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中小企業が知っておきたい労働基準法改正のポイントと対策

中小企業が知っておきたい労働基準法改正のポイントと対策

2016年4月と2019年4月に改正された労働基準法が施行されます。特に対策が重要視されるのが、長時間残業に対する賃金割増です。中小企業経営に関連する項目をまとめてご紹介します。

(2016年3月1日訂正)
下記に記した、労働基準法改正法案は、現在「継続審議」扱いとなっているとのことで、労働基準法改正案の実施は未定となっています。

2016年4月と2019年4月に改正された労働基準法が施行されます。今回の改正には、中小企業が大きな影響を受ける可能性のある内容も含まれています。そのなかでも、特に対策が重要視されるのが、長時間残業に対する賃金割増です。今からきちんと準備をしておかないと、施行後に人件費の上昇に悩まされる……ということになる可能性もあります。改正に備えて中小企業が今やっておくべきことをご紹介します。

労働基準法の改正で何が変わるのか?

今回の労働基準法改正では、7つの項目について改正が行われます。これらのうち、下記「1」は2019年(平成31年)4月から、残りの「2〜7」は2016年(平成28年)4月に施行される予定です。それぞれの改正点の概要は以下のとおりです。

1.中小企業でも月60時間超の残業は賃金割増を50%以上に

大企業の場合、「月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を50%以上にする」ことが定められていますが、これまでは中小企業に対しては猶予措置が取られていました。この猶予措置が撤廃され、中小企業であっても50%以上の割増賃金率が適用されるようになります。

2.長時間労働についての助言指導強化

長時間労働に対する助言指導にあたり、「労働者の健康が確保されるように特に配慮しなければならない」旨が規定されます。

3.有給休暇取得の義務付け

10日以上の年次有給休暇が与えられている労働者に対して、そのうち5日を年次休暇の付与後1年以内の期間に時季を定めて与えることが、使用者に義務付けられます。なお、労働者が時季を指定した場合や、計画的付与によって取得された有給休暇の日数については、指定の必要はありません。

4.労働時間などの改善のための取り組みを促進

企業単位での労働時間などの設定改善に関する労使の取り組みを促進するため、企業全体を通じて設置する労働時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年次有給休暇の計画的付与等に係る労使協定に代えることができるようになります。

5.フレックスタイム制の精算期間上限を延長

フレックスタイム制では、1か月の「清算期間」における総労働時間を定め、その範囲内でそれぞれの日の労働時間を柔軟に設定できます。この精算期間の上限が現在の1か月から3か月に延長されます。

6.企画業務型裁量労働制の対象業務を追加

企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」が追加されます。また、対象となる労働者の健康を確保するための措置を充実したり、手続きを簡素化したりといった見直しが行われます。

7.高度プロフェッショナル制度の創設

職務の範囲が明確で、一定の年収(少なくとも1,000万円以上)の労働者が、高度の専門的知識を必要とする業務に従事している場合、健康確保などの措置を取ることや、本人の同意や委員会の決議等を得ることを条件に、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定の適用除外とできます。

なお、制度対象者の在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その労働者に必ず医師による面接指導を受けさせなければなりません。

改正によって中小企業が受ける影響は?

これらの改正のうち、中小企業にもっとも影響が大きいのは、1つ目の「月60時間超の残業に対する賃金割増」ではないでしょうか? もし、月60時間を超えて残業をしている従業員を数多く抱えている企業の場合、割増分の人件費が改正法の施行後に一気にのしかかることになります。

一人ひとりの残業時間が長くなるほど人件費が上昇するとなると、それを抑えるには各従業員の残業時間を月60時間未満にする必要があります。しかし、現実的な業務量を考えるとこのままでは難しい、だからといって新しく人材を採用する余裕もない……と頭を悩ませている企業も多いかもしれません。改正によって中小企業が受ける影響は、決して小さくはないのです。

どのような準備や対策が必要なのか

しかし、幸いなことにまだ少し時間があります。今回の改正労働基準法の多くは2016年4月からの施行ですが、この残業時間に対する賃金割増の規定だけは3年遅い2019年4月の施行となっています。今からきちんと準備を進めれば、施行開始までに人件費上昇への対策を取ることが可能なのです。

では、具体的にどのような準備や対策が必要となるのでしょうか? 従業員1人ひとりの残業時間を減らし、かつ従業員の人数を増やすこともなく、現在と同じ業務量をこなすためには、それぞれの業務にかける時間を短縮するしかありません。

そのためにはまず、現在の業務の進め方を見なおしてみる必要があります。そして、時間のムダとなっている箇所を見つけ、どうすればより効率的に進めることができるかを検討するのです。小さな時間のロスも、積み重なれば大きなムダになります。業務プロセスの中にひそむ小さなムダを見つけ、それを解消していくことが効率化のためには不可欠となります。

労働者の平均年齢上昇も課題

じつは、労働基準法改正への対策以外にも、業務の効率化が重要となる理由があります。それが労働者の高齢化です。

厚生労働省が実施した「平成26年度賃金構造基本統計調査」によると、労働者の平均年齢は中企業が男性42.3歳、女性40.5歳、小企業では男性44.2歳、女性41.7歳でした。平成16年の同調査では、中企業が男性40.8歳、女性37.9歳、小企業では男性42.3歳、女性39.9歳なので、この10年でそれぞれ1.5歳から2歳ほど平均年齢が上昇していることになります。

今後も平均年齢が上がっていく可能性が高いことを考えると、長時間労働は働く人たちにとって大きな負担となります。そしてそれは、離職率の増加などにつながるリスクもあるでしょう。だからこそ、長時間がむしゃらに働くことで成果を出す体制ではなく、短い時間で効率的に業務をこなす体制に変えることが求められています。

つまり、「1人あたりの残業時間が60時間を超えることはないから対策はしなくても大丈夫」と考えている企業にとっても、業務の効率化は早急に取り組むべき重要な課題ということなのです。

環境を整えることが、生産性向上の第一歩

効率的に業務を進めることが大切だと分かっていても、すでに定着している仕事の進め方やルールを変えるのは簡単ではありません。何を改善すればよいのか、どこから手をつけたらいいのか見当がつかない……というケースも多いのではないでしょうか。

業務のムダを省き、生産性の向上につなげるために役立つ方法のひとつが、リモートワークの導入です。「会社にいなければ仕事ができない」という環境は、移動時間などのロスが生まれる要因となります。

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多くの人がスマホやタブレットを持ち歩く時代、これらを活用することが、効率化のための重要な鍵となります。場所を選ばすどこにいても仕事を進められる環境を築くことが、生産性向上の第一歩となるのです。

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参考:

  • 平成16年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況 企業規模別(厚生労働省)
  • 平成26年賃金構造基本統計調査 結果の概況 企業規模別(厚生労働省)
  • 労働基準法等の一部を改正する法律案の概要(厚生労働省)
  • フレックスタイム制の適正な導入のために(東京都労働局)

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