使いやすい画面、止まらない運用、たまり続けるデータ
県がまず着手したのは、オペレーターが現場で迷わずに対応できるような画面づくりから。質問に沿ってクリックするだけで“赤・橙・黄”の緊急度が一目で判別できる画面が実装されたことで、新人でも操作しやすい環境が整いました。
特徴的なのは、現場が混乱しないように、横浜市での旧システムに近づけて設計したこと。救急医療相談業務に特化した独自のUIの構築に成功しました。
電話はクラウドPBXと接続され、完全クラウドでの運用が開始されました。これにより最大60席の相談窓口が安定して稼働できるようになりました。現在は一拠点で対応していますが、クラウドベースのシステムであるため、場所に縛られない柔軟な運用も可能です。これにより、災害や感染症の拡大時にもサービスを継続できる体制の構築が期待されます。安定的に稼働しており、音声品質も問題なく運用されています。
また、病院の受け入れ状況をより正確に案内できるよう、厚生労働省が公開しているデータ(ナビイ:医療機能情報提供制度)に県独自の情報(当番輪番情報など)を組み合わせることで、より役立つ情報を県民に提供できるようになりました。
令和7年度の計画としては、オペレーターが使っている緊急度判定や医療機関案内などの機能を、Experience Cloudによって県民が直接使えるようにWeb化することを進めています。それにより、症状や居住地などを入力するだけで、緊急度判定や医療機関の検索ができるようになります。このWeb画面とLINEを連携させることで、「誰にでも使いやすいシステム」を実現しています。
こうした通話やチャット、LINE、Webでのやりとりは、すべてSalesforceに蓄積されます。よって「どんな質問や説明が判定を分けたのか」を後から確認・参照することができます。
データはTableauやData Cloudを活用して分析でき、オーバートリアージ(緊急搬送の必要がないのに赤に分類してしまうこと)の是正や案内文言の見直しにも活用できます。将来的には救急搬送実績の他にも、福祉、防災など他分野のデータとかけあわせて分析することで、潜在する各種課題の解決につながる、プッシュ型の高度な行政サービスへと展開することも視野に入れています。
Salesforce導入によるシステム構築を行うことで、119への不要不急の入電を抑えることを目標に、年間約42万件規模の相談に対応できる“強い入口”を手に入れました。Salesforceの導入・運用パートナーとしてトランスコスモスが全面支援。AIやデータ活用など、豊富なノウハウを活かしたCX強化とデジタル変革を推進し、県民の方に向けたサービス向上を支援しています。
現在、#7119の利用比(人口あたりの利用率)は全国平均で2.4%ですが、横浜市では市民の約9%利用していたという実績があります。神奈川県は現在約2%ですが、今後広報を通じて9%に近づいていくと見込んでおり、入電数は今後も増え続けると予想しています。