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【AI実態調査】61%は、生成AIのビジネス活用を想像できていない

【AI実態調査の衝撃】61%は生成AIのビジネス活用を想像できていない

Salesforce Japanが独自に行った生成AIの理解度調査の一部を紹介します。約6割の企業が具体的なビジネス活用が想像できていない実態や、想像できている企業がどんな業務をイメージしているかなどの実態が浮き彫りになりました。

昨年から本格的に始まった AIブーム。でも、実際には日本企業でどこまでビジネスへの使い方の理解が進んでいるのか、疑問に思ったことはありませんか?

そこで Salesforce のブランドマーケティングチームでは、「日本の方々は、生成AIのユースケースをどこまで理解しているか?」を明らかにするため、全国調査を実施しました。調査内容の一部、特徴的な内容をお伝えします。

調査対象

今回の調査は、以下の条件で実施しました。

  • 実施日 : 2024年5月
  • 手法 : インターネット調査
  • エリア : 日本全国
  • 対象者 : 20ー69歳の有職者および企業においてデジタルサービスやツール導入に関与する人
  • 対象数 : 2,000名

61%は「なんの想像もついていない」

この調査では、「AIによって解決できるビジネス領域」をどの程度想像ができているのかを聞いています。その結果、61%は「具体的にビジネスにおいてどの領域で活用ができるのかまったく想像がついていない」でした。

【AI実態調査の衝撃】61%は生成AIのビジネス活用を想像できていない

想像がついている39%の属性においても、最も想像がついているのが総務や事務領域(図では「コーポレート因子」として分類しています)で、そのほかはマーケティングやR&D、データ分析といった領域で想起されていることがわかりました。

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想像のついている39%も認識は多岐で分散

では、想像がついている39%の人々の中には、具体的にビジネスに貢献する領域が想像できているのでしょうか?

調査結果からは、実態はそうではなさそうです。以下の結果は、ユースケースをこちらから示した選択式の設問ではなく、生成AIで解決できそうな領域を純粋想起で回答してもらった内容をクラスター化したものです。

結果を紐解くと、「ChatGPT」の影響が大きいせいか、文書作成や定型業務の自動化が上位に上がっています。ただ、その差はわずか数ポイントであり、注目すべき大きな課題は「個人の作業負荷を下げるもの」が大半ほとだということです。

本当に個人の作業負荷を軽減することだけがエンタープライズ向けのアプリケーションの役割とは思いにくい部分もあります。

想像のついている39%も認識は多岐で分散

日本のリテラシーが低いことが理由ではない

このような調査結果が出ると、「日本企業(の意識)は遅れているから」と思うかもしれません。

しかし、これはリテラシーだけの問題ではなく、生成AIの登場にエンターテイメント性が伴ってしまっていたことも理由に挙げられます。

世界でもまだ適切な理解が得られていないと言えるでしょう。たとえば先日公開した記事で「(AIは)なんでもできる」という過剰な宣伝によって、米国では今後1年間にAIへの支出を増やす予定のグローバル企業の割合は、前年の93%から63%に減少。ハイプサイクルの幻滅の谷に落ちているとの報道(Bloomberg)」という情報を取り上げました。

大規模化する言語モデルで実行できるわかりやすい生成結果の影響は、非常に大きいとみています。Salesforce AI Research の Blog「The Ever-Growing Power of Small Model」でも、ビジネスに対する問題点として以下のように述べています。

“過去 2 年間に世間の関心を集めた見出しを考えてみましょう。その多くは、非常に大規模なモデルが、考えられるほぼすべてのトピックに関する質問に答え、さらには単一のプロンプトで複数のドメインにまたがってさえも答える、魔法のような能力を持っているというものです。

たとえば、配管に関する質問にシェークスピア風に答えたり、1812 年の戦争の概要を Jay-Z の歌詞のように表現したりといった、ソーシャルメディアでよく見られる人気の寄せ集めの例がそうです。

これらは楽しいパーティートリックを構成し、AI の力を広めるのに大いに役立っています。しかし、エンターテイメントや目新しさよりも生産性の方がはるかに重要なエンタープライズ ユーザーにとって、それはほとんど必要としない要素です。”

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資料をダウンロードして、ぜひ今後の業務にお役立てください。

大規模モデルから、ユースケースを特定した小規模モデルへの可能性

そのため、世界においても「大規模言語モデル」が企業におけるビジネスの特定領域の課題を解決するのに、必ずしも最適ではないとも考えられるのです。

「大規模」という言葉はあくまでも相対的なものであり、コストや管理性、信頼性が何よりも重要となるエンタープライズアプリケーションにおいては、大規模なパラメーターは重要ではなく、むしろ過剰な規模はデメリットをもたらすことも考えられるでしょう。

少し古い情報ですが、実際 GPT-4には推定で1兆7,600億ものパラメーターがあると言われていますが、先日公開した記事Salesforce の CRM 向け LLM ベンチマーク」から実際にベンチマークモデルを探索してもらうとわかるように、特定のビジネスユースケースであれば小型モデルがパフォーマンスやコスト、スピードに有利な場合もあるのです。

小型モデルが企業にとって有意に働く理由は以下のようなことが考えられます。

  • 小規模なモデルは、最適なパフォーマンスを達成するために必要な計算能力とデータを大幅に削減できる。
  • モデル規模の縮小は、より合理的で効率的なトレーニングプロセス、より迅速な反復とテストの能力、より広範な検証の可能性につながる。
  • 小規模なモデルは、特定のドメインやタスクに特化するために、より効果的に調整することができる。
  • 小規模であれば、組織はすでに知っていて信頼できるデータに集中することができ、著作権、有害性、プライバシー、予測不可能性といった落とし穴を避けることができる。

ビジネスのどの領域に対してどのモデルが最も合理的な選択なのかを明らかにする時代はまだ訪れていません。ですが今後、企業のAI戦略は、解決したいビジネスユースケースをどれだけ特定し検証できるかが重要になるでしょう。そのスタートラインは、日本であっても同じ状況なのです。

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