、取引先の興味関心にあわせ、ビジネスマッチングを提供したり、リース更改時期をとらえて融資の提案の際にリースを提案したり、金融だけでないグループ事業の連携が実現した世界をご紹介しました。

小出は、株式会社三井住友フィナンシャルグループの取締役 執行役社長 グループCEOである太田 純氏を招き、ビジョンについて尋ねました。

太田氏は、付加価値の高いサービスを提供することが、企業の力につながるとし「たとえば、これまで、高齢のお客様には投資や相続の相談をお受けしていましたが、健康や介護、家族とのコミュニケーションにもお悩みがあるはずです。このような、非金融の課題へのソリューションを提供することが大事です。我々が果たす役割はどんどん変わっていくと思いますし、別に銀行でなくてもいいという発想です」と説明しました。

株式会社三井住友フィナンシャルグループ 取締役 執行役社長 グループCEO 太田 純氏

収益のみならず、社会課題の解決も企業の価値になると太田氏は言います。そのためにSMBCグループでは、気候変動や多様性、人権、働き方、金融リテラシー向上などの課題に向き合い、社会的価値を高めることにも注力していくとしています。今後について太田氏は次のように語りました。

「私たちにデジタル戦略はありません。すべての戦略がデジタルだからです。発想がデジタルで、戦略を遂行するツールもデジタルです。したがって、Salesforceは私たちにとって戦略の一部です。共に戦略を立て、実行していくことで経済的価値と社会的価値を創造していく、ベストパートナーの関係になりたいと思っています」

なお、金融関連の取り組みには、Salesforce World Tour Tokyo 2日目の注目セッションとして、三菱UFJフィナンシャル・グループと第一生命保険をお招きした「生涯を通じた顧客からの信頼獲得 金融DXのその先へ」も別記事にてレポートしていますのでぜひご覧ください!

<期間限定>必見!3つの「特別講演」もお見逃しなく! オンデマンド配信はこちらで!

【特別講演 1】経営陣3者、CEO x CFO x CIOの哲学やホンネを議論!!

「ビジョン」か、「財務」か、逆境に立ち向かう、攻めと守りの経営の裏側とは

出演)

  • 野原 昌崇氏 株式会社ビックカメラ 執行役員デジタル戦略部長
  • 河村 芳彦氏 株式会社日立製作所 執行役副社長 CFO兼CRMO
  • 古森 茂幹 セールスフォース・ジャパン 取締役 副社長

【特別講演2】第一線で活躍する女性のキャリアの考え方とは?

リーダーシップの本質とはダイバーシティにおける日本社会の課題と可能性

出演)

  • 西野 英美氏 オルビス株式会社 執行役員 ブランドデザイン・QCD 担当
  • 宮崎 裕子氏 スリーエム ジャパン株式会社 代表取締役社長
  • 浜田 宏氏 アルヒ株式会社 代表取締役会長 米国アリゾナ州立大学 サンダーバードグローバル経営大学院 評議会共同議長
  • 酒寄 久美子 セールスフォース・ジャパン イクオリティオフィス・ディレクター

【特別講演 3】リスキリングの土壌を形成するには?

働き方改革、Inclusion & Diversity活動、そしてリスキルの土壌醸成に向けた挑戦

出演)

  • 篠原 淳氏 アクセンチュア株式会社 Managing Director
  • 古関 倫子氏 アクセンチュア株式会社 金融サービス本部 マネージャー
  • 檀原 望氏 アクセンチュア株式会社 テクノロジー本部 CFA アソシエイトマネージャー

オンデマンド配信中

セールスフォース・ジャパン年次最大のイベント「Salesforce Wolrd Tour Tokyo」の人気セッションを期間限定でオンデマンド配信中。この機会にぜひご覧ください。

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