Salesforceを駆使して社員・顧客の要望を次々に実現、年間1000万円のコスト削減に成功! 「コミュニティ機能」が保険会社の顧客管理能力を強化し、サービスを未踏のレベルへと進化させる”

 

システムがボトルネックになって
ビジネスアイデアの実施が進まない

Salesforceの特長のひとつは、その高い拡張性と優れたユーザインタフェースにより、企業それぞれの目的やスキル、リソースに合わせて、使い方のレベルを自由に設定できることにある。それだけに、全世界10万社以上、300万人以上のユーザによるSalesforceの利用方法や活用の度合いは千差万別だ。その中で、これから紹介する株式会社アソシアの活用法は、Salesforceの能力を存分に引き出して使いこなしている、いわば“上級編”の事例と位置づけられるだろう。

同社は、2006年4月の改正保険業法の施行を受けて、07年4月に設立された少額短期保険業者だ。少額短期保険とは、その名の通り、保険金額が少額、かつ保険期間が1~2年と短い保険のこと。同社の主力商品である賃貸入居者向け新家財総合保険「わが家の保険」もその一種で、「洗濯機のホースが外れて階下の部屋が水浸しになった」「誤って化粧水の瓶を落とし、洗面ボウルが割れてしまった」など、従来の住宅保険や火災保険では補償対象にならなかったケースをカバーしているのが特長だ。そうした消費者目線の保険商品を提供することによって、同社は着実に業績を伸ばし続け、創業から6年あまりで経常収益(売上高)約29億5000万円(13年3月期)、代理店数約1000社、保険契約数約18万件の企業へと成長した。

そんな同社がSalesforceを導入したのは08年のことだ。「重要なビジネスパートナーである代理店(不動産会社)とのやり取りなどの情報を社内で共有すれば、より機動的なビジネスが可能になる」というシステム担当者からの提案を採用し、当時利用していた他社のASPサービス(パッケージ型システム)との併用を開始。同社代表取締役社長の本間貫禎氏によれば、当初はSalesforceを純粋な顧客管理システム、ないしは社内の連絡ツールとして利用し、一定の成果を上げていたようだ。

ところが、そのように複数のシステムが併存する状態を3年ほど続けるうち、さまざまな不満が噴出してきたという。

「例えば、ユーザからの『システムのこの部分が使いにくいので改善して欲しい』といったご要望や、新商品の開発などに合わせて、パッケージ型システムの改修をベンダーに依頼しても、数百万円単位の費用と2~3カ月の時間がかかってしまうため、結局、新しいビジネスのアイデアを実現できなかったりする。つまり、システムやベンダーの能力が、そのまま弊社のサービスレベルになってしまっていたわけです。現場からは、なんとかして欲しいという切実な声が上がってきていました。経営者としても、特に新商品をスピーディに市場へ投入することは、競合他社との差別化において非常に重要なポイントになりますから、会社を成長させる上でシステムがボトルネックになっている現状を打破しなければならない、と強く感じるようになりました」(本間氏)

 

 

Salesforceを基盤とする
新システムの構築を決断

そうした危機感から、同社は基幹システムの抜本的な見直しを決意。10社以上のベンダーから製品に関する提案を受け、さまざまな項目を比較して社内で検討を重ねた。そして、最終的に導き出したのは、社内のリソースやこれまでに蓄積されたノウハウを結集し、Salesforceを利用して独自の新システムを構築するのが最善策である、という結論だった。

「市場に合った新商品を適宜投入し、またお客様からのご要望に応え続けることによってビジネスを成長させていくためには、拡張性と汎用性の高いシステムが絶対に必要になる。加えて、自社で管理できることや、現状よりコストを抑えられること、セキュリティやディザスタリカバリ(災害対策)が一定水準以上であることなどの要件を満たすシステムとなると、Salesforceをこれまで以上に活用する以外の選択肢はありませんでした」(本間氏)

その決断を受けて実際に開発にあたったのは、システムエンジニアとしてSalesforceの活用を提案した業務部副部長の小池光亮氏だ。

「Salesforceを使ってみた印象は、とてもしっかりとした思想のもとに作られたプラットフォームで、とにかく開発しやすい、ということでした。従来のシステムのようにプログラムを書いて組んでいくというより、ユーザインターフェースを触って感覚的にすべてを作ることができる。非常に斬新な、それまでに経験したことのない感覚でした。

当然ながら最初は戸惑いもありました。ですが、事前にセールスフォース・ドットコムのトレーニングプログラムを2週間みっちり受講して、私自身スキルアップできましたし、わからないことがあれば担当の営業の方やユーザサポートが即対応してくれますので、不安はすぐに解消されましたね」(小池氏)

12年12月、同社は、それまで複数のシステムで行っていた基幹系業務をSalesforceに一本化。いうなれば、保険会社としての業務を丸ごとSalesforceに移植したイメージだ。そして、後述のように、山積していた課題を次々にクリア、そればかりかSalesforceのコミュニティ機能を駆使してカスタマーサービスの新境地を切り拓いていくことになる。

CRM機能の拡充で効率的な営業が可能に
Salesforceを駆使して社員の要望を逐次実現!

Salesforceを基盤とする基幹システムの一本化により、まず、それまで社内の連絡ツールの域を出なかったCRM機能が拡充され、保険の契約内容から売上まで、あらゆる情報をリアルタイムに把握、管理できるようになった。

その上で、例えば、地図アプリケーションと連動させて、Salesforceに入力された代理店の情報を地図上に表示させるようにしたり、代理店からの電話での問い合わせ内容などを自動的にメールで営業マンに通知するようにしたり、といった新たな機能を続々と追加。それよって、より効率的・効果的な営業活動が可能になったのだ。

「ほかにも、どの代理店の保険契約者がどういう事故を起こしたか、という情報を、Salesforceのメールアラート機能を使って、即座に営業マンに通知する仕組みを実装しました。事故が起きたときの対応というのは、保険会社のサービスレベルがわかる瞬間であって、特に契約後最初の事故の対応次第で、保険契約者の方が保険会社に対して抱く印象は大きく変わります。ですので、事故発生のメールを受けて、夜中でも保険契約者の方に電話を1本入れておけるというのは、実は営業面で絶大な効果があるんです」(本間氏)

そうした新機能の多くは、現場の要望を小池氏が吸い上げて実装したものだという。

「Salesforceを使っているうちに、現場もその有用性を理解するようになって、『Salesforceでこういうことはできないんですか?』といった質問や提案をどんどんしてくるようになりました。優れたユーザインターフェースを持つSalesforceは、社内の意見をストレートに反映させやすく、アイデアを自力で素早く実現できるシステムです。かつては、外部のシステムベンダーに相談して、『この部分は技術的に難しいので省きましょう』などとやっていたわけですから、これは本当に大きな変化です」(小池氏)

通常、企業において、個々の社員の要望を形にするのはなかなか困難なことだ。ところが同社では、それが短期間で次々に実現されるようになったわけだ。

「当然、社員のモチベーションは上がって、社内では毎日のように、ああしたい、こうしたい、という話が交わされるようになり、職場が活気づきました。普段、黙々と仕事をこなしていた事務スタッフからさえ、『物事が整理されて本当に楽になった』『ビジネスが目の前でリアルタイムに動いている実感がある』という声が聞かれるようになったんです。今、社員たちの様子は、以前と比べて明らかに生き生きとしていますね」(本間氏)

コミュニティ機能等で顧客管理能力を強化し
サービスレベルが格段に向上

そのように、社内業務の改善と社員の意識改革を進めた同社。その次のステップとして取り組んだのが、Salesforce(Service Cloud)のコミュニティ機能等を利用して、顧客管理能力をいっそう強化することだった。その仕組みを簡易的に示したのが下の図表だ。

図表右側で示した通り、Service Cloudのコミュニティ機能を利用して、代理店とのリアルタイムな情報共有を実現。これによって、同社からアカウントを配付された代理店は、保険契約の新規申し込みや帳票出力、入金消し込み、事故情報の通知、各種問い合せといった一連の作業を、すべてSalesforceを使ってオンラインで処理できるようになった。

「以前、ASPサービスを使っていた頃は、データの連携などにおいて齟齬が非常に多いという問題がありました。例えば、ユーザがコンビニの端末から保険の契約料を弊社へ送金してくださっても、コンビニのシステム上の都合で、精算までに2~3日の時間差が生じてまうことがあり、たびたび改善要求が寄せられていました。サービス面における大きな課題になっていたのですが、それが新システム導入によって入金状況を即座に確認できるようになり、課題は一気に解消されました」(小池氏)

コミュニティ機能の導入によって、自社と代理店とがひとつのシステムを使って情報を共有できるようになったことで、従来とは比べものにならないほど、代理店とのやり取りをスピーディに、かつ確実に行えるようになった、と小池氏は語る。

「ユーザからも、『非常に『使いやすくなった』というお声をたくさんいただくようになって、満足度が上がっていると強く感じています」』(小池氏)

一方、保険契約者との関係についても同様だ。情報共有については、Salesforce PlatformのサービスのひとつであるオーセンティケーテッドサイトAuthenticated Sites(認証済サイト)機能を利用することによって、保険契約者は、インターネット環境さえあれば、パスワードの変更はもちろん、いつでも安全に契約内容などを照会したり、帳票を印刷したりできるようになった。

「保険契約者の方にとってより便利な環境を整えるため、今後も社内外の意見や要望を取り入れて、Authenticated Sitesに新機能をどんどん追加していく予定です」(小池氏)

年間1000万円のコストカットに成功
Salesforceの活用でさらなる飛躍を目指す

そうしたシステムの拡充による効果は、すでに挙げたもの以外にも、有形無形を問わず、さまざまな面において現れている。まず、Salesforceのライセンス費用と、以前のシステムの保守・メンテナンス費用とを比較すると、月間約30万円のコストが削減され、さらに、代理店とのやり取りに費やしていたコストも、月間約80万円、年間1000万円ほどカットされた。

「加えて、普通なら、企業の成長に合わせて社員を増やすことを考えますが、弊社では成長後も増員せずに以前と同じように業務を続けられていますので、結果としてその分の人件費はカットできたことになります。システム改修と同時に、数名の社員の削減を行ったにもかかわらず、以前と同様に業務を続けられているわけですから、その分の人件費はカットできたことになります。その要因としては、ほとんどのコミュニケーションをシステム上で取れるようになって、ユーザからのお電話に対応する時間が極端に減ったことなどが大きいと思います。そういう間接的なコストダウンを含めて考えると、今回のシステム改修に関する投資は、5年ぐらいで十分ペイするはずです。

それから、ビジネスパートナーに対して、『ご要望には基本的にお応できる』という戦略が可能になったことも、弊社にとっては非常に大きな効果ですね」(本間氏)

それでも、開発・運営担当者としてSalesforceの活用体制を築き上げた小池氏は、まだまだ現状に満足してはいないようだ。

「Salesforceは、ほかのシステムとの連携が非常に容易ですので、今後、ビジネスパートナーが使っているシステムと連携させて、利便性をさらに上げていきたいと考えています」(小池氏)

では、本間氏は経営者として、Salesforceを活用した今後のビジネス展開について、どんなことを考えているのだろうか?

「Salesforceのおかげで、以前のようにシステムのことを考慮しなくても、商品コンセプトだけで走り出せるようになり、また商品開発にかかる経費や時間もずいぶん低減されましたので、理想としては年間1~2つは新商品をリリースして、2年半後の16年3月期決算で経常収益40億円ぐらいを目指したいと思います」(本間氏)

Salesforceの可能性に限界がないのと同様に、それを駆使する同社のビジネスにも、限界やゴールはないのかもしれない。

 
 
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