レジル株式会社

顧客対応の速度・正確性の向上
メール開封率平均50%等を実現した
マルチクラウド戦略

顧客情報・対応履歴等を活用した対応品質の改善、
顧客の行動・ニーズにもとづくマーケティング施策の最適化、
ビジネスパートナーとの情報共有による連携強化など、各種業務を改革

2004年に国内で初めて「マンション一括受電サービス」を事業化した業界のリーディングカンパニー、レジル株式会社。法人・個人向けの電力小売事業など、新たなビジネスを積極的に展開することで業績を伸ばし続けてきた企業です。しかしながら社内的には、顧客・サービスの増加・多様化によって、情報管理システムに起因する問題がしばしば発生していました。

そこで同社は、Salesforceの全社展開を決断。Service Cloudとコールセンターシステムの連携による顧客対応の品質向上、Marketing Cloudを利用したマーケティング施策の最適化、Experience Cloudを介したビジネスパートナーとのコミュニケーションの円滑化などによって、短期間で大きな成果を上げました。そのように複数のSalesforce製品を組み合わせて活用するマルチクラウドで各種業務を改革した同社の取り組みを紹介します。

 
 
 
 

1. サービス・顧客の多様化で、システム刷新による情報一元化が急務に

レジル株式会社(東京都千代田区)は、2004年に国内で初めて「マンション一括受電サービス」を事業化した、業界のリーディングカンパニーです。一括受電とは、マンションなどの集合住宅1棟分の電気を電力会社から一括購入することで単価を抑え、割安な電気を各世帯に提供するというもの。同社は現在、このサービスにおいてマンション約2,200棟、17万5,000世帯に電力を供給しており、国内市場で高いシェアを占めています。あわせて、EV・PHEV充電設備の導入・運用サポートやそれを利用したBCP対策など、マンションの価値向上を支援するサービスも提供しています。

また同社は、マンション事業で蓄積したノウハウを活用し、事業を複数立ち上げています。そのひとつが法人・個人向けの電力小売事業です。再生可能エネルギー100%の電気の供給やオフサイトPPAの導入支援サービスなどを、マンション事業と並ぶビジネスのもう1本の柱へと育て上げました。さらに、マンション事業と電力小売事業で培った電気保安管理・電気工事・バックオフィスの知見やシステム、サービスなどを他社へ提供し、業務プロセス改善のコンサルティングも実施する、新たなビジネスを開始しています。

そうした積極的な事業展開によって、同社は1994年の設立以来、業績を伸ばし続けてきました。ただ、社内的には、サービスや顧客の多様化に対応するため、改善を要する部分も見えてきたといいます。そう話すのは、代表取締役社長の丹治保積氏です。

「弊社はマンション事業からスタートしたので、当初のお客様はマンションの管理組合の方に限られていましたが、事業拡大にともない、法人・個人のお客様が急激に増えていきました。この先も企業として成長していくためには、多様かつ膨大な数のお客様をしっかりと管理し、さまざまな商材を提案できるようなシステムが必要だ、と考えるようになりました」(丹治氏)

実際、現場では、システムに起因する問題がしばしば起きていました。情報システム本部 プロダクト開発グループ ジェネラルマネージャーの村上暢氏はいいます。

「営業部では、あるCRM/SFAツールを使ってお客様や商談の情報を管理していましたが、ライセンスを付与されているのは営業メンバーのみで、他部門ではそれぞれ別のツールを利用していました。また、Excelや紙も社内に氾濫している状態でした。そのため、社員・部門間の情報共有がうまくいかない。お客様の電話番号が正しく更新されず、前の入居者様の番号に電話をかけてしまうなど、お客様にご迷惑をおかけするケースまで発生していました」(村上氏)

 
 
 
 

2. Service Cloud活用で顧客対応を改善、営業数値の集計工数を月16時間削減!

そうした状況を受けて、同社の経営陣は、Salesforceを導入し、全社的に展開することを決定しました。

「さまざまな属性のお客様に複数の商材を提供していくためには、営業活動だけでなく、アフターフォローやカスタマーサービスにまで幅広く対応できるシステムでなければなりません。そういう観点から、世界ナンバーワンのCRM/SFAプラットフォームであり、他のシステムとも容易に連携できるSalesforceを選びました」(丹治氏)

2018年、Service Cloudを導入した同社は、全社員にライセンスを付与。そして、Chatterによる社内の通達やコミュニケーション、TeamSpiritによる勤怠管理や経費精算など、業務の“入口”の部分から利用を開始します。

「利用を定着させるため、Salesforceを開かないと仕事にならない状況をあえて作りました。そのように、経営陣が大きな目標に向けて情報管理に力を入れるという方針を打ち出し、Salesforce導入をトップダウンで全社的に進めたことが、スムーズな定着化につながったのだと思います」(村上氏)

同社は、それまでバラバラに存在していた、基幹システムをはじめとする社内のシステムとService Cloudを連携し、同時にExcelを廃止。顧客、マンション等の不動産、商談、契約など、ビジネスに関するすべての情報を一元化しました。その結果、誰でも必要な情報にアクセスし、社員・部門間連携を滞りなく行えるようになるなど、業務全体が大幅に効率化されました。また、Service Cloudとコールセンターのシステムの連携によって、顧客対応の速度と正確性も向上しました。Service Cloudに登録されている顧客の電話番号から着信があると、名前や過去の対応履歴等の顧客情報がポップアップで表示されます。オペレーターはそれを確認しながら、迅速、的確に問い合わせに対応できるようになったのです。マーケティング本部 第二ビジネス推進グループ マネージャーの南薫氏はいいます。

「レポートやダッシュボードを活用し、Salesforce上でリアルタイムな数字を確認できるようになった結果、営業数値の集計を行う部門の工数が月に約16時間も削減されました。担当者は、月末月初にいつも大変な思いをしていたので、とても喜んでいます」(南氏)

 
 
 
 
 
時間/月の工数を削減できている
 
 

3. 施策最適化でメール開封率50%以上! Salesforce起点で新ビジネスも誕生

さらに同社は、2021年にMarketing Cloudを導入。それまで、同社における法人・個人顧客とのコミュニケーションは、ダイレクトメールやチラシといったアナログの手段がメインでした。マーケティング本部 第一ビジネス推進グループ マネージャーの千葉清香氏によれば、そこにMarketing Cloudが加わったことで、契約・請求などに関する情報の双方向のやり取りはもちろん、新商品やキャンペーンの案内、アンケートの実施など、顧客とのコミュニケーション全般を格段に進化させることができたといいます。

「たとえば、アナログとデジタルの施策を連動させ、メールをお送りしても反応のないお客様にはアナログの施策を重点的に行うなど、より効果の高い、最適な施策を選択できるようになりました。なにより大きいのは、お客様との直接的なコミュニケーションを実現し、ニーズや満足度、期待値を可視化できたことです。当初は、どのぐらい反響があるか不安もありましたが、メールの開封率は平均約50%、内容によっては70%以上に達するなど、非常に高いエンゲージメント率を誇っています」(千葉氏)

一方、ビジネスパートナーとのコミュニケーション面で威力を発揮しているのがExperience Cloudです。電気設備の保安点検業務において、外部委託の技術者は、同社から貸与されたiPadを使い、現場で点検記録の入力や帳票の出力などを行います。また、漏電など、緊急性の高い情報については、技術者に直接アラートが飛びます。そのように、Experience Cloudを介した密な連携が可能になったのです。さらに、そこで蓄積したノウハウをパッケージ化し、「保安Plus」という電気保安業務管理システムのAppExchangeとして提供するという、新たなビジネスまで生まれています。

「Salesforceが全社に入っているおかげで、いつでも、どこにいても同じ仕事ができる。コロナ禍によって在宅勤務になった際にも、環境が変わったような気がまったくしませんでした。それぐらいスムーズにテレワークを推進できています」(丹治氏)

複数のSalesforce製品を連携して活用するマルチクラウドの環境をわずかな期間で確立し、大きな成果を上げている同社。今後もとどまることなく、Marketing Cloudによる顧客接点の拡大とコミュニケーションの最適化、Marketing Cloud Account Engagement (旧 Pardot)を利用したBtoBのマーケティングなど、Salesforce各種製品の活用範囲をさらに広げていく計画です。

「セールスフォース・ジャパンの製品は、自社で開発したものだけでなく機能を買収したものも含め、すべて一貫した思想で作られている。だからこそ、マルチクラウドとして使いやすく、会社としての利用の方向づけもしやすい。Salesforceは、短期間でいろいろな事業を立ち上げるのに貢献し、会社の成長に非常に寄与しています。導入当初実現したいと考えていたことからすれば、すでに十分満足していますが、これからも活用をどんどん拡大していきたいですね」(丹治氏)

 
 
 
 
※ 本事例は2024年2月時点の情報です
 

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