2. フットワークの軽いツールを採用、従来に比べて改修コストが1/10に
このような悩みに対し、当時付き合いのあったコンサルタント会社がSalesforceを紹介。2019年1月にはSalesforceから「Lightning Platform」を活用したシステム構築が提案されます。その後、約半年かけて検討を進めた結果、この提案の採用を決定。その理由について、野口氏は次のように説明します。
「まずツールとしてのフットワークが軽く、アジャイルでの開発に向いている点を評価しました。また営業現場から改善要求が上がった際にも、その業務に即した改修を、比較的簡単に実現できます。当然ながらCRMの基盤としても優れており、これなら本当の意味でお客様に寄り添い続けられると考えました」。
2019年6月にはLightning Platformをベースにした情報基盤の構築をスタート。これと同時にMarketing Cloudも導入し、以前から運営していたヘーベルハウス会員向けサイトのリニューアルも推進することになりました。2021年5月には新たな会員サイトである「ヘーベリアンネット」をリリース。そして2022年2月には、Lightning Platformと基幹系10システムを連携させた、お客様情報を一元化した情報基盤「LONGLIFE-Navi(以下、LL-Navi)」がリリースされました。
「LL-Naviは各社・各事業部門の基幹システムから情報を集約することで、お客様の様々な情報を見える化するためのシステムとしてスタートしました」と金田氏。各基幹システムから「邸情報(建物情報)」を収集すると共に、各社・各事業部門のアナログ接点を自動連携し、さらにお客様情報を入力・蓄積するようにして、「お客様軸」で情報を統合しているのだと説明します。
「その一方で、ヘーベリアンネットなどの各種デジタル接点に対しては、Marketing Cloudからお客様一人ひとりのニーズに合わせたコンテンツを最適なタイミングで配信しています。それらに対する反応などをCDP (Customer Data Platform) に集約することで、さらには LL-Navi や、Tableauを用いたBIにも連携しています」(金田氏)。
またより多くのシステムをLL-Naviに接続することが計画されているとも説明します。そのための共通API基盤として2023年2月にMuleSoftを導入して、システム間連携の柔軟性とスピードをさらに高めつつあります(金田氏)。
この情報基盤を積極的に活用してもらうため、事業部門毎に対面での説明会や、説明動画の社内配信など、活用促進のための社内施策も実施したと金田氏。
さらに2022年7月には、各事業部門の上長が参加する「エリアバリューチェーン会議」を設置したと語るのは野口氏です。事業部門間の「横の連携」が、トップダウンでも進められているのです。このような取り組みによって、当初は20%程度だったお客様情報の入力率が、現在ではほとんどの部門で90%を超えることとなりました。
「エリアバリューチェーン会議で議論を進めていく中で、LL-Naviに対する改修要望も数多く出てきました」と金田氏。その数は導入から1年半で約200件に上っており、それらをLONGLIFE戦略推進本部が取りまとめ、社内のIT部門が実際の改修を行っていると説明します。「すでに100を超える改修を行ってきましたが、Lightning Platformを採用したことで迅速に進めることができました。当初考えていたスクラッチ開発に比べ、改修時間は1/3、改修コストは1/10になっています。このスピード感はLightning Platformを活用することで生まれた大きなメリットの一つです」(野口氏)。