“好きなことを仕事にしている楽しさが一番”
基本的に野球が好きなので、努力というより「楽しいからやる」から始めて、その延長でここまでやってきています。「プロ野球選手になりたい」から始まり、その都度その都度で目標を更新し続けてきました。
小さい頃はあまりガツガツ練習するタイプではなかったのですが、身体も大きくて何でもある程度はこなせるタイプではあったので、あまり努力しなくてもできることが多かったと思います。それでも上のレベルになれば上手い選手がどんどん出てきて、練習しないと超えられないこと、自分がやらなければいけないことがたくさん出てきました。それに対して「もっと上手くなりたい」というシンプルな気持ちで取り組み、それは小さい頃も今も変わりません。僕より打てる人、僕よりすごい球を投げる人を超えていけるように、とずっと頑張っています。


成功するかどうかは必ずしも努力だけとは限らないし、必ずしも才能だけとも限らないんですけど、続けられた要因はやっぱり「好きだったから」だと思います。
僕は今でも野球が好きですし、練習するのが好きです。その日の練習で小さい目標を立てて──例えばピッチングで何マイル以上出すとか──それを毎日更新していくことで試合でのパフォーマンスも上がっていくと思っています。
僕にとっては、好きなことを仕事にしている楽しさが一番です。だから、自分が意識高く野球に取り組んでいるとはあまり思っていません。でも、取り組んでいる時間、考えている時間をなるべく長くしたいとは思っています。他の人が1日24時間のうちどれぐらいを野球と向き合えているかは分からないのですが、それに負けないように自分自身がやりたいことに向けられる時間を長く取るようにはしています。
“できるのは自分で自分を変えること”
自分の意識が高いとは思いませんが、運は良かったと思います。僕は良いチームメートに恵まれました。努力を続けるには成功体験が必要で、自分のやってきた練習が試合での活躍に繋がれば次に頑張る力になります。全国大会や世界大会への出場、またそこで勝つという結果に繋がるかどうかも、モチベーションに大きくかかわってきます。それは自分一人では左右できないことで、良い監督やコーチ、チームメートがいるかどうかで勝つ確率は変わってきます。
僕は甲子園に出ることができて、プロ野球で日本一になれました。自分のやってきたことが結果に繋がったことで、もっと頑張ろうという気持ちになれました。そういう意味で自分は運が良かったと思っています。

ただ、周りを自分の思うように変えたいとは全く思いません。他の人を変えるのはなかなか難しいし、「自分のために変えてくれ」というのも変な話なので。できるのは自分で自分を変えることだと思いますが、正直、自分のことでさえ変えるのは簡単ではなくて、自分が自分のポジションでできることをやっていくしかありません。その結果として僕の努力を見た人が「自分も頑張ってみよう」と思ってくれたら素晴らしいことだと思うんですけど、それを最初から「お前も頑張れ」というスタンスでは難しいと思っています。
僕自身も小さな頃から全国大会を目指したわけではないし、メジャーリーガーを目指したわけでもなかったです。投手と野手の2つをやることを目標にしていたわけでもありませんでした。誰かに何かをやってくれというより、自分でできることをまずやっていくスタンスのほうが僕には合っていると思います。
“これからも新しいことにどんどん挑戦します”
二刀流は特殊すぎて「無理だろう」という懐疑的な見方をする人が多かったと思います。それでも僕はそれで落ち込むわけではなく、「見てろよ」みたいに反発するわけでもなく、僕にとってポジティブな意味でのモチベーションにしていました。
二刀流に限らず、いろんな人に「できない」と言われた方が、できた時の評価が上がりますよね。不可能だと思われていればいるほど、それを成功させたら自分に返ってくる達成感は大きくなります。僕はそれで「やってやろう」というチャレンジ精神が出てくるタイプです。
それに「無理だろう」という意見がどれだけあっても、僕自身は100%できると信じていました。だから批判や疑いの声も「ありがとう」という感じで前向きに受け止めることができたんだと思います。

今までを振り返って一番の成功は……メジャーリーグでMVPに選ばれたことです。自分の目指すところすべてではないのですが、野球人として一番高いレベルにあるものだと自分が思っている賞をいただけたので、うれしかったですし、僕にとって新たな自信になりました。
僕自身、選手としてはまだまだこれからだと思っているので、これからも新しいことにどんどん挑戦していくつもりです。今までやってきたことだけ長くやっているようだと、同じことを続けて同じような結果を出すのが目標になると思うんですけど、僕はそうじゃなくて新しいことをどんどん取り入れて、より良い自分になって、より良いプレーをすることを目標にします。
皆さんも常に目標を掲げ、新たなことに挑戦しながら目標を更新して、自分のモチベーションを自分で上げていけば、きっと常に成長していけると思います。
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