受注・在庫状況の分析で登山用品レンタル事業のコストを4割削減! 誰でもできるアナリティクスこそがSalesforceの真骨頂”

 

"セブンサミッター"がビジネスの世界へ

株式会社フィールド&マウンテンは、「登山人口の増加」と「安全登山の推進」を目標に、登山用品のレンタル・販売や、フリーペーパーの刊行などを手がけるアウトドアベンチャー企業だ。同社を2010年2月に設立したのは、現代表取締役の山田淳氏。23歳のとき、エベレストなど7大陸最高峰の最年少登頂記録(当時)を更新した著名な登山家・山岳ガイドであり、かつ米大手コンサルティング企業マッキンゼー・アンド・カンパニーで活躍したビジネスマンでもあるという、異色の経歴の持ち主だ。

「山の楽しさをより多くの人たちに広める方法を学ぶためにコンサルティング会社に入ったのですが、仕事が楽しくてつい3年半ものめり込んでしまいました。でも、2009年7月、ガイドを含む登山者9人が亡くなったトムラウシ山遭難事故で目が覚めた。『僕はここでなにをしているんだ? 山の魅力を広めたり、山の事故を減らしたりする方法を学ぶのが目的だったのに』と。それで同年末に会社を辞め、この会社を立ち上げました」(山田氏)

山田氏は、統計資料「レジャー白書」(日本生産性本部)のデータから、日本には登山に関心のある潜在顧客が数百万人単位で存在する一方で、「登山用品が高価」「情報が少ない」「きっかけがない」という3つの阻害要因によって、実際には登山を始められないでいると分析。それらのボトルネックを解消して市場を拡大するため、「やまどうぐレンタル屋」での登山用品のレンタル事業を皮切りに、ECサイトおよび実店舗「登山専門 やまっ子」での登山用品の販売、フリーペーパー「山歩みち」の発行、登山関連イベントの企画・実施などの事業を次々に展開する。初年度2600人だった「やまどうぐレンタル屋」の利用者数は2012年には22000人に達し、「山歩みち」の発行部数も2000部から10万部にまで伸びた。

 

 

操作容易性、拡張性、連動性が選定の決め手

しかし、山田氏には大きな悩みがあった。どんどん蓄積されていくレンタル事業の顧客データを、後発のEC事業やイベント事業の顧客データと連携させられず、十分に分析と活用ができていなかったことだ。

「各事業の顧客データ同士を連携させれば、いわば"山業界のビッグデータ"を作れるはずなのに、それを可能にするシステムを導入していなかった。その理由は、まだ起業したばかりで、システム管理のためだけの人材を雇う余裕がなかったからです」(山田氏)

裏を返せば、誰にでも扱える低コストなシステムさえあれば、課題を解消できるということ。そう考えた山田氏は、さまざまなベンダーのシステムを比較検討し、Salesforceの導入を決意する。その決め手は3つあった。

「まずは"間口の広さ"。直感的な操作が可能なユーザインターフェースなので、ITに疎い弊社の社員でも使いこなせるだろうと感じました。2つ目は"深さ"。その気になればいくらでも機能を拡張できる点が魅力的でした。もう1つは"外部との連携"。今後もSalesforceがシェアを伸ばし続ければ、他社のサービスやツールとの連携はさらに容易になり、弊社のビジネス拡大にも役立つだろうと考えました」(山田氏)

Salesforceの管理を任されたのは、社員の今田公基氏(当時)。それまで、Salesforceのようなシステムを扱った経験は一切なかったという。

「当初はSalesforceがなんなのかさえわからない状態でしたが、セールスフォース・ドットコムの担当の方に弊社の業務内容や実現したいことを伝え、3か月かけて一緒に構築作業を進めていきました。ときには電話で6時間ぐらい相談に乗っていただいたりして、最終的に満足のいくものができた。そのように、丁寧なサポートで知識やスキルを得ながら導入できる点も、Salesforceの大きな魅力ですね」(今田氏)

受注・在庫状況の分析で事業コスト3~4割カット!

Salesforce導入の最初の効果は、レンタル事業の受注・在庫管理において現れた。同社のレンタル事業の業務工程は、通常のEC事業のそれとはやや異なる。一般的なEC事業の場合、在庫のある商品は受注した順に出荷し、在庫のないものはメーカーに発注して確保できた時点で出荷すればいい。しかし、レンタル事業の場合、受注した時点では、顧客がその商品を必要とする日(登山日の直前)に在庫を確保できるかどうかを完全に予測するのは難しい。というのも、レンタル品が期日通りに返却されなかったり、壊れたりするリスクがあるからだ。

加えて、通常の商品と違い、レンタル品は顧客の希望日に届けられなければ価値がゼロになる。どんなことがあっても、期日通りに顧客のもとへ届けなければならないのだ。実際、出荷直前になって商品を確保できていないことが判明し、やむなく商品を定価で購入して、大阪や富士山五合目まで届けに行ったこともあったという。

「ザックが200個足りなくて、慌てて東京の登山用品店で大量購入したこともあります。以前はそういうトラブルが結構な頻度で発生していました。それが、受注データをすべてSalesforceで管理するようになって以降、いつ、どの商品が何個必要で、現時点でどれだけ揃っているかを完璧に把握できるようになりました。そうなれば、仮にレンタル品が期日通りに返却されなかったりしても、事前にメーカーに発注して期日に間に合わせることができますから、商品を定価で買う必要はなくなる。その結果、コストを3~4割削減できました」(山田氏)

他方、今田氏は、現場におけるSalesforceのメリットについてこう語る。

「やはり、すべてのデータが一元管理され、お客様のデータを簡単に引き出せるようになったことですね。そういうデータの裏づけがあれば、社員が社長に対してビジネスのアイデアなどを提案しやすいですから。今後、データがさらに蓄積されれば、より価値あるものになるはずです」(今田氏)

Salesforceの真価は"次のビジネスにつなげること"

そのように、すでに十分な成果を上げている同社だが、山田氏はまだまだ満足してはいないようだ。

「レンタル事業における成果は期待通りですし、お客様のデータが蓄積されていくほど、情報の価値が高くなっていく実感はあります。ただ、その程度のことは、Salesforce以外のシステムでも実現可能。それだけのためなら、あえてSalesforceの導入に踏み切る必要はなかったと思います。

Salesforceの真価は、データ同士の連携によっていわゆるビッグデータを作り出し、次のビジネスにつなげることにこそあると考えています。各事業のデータを連携させて、『あるお客様が、弊社のレンタルサービスを利用して、次にフリーペーパーを定期購読し、弊社のイベントに参加した』といった分析を進めれば、『この地域の村おこしには、こんなプロモーションが有効だ』『この登山用品店でこの商品を買った人には、こんな訴求方法が効果的だ』というようなポイントが見えてくるはず。それこそがSalesforceの本当の強みです。弊社はようやくSalesforceを使って次のビジネスにつなげられるようになったばかりですが、今後、さらに大きな成果が得られるだろうと期待しています」(山田氏)

事業ごとにバラバラだったデータを連携させ、ビジネスの幅を着実に広げている同社。ビジネスとはサグラダ・ファミリア聖堂の工事と同様、終わりのあるものではない、と語る山田氏に、Salesforceを導入する際に留意すべき点を尋ねてみた。

「弊社と同じB to Cの企業についていえば、もっとも大切なのは、『できるだけ早く導入すること』。理由は簡単で、データというものは蓄積されるほど価値が高まるからです。たとえ導入時点ではそうしたデータを活用できなくても、将来を見すえて、いつでも活用できる状態にしておくことが重要ではないでしょうか。弊社も、創業1年目から入れておけばよかったと心底思いますね」(山田氏)

日本の登山人口は、団塊の世代の一斉退職やいわゆる"山ガールブーム"によって、600万人から1200万人へと急増したが、ここ数年は横ばい傾向が続いている。次の登山ブームは、フィールド&マウンテンが"山業界のビッグデータ"を本格的に活用し始めたときに到来するかもしれない。

 
 
 
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