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【見逃し配信開始】タニタ社長など登壇。「AIエージェント×人」の理想形を説いた「Agentforce World Tour Osaka」

セールスフォース・ジャパンが7月に開催したAIエージェント関連イベント「Agentforce World Tour Osaka」の主要セッションの見逃し配信を開始しました。企業変革の最前線を当事者の声で紹介します。

セールスフォースが世界各地で開催してきた「Salesforce World Tour」は、今年から「Agentforce World Tour」として展開。AIエージェント関連のセッションを豊富に揃えました。

日本では今年、東京での開催(11月)に先駆けて、まず大阪で開催。製造・卸売・小売・不動産、医療・医薬関連など関西主要産業をはじめ、さまざまな現場におけるAIと人との共創事例を紹介しました。

本記事では、幾多あるセッションの中でもとくに人気を集めた6つのユーザー事例セッションのポイントを紹介します。詳細はぜひアーカイブ映像をご覧ください。

Agentforce World Tour Osaka

2025年7月2日開催「Agentforce World Tour Osaka 2025 AIと人が共に働く時代へ 即戦力AIエージェントの可能性」のアーカイブ配信をご覧いただけます。

 Pick up session 1

【アビームコンサルティング】AIエージェントで戦略顧客の売り上げが115%

まずセールスフォース・ジャパンの製品統括本部プロダクトマネジメント&マーケティング本部プロダクトでマーケティングディレクターを務める前野秀彰が登壇。「AIエージェントが膨大なデータを分析し、人が気づかない洞察を提供することで、より深い顧客理解と価値創出が可能になる」と説明しました。

深い顧客理解のために不可欠なのが、Salesforceプラットフォームの中でAIエージェントを自在に活用できる環境を提供する「Data Cloud」。この「Data Cloud」を活用した従業員向けエージェントで成果を得ているのが、アビームコンサルティングです。

▶ アビームコンサルティング株式会社の事例を読む

同社のエンタープライズトランスフォーメーションビジネスユニットCXセクターの森田晃弘シニアマネージャーは「お客さまの『価値創出サイクル』を回すためには、トップパフォーマーの顧客担当役員が持つDNAを、一貫性と再現性のある形で全社に展開していくことが不可欠」とAIエージェント活用の背景を説明しました。

同社では「Sales Cloud」を中心に、「Data Cloud」「Agentforce」「MuleSoft」などを統合的に活用しています。「Data Cloud」には名刺情報やニュース記事、顧客満足度の調査結果、手がけたプロジェクト実績など、社内外の多様なデータを集約。それを「Agentforce」が利用し、戦略的なアカウントマネジメントを支援する仕組みを実現しています。

デモンストレーションでは、BIツール「Tableau」のダッシュボードで戦略アカウントの状況を確認。提案が停滞している顧客の中期経営計画を「Agentforce」が分析し、具体的なアクションにつなげる様子が紹介されました。

また、森田シニアマネージャーは、実装において向き合っている「3つの苦難」を説明。それでも、戦略アカウントの売上成長は前年度比115%を記録するなど、成果が出始めていることを明かしました。

セッションでは、その後にセールスフォース・ジャパンで製品統括本部プロダクトマネジメント&マーケティング本部プロダクトマーケティングシニアマネージャーを務める王小芬が、「Agentforce」のライフサイクル全体を支援する最新機能を紹介。特にガバナンスの機能強化で、セキュアなデータ活用が実現できることを示しました。

実践から学ぶ、AIエージェント×データ活用による付加価値創出の秘訣

アビームコンサルティングのセッションアーカイブ配信をご覧いただけます。

Pick up session 2

【パナソニックEWネットワークス】「見積もり業務改革」営業を間接業務から「解放」

冒頭に登場したセールスフォース・ジャパンで製品統括本部プロダクトマネジメント&マーケティング本部プロダクトマーケティングマネージャーを務める李聖年は、営業向けAIエージェントとの協業が、コスト削減と売上成長の両立を可能にすると強調。

そのうえでAgentforce for Sales」の2つのAIエージェントを解説。見込み客を獲得する「Sales Development」と、営業チームのスキルを教育する「Sales Coaching」によって、セールスフォース自身でも導入効果が出ていることも紹介しました。

Revenue Cloud」については、営業に代わって見積書を作成する「Quoting Agent」の機能を、セールスフォース・ジャパンのプロダクトマネジメント・シニアマネージャーを務める平川武雄がデモンストレーションを交えながら解説しました。

続いて、パナソニックEWネットワークスの青木節夫IT推進課課長が登壇。同社の取り組みについて、セールスフォース・ジャパンのソリューション統括本部製造ソリューション統括部でLead, Account SEを務める石黒遼太朗との対話形式で紹介しました。

パナソニックEWネットワークスの見積パターンは物販だけでなく工事、役務、保守サービスなど多様で、工事については建設業法が毎年改正されるためシステム化が困難。基幹システムの再構築時に見積もりシステムも検討したものの、適合するソリューションが見つからず継続利用を決定した経緯があります。

その後、新たに登場したRevenue Cloud」のパイロットプログラムに参加したところ、フィット&ギャップ分析では、約190の要件のうち9割近くが標準機能で対応可能と判明。青木課長は「以前の『Salesforce CPQ』検討時は大きなギャップがありましたが、今回はほぼ実現できることに驚いています」と話しました。

また、青木課長は「誰もが同じ見積もりを間違えずに作れる世界」を目指しているといい、「過去の提案履歴や他の営業の成功事例を参考に、AIエージェントに見積もりをお願いして、営業はより営業活動に集中できるようにしたいです」と、AIと人の理想的な協働の姿を語りました。

最後にデモンストレーションを実施。見積もり以降の収益管理プロセス全体がSalesforceプラットフォームで一元管理される様子を、セールスフォース・ジャパンのソリューション統括本部製造ソリューション統括部でAssociate, Account SEを務める肥後美沙乃が実演しました。

営業と収益管理を進化させるAI活用術

パナソニックEWネットワークスのセッションアーカイブ配信をご覧いただけます。

Pick up session 3

【大阪ガス】Agentforceで次世代のコンタクトセンターを。運営費、年20%減狙う

最初に登場したセールスフォース・ジャパンの製品統括本部プロダクトマネジメント&マーケティング本部でプロダクトマーケティングマネージャーを務める三宮健太が、カスタマーサービスアプリケーション市場におけるセールスフォースのマーケットポジションを紹介。

シェアは世界で39%、日本はさらに高い49.6%と高水準で、三宮はその大きな理由として「Service Cloud」にデータ予測AI、文章生成AI、会話型支援AIといったAIが組み込まれていることを強調。

電話対応のデモンストレーションでは、AIがリアルタイムで次に案内する内容を表示し、会話がネガティブになると自動的にアラートが上がり、スーパーバイザーが生成AIによる要約で会話全体を素早くキャッチアップする様子を紹介しました。

続いて「Agentforce」を実装した複数の事例を挙げ、その1社である大阪ガスの德永博幸・経営企画本部DX企画部SaaS推進チーム副課長を壇上に招きました。

大阪ガスでは、2022年から通信事業「さすガねっと」を展開し、順調に契約数を伸ばしていますが、システムがスモールスタートで構築されていたため、コンタクトセンターでの対応が多くなり、熟練オペレーターの不足が課題となりました。

そこで德永副課長のチームが分析を行った結果、問い合わせ全体の70%をトップ10の内容が占めていることが判明。この部分を「Agentforce」で対応する方向性を定めました。オペレーター部門へのインタビューを実施したうえで、どの業務をAIエージェントに任せるのかを決め、販売計画に伴う増員数を算出。現在PoCを実施中です。

また、導入効果のシミュレーションも実施し、エージェント対応25%、有人対応75%の体制により、年間約20%の運営経費削減が可能であると見込んでいます。さらに、「Service Cloud」の標準機能で、マルチ言語と24時間対応、応答率向上といった顧客体験向上につながる効果も期待されています。

德永副課長は「Salesforceを使って働き方改革、機動的な業務改革を進めています。さらに『Agentforce』が追加され、労働力の確保と顧客体験の向上が経営基盤の深化につながっていくと考えています」と話しました。

実例に学ぶ!次世代AIエージェントではじめるカスタマーサービス改革

大阪ガスのセッションアーカイブ配信をご覧いただけます。

Pick up session 4

【ムラサキスポーツ】直面した2つの課題を「Marketing Cloud」で突破

まずはセールスフォース・ジャパンの製品統括本部でDirector, Head of Marketing Cloudを務める島田崇史が、AI時代の顧客体験の作り方を説明。

続いて、ムラサキスポーツの佐藤はじめ・執行役員営業統括本部副本部長が、顧客体験の向上に向けた取り組みを紹介しました。同社はスポーツの根源を「遊び」と捉え、「『遊びでつながる』をデザインする」をコンセプトに事業を展開。モノの提供にとどまらない顧客体験を提供することで、結果的に顧客のライフスタイルを豊かにしてファン創造につなげようとしています。

小売業の枠を超えて顧客体験を提供したいという方向性を具現化する中では、2つの大きな課題に直面したといいます。

1つは、顧客データの活用不足。同社はポイントシステムと連動したアプリを運用しているものの、多岐にわたる商品カテゴリーを扱っているのに加え、スクールやイベントなども運営。すべての顧客情報を統合できず、趣味嗜好に合わせたパーソナライズされた情報の提供や施策ができていない状況でした。

もう1つの課題は、自社ECのコンバージョンレート改善。ECのリプレース後、ユニークユーザー数は大きく伸びているものの、情報収集後に他のサイトで購入されることが少なくなかったのです。

解決のため、総合的なマーケティングプラットフォームが必要と判断し、「Marketing Cloud」を導入。POSデータと顧客データ、ECデータを顧客IDで統合し、ライフタイムバリューを高めていく顧客体験が提供可能になりました。特徴的なのは、イベントやスクール参加といったサービスの行動履歴にも、顧客IDに紐づけている点です。

佐藤執行役員は、計画中の具体的な施策も説明。AIを活用した顧客体験の将来展望も語りました。顧客からの支持が高いスタッフのスキルやノウハウを学習した「AIクローン」による接客や、契約アスリートのノウハウを活用したコーチングサービスなどを構想。

「モノだけでなくコト、つまり顧客体験を向上させることが私たちのアイデンティティであり存在価値。近い将来、『Agentforce』で必ず実現できると期待しています」と、AI活用への強い意欲を示しました。

セッションの最後には島田が再登壇し、セールスフォース米国本社が6月にシカゴのイベントで発表した「Agentic Marketing」の未来を紹介。従業員向けエージェントと顧客向けエージェントが活躍することによる革新などを解説しました。

売上とファンを生む!AI時代に変わる顧客体験のつくり方

ムラサキスポーツのセッションアーカイブ配信をご覧いただけます。

Pick up session 5

【赤ちゃん本舗】7つの観点で作成したTableauダッシュボードの威力

赤ちゃん本舗のセッションでは、同社の光本圭一営業DX部統括統括部長が登壇し、データドリブンな組織づくりの実践例を共有しました。

先立ってセールスフォース・ジャパンの製品統括本部プロダクトマネジメント&マーケティング本部でプロダクトマーケティングマネージャーを務める杉村麟太郎が、わずか30%の企業しかデータに基づくアクションを実践できていないという調査結果を提示。システムの分散とデータの分断が大きな要因となっていることを指摘しました。

この解消に貢献する「Tableau」の特徴として、杉村は「全社的なデータ活用基盤」、「文化醸成への取り組み」、「活発なユーザーコミュニティ」の3点を説明しました。

これらの特徴を踏まえた多くの成功事例がありますが、その1社が赤ちゃん本舗です。同社は全国127店舗とECサイトを展開し、会員売上比率が80%を超えており、多くのデータを保有しています。光本統括部長は「異なるレポートが散在し、各担当者が異なるフォーマットで資料を作成していました」とかつての課題を説明します。

さらに、妊娠から出産、育児まで「週単位で必要な情報が変わる」という特性があることから、適切なレコメンドによって顧客に寄り添うには、豊富なデータを活用したきめ細かなマーケティングが必要です。

そこで従業員にダッシュボードを提供することになり、光本統括部長は「ダッシュボードとは何か」を考察。自家用車、F1カー、飛行機では必要な計器や配置が異なるように、「ロールとレイヤーに応じたダッシュボードを提供することが重要」と説明しました。また、「ダッシュボードを作ることとは、事業を見る目線を整理すること」とも解説。

そのうえで光本統括部長は「7つの目」の観点で作成したダッシュボードと、「Tableau Pulse」を活用したAIによる自動分析を紹介。そして「全員が意思決定者。スキルに関係なく、みんなが同じ情報を持って判断の質やスピードを上げていきたいと考えています」と強調しました。

最後に杉村が、「Tableau Pulse」の最新機能をデモンストレーション。モバイルの画面を示しながら、「グラフを読み解く必要がなく、文章で理解できる」「信頼できるKPIを認証マークで管理し、信頼性の高いデータ利活用を実現」「生成AIによって自由な質問も可能で、行動につながるインサイトを獲得」といった特徴を示しました。

全員が意思決定者に!AIが支えるデータ活用

赤ちゃん本舗のセッションアーカイブ配信をご覧いただけます。

Pick up session 6

【タニタ】社員の創造性を解き放つSlackの力

冒頭、セールスフォース・ジャパンの製品統括本部プロダクトマネジメント&マーケティング本部でプロダクトマーケティングマネージャーを務める鈴木晶太が、「Slack」がもともとゲーム会社の社内コミュニケーションツールとして生まれ、発展してきた歴史を振り返り、デモンストレーションではSalesforceと「Slack」の連携、そして議事録作成や多言語翻訳など、業務の流れに自然に組み込まれたAI活用を紹介しました。

そのうえで、タニタの谷田千里代表取締役社長が登壇。「Slack」がもたらす組織改革の実例を語りました。

谷田社長は「商品アイディアが分散し、企画がまとまりきらないということがしばしば見受けられました」と課題を率直に語りました。解決策として、開発担当者からの推奨を信じて「Slack」導入を決定したといいます。

Slack」導入後、谷田社長は同じ関西に本社を構えるゲーム会社のSNKへの訪問を前に、「何かネタない?」と軽い気持ちで「Slack」に投稿したところ、活発に議論が展開されたといいます。SNKは格闘ゲームで有名で、議論して出たアイデアをもとに商談。結果として、病院向け体組成計に格闘ゲーム機能を搭載した前代未聞の製品が誕生したのです。

その後も、SNKのNEOGEO(1990年代の家庭用ゲーム機)デザインの温湿度計をクラウドファンディングで成功させるなど、次々とコラボレーションが拡大していきました。

プレス発表の準備も「Slack」で進められ、社員の提案でゲームキャラクターの体組成データを測定。基礎代謝が8000kcalを超えるという結果を発表し話題を呼びました。

谷田社長は「『Slack』がなければ、ここまでいけなかったでしょう」と振り返ります。AI活用については、開発の過程におけるコミュニケーションでは積極的に取り入れる考えを示しました。

最後にイベント参加者へのメッセージを谷田社長に求めると、「AIとSlackで社内が活性化します。社内のやり取りに使うと、実はいい意見を持っている人の意見を引き出せるので、ぜひ使ってみてください」と実体験に基づいた推薦の言葉をいただきました。

Work OS進化論:Slack × AIが生み出す次世代の職場

タニタのセッションアーカイブ配信をご覧いただけます。

セッションの全てを録画映像で

記事で少しでも興味をもっていただいた人は、よりきめ細かく、そして臨場感たっぷり録画映像もぜひご覧になっていただき、みなさんのビジネスに活かしていただければ幸いです。

Agentforce World Tour Osaka

2025年7月2日開催「Agentforce World Tour Osaka 2025 AIと人が共に働く時代へ 即戦力AIエージェントの可能性」のアーカイブ配信をご覧いただけます。

最後に一つご案内をさせてください。冒頭に記述したように、本記事で紹介したイベントの東京版といえる「Agentforce World Tour Tokyo」を2025年11月20-21日にハイブリッド開催します(開催場所は東京・港区)。

そこでも、複数のセッションを予定していますが、今回初めてみなさんからのご講演を募集します。「Agentforce World Tour Tokyo」のステージで、みなさんの「テクノロジー×ビジネス」の知見を披露したいという方、ぜひご応募ください。詳細は下記の記事をご覧ください。

【講演者募集】「Agentforce World Tour Tokyo」で、あなたの知見をシェアしませんか?

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