長野県の白馬八方尾根スキースクールでインストラクターとして働いていましたが、30歳のときに、モーグル大会のコース準備中にテストジャンプで転倒。脊髄を損傷し、下半身機能に麻痺が残りました。以後、車いす生活になりましたが、退院して選んだスポーツは長年情熱を注いできたスキー。ケガの翌年からチェアスキーをスタートして雪上に復帰しました。その翌年にはレースに出場。ナショナルチームにも入り、2010年バンクーバー、2014年ソチ、2018年平昌と、3大会連続で冬季パラリンピックへの出場を果たしました。特に印象に残っているのはソチパラリンピック後の2015年に開催された「NORAM CANADA Kimbary」です。翌月に世界選手権を控えていた大きなレースで優勝できたこと、さらには日本チームで表彰台を独占できたことが嬉しく、忘れられないレースとなりました。
選手としての活動は2018年に終え、現在は自身の経験を次の世代に託し、日本障害者スキー連盟のパラアルペンスキー監督としてチームを支えています。さらに、責任者として、年間スケジュールの調整や選手育成、人材発掘にも取り組んでいます。
 
 
コロナ禍で今後のキャリアについて考えるようになり、働き方に合わせたプラットフォームを提供するビジネスやプログラミングに興味があったことから、スキー連盟の紹介を経てSalesforceに入社しました。現在は、社内で平等(イクオリティ)を推進するオフィス・オブ・イクオリティのNPO(非営利団体)サポート・チームに所属。NPOで使用しているSalesforceのサポートや、さらに使いやすくする方法を検討しています。まだまだ勉強中の身ではありますが、満足のいくサポートができるよう、認定アドミニストレーターをはじめとする認定資格にも挑戦する予定です。また、パラアスリートとして講演する機会もあり、Salesforceのコアバリューである「平等」を広く知っていただくことにも尽力しています。とある高校で行った講演で、聴講した生徒から「一人ひとりが自分らしく楽しく生きることができる社会をつくりたい」「多様性を受け入れられる働き方ができるるのは素敵なことだ」「Salesforceのような会社で働きたい」といった感想をもらい、嬉しさとやりがいを感じています。
ー 仕事とアスリート活動の相乗効果
職場で上司に「なりたい自分から逆算して考えると、今何をすべきか分かる」と言われ、これがアルペンスキーの選手育成にも役立っています。目標を持つことは当然ですが、何のためにその目標を設定したのか。選手たちにはそれを常に意識するよう伝えています。アスリートから指導者となり、個人はもちろんチームによるサポートも重要だと考えています。そこで必要となるのが、Salesforceのコアバリューでもある「信頼」です。 選手とスタッフが互いに信頼しあってこそチームでのサポートが成り立ち、選手一人ひとりのパフォーマンスの向上につながっていく。これは仕事にも通じるところであり、デュアル・キャリアだからこそ得られる相乗効果だと思っています。
 
 
Salesforceには企業の考え方が社員一人ひとりに行き届く社風や仕組みがあり、それが働きがいや仕事へのモチベーションアップにつながっていると思います。これは、「信頼」や「平等」など、企業としての確固たるコアバリュー(大切にする価値観)があるからこそ。私自身、社内で「平等」に関するトレーニングセッションを受ける機会が多く、「無意識の偏見」を意識するようになりました。他人に関心を持ち、人の声に耳を傾け、自分事として考える。その大切さを実感し、日々実践に努めています。
ー パラアスリートが社会にもたらす影響
車いすユーザーとして感じていることやパラアルペンスキーを通じて社会をポジティブに変革できる力があると感じています。パラアスリートにはそれぞれの物語があり、皆を勇気づけ、元気にできる力を秘めています。その影響力は、オリンピックよりも大きいかもしれません。
ー デュアル・キャリアを考えている方へのメッセージ
働き方には様々なスタイルがありますが、自分らしく働きたい人にはデュアル・キャリアが一つの選択肢になると思います。「自分らしく」をベースに、何のためにその選択をするのかという目的意識を持っていれば迷うことはないですし、自己の成長にもつながるはずです。
 
 
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